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2022.06.03業務用エアコン運用ノウハウ

空調設備はエアコンではない?空調設備の定義とエアコンについて解説

空調設備はエアコンではない?空調設備の定義とエアコンについて解説

空調と聞くとエアコンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

この記事では空調を行う空調設備とはそもそもどういうものなのかといった基礎的な部分から、空調の種類について解説していきます。

空調設備とは

空調設備とは

空調とは「空気調和」のことです。
ここでいう調和とは、空気の温度や湿度、気流、清浄具合を目的に合わせて処理し、均一の空気環境にすることを指します。

空調を行う設備が空調設備で、具体的には「温度の調整」「湿度の調整」「空気の清浄(換気)」「気流の調整」といった4つの役割を担います。

空調が必要なのは室内にいる人だけではなく、物に対する空調も存在し、人や物にとって快適な空気環境をつくることが空調です。

冷暖房設備とは

空調と聞くと冷暖房を行うエアコンがイメージしやすいですが、エアコンがエアーコンディショナーの略称であることからも分かるように、エアコンは室内の空気を調節する機械です。

エアコンは湿度や温度を調整しますが、冷房であれ暖房であれ、外気を取り入れたり室内の空気を外に逃がしたりといった換気は行われません。

空調設備の役割でもある「換気」が行われないため、厳密に言うとエアコンは空調設備ではありません。

1つの機械で4つの役割をまかなう必要があるわけではなく、エアコン単体で見ると、空調設備ではないということです。

空調設備の種類

空調設備は目的によって「熱源設備」「熱搬送設備」「空気調和設備」の3つに分かれています。

熱は温度が高いという意味ではなく、熱いものでも冷たいものでも熱という言葉を使います。

「熱源装置」は加熱や冷却した空気を作ったり捨てたりするための装置です。
設備の例としてはボイラーや冷凍機が挙げられます。

「熱搬送設備」はその名のとおり熱を移動させる設備のこと。ダクトやポンプがその例です。

「空調機」は空気の浄化や冷却、加熱、湿度調整を行うものです。
加湿器や除湿器、エアフィルター、冷却コイル、加熱コイルなどが該当します。

保健用空調設備(対人空調)と産業用空調設備(プロセス空調)

空調設備は人に対して使用するものと、物に対して使用するものがあり、前者を保健用空調設備(対人空調)、後者を産業用空調設備(プロセス空調)と呼びます。

物に対する空調と聞くとイメージしづらいかもしれませんが、たとえばICチップのような精密機器を扱う工場で目に見えない細菌や、視認しにくい小さなホコリなどを取り除き、製品に付着するのを防止します。

産業用空調設備は工場にある機械の機能維持や、貯蔵庫で保管している物の品質管理などが該当します。

クリーンルームも産業用空調設備に該当しますが、外からゴミが入りこまないように室内の圧力や風向き、風力が調整できます。

また、室内にいる人が汗をかいて製品に付着しないように温度や湿度の調整なども可能です。

空調システムの種類

空調システムの種類

室内全体の温度・湿度・気流・清浄度を保つためには、さまざまな役割を持つ空調設備を組み合わせる必要があります。

空調設備である「熱源装置」「熱搬送設備」「空調機」を組み合わせたものを、空調システムと呼びます。

空調システムは、室内の空気を暖めたり冷やしたりするために、何を媒体にして熱を運ぶのかによって4つの方式に分類されています。

全空気方式

空気のみで熱を運ぶものを全空気方式といいます。

空調機に外気と室内からの還気( 吸込み口から返りダクトを通って空調機の吸い込み側に返ってくる空気)を混合させ、その空気を加熱又は冷却しダクトで室内に送風します。

体育館や演芸ホールのような広い空間向きの方式です。

空調機を集中して設置できるのでメンテナンスがしやすく、また、換気量を大きくできるというメリットがあります。

一方デメリットは、空調機械室が大きくなる、天井内に大きなダクトスペースが必要となる点です。

空気・水併用方式

熱を運ぶ際に水と空気の両方を使用する方式です。

外気の取り入れ方は全空気方式と同じですが、室内の温度調節を、室内に設置したファンコイルユニットのような熱交換器に温水または冷水を取り込んで行います。

水は空気と比べて小さい面積で多くの熱が運べる性質があるので、全空気方式と比べるとダクトスペースは小さくできます。

しかし、室内に水が通る管を設置するため管理の手間は大きく、事故への備えも必要です。

全水方式

冷水や温水といった水だけを利用して熱を運ぶ方式です。

水は空気と比べて小さい面積で多くの熱が運べるため、すべてを水で行う全水方式は空気・水併用方式と比べてもダクトスペースを小さくできます。

ただ、これだけだと換気が行えないため、外気を取り入れたり室内の空気を逃がしたりするための窓や全熱交換器、換気扇の設置が別途必要になります。

冷媒方式

熱輸送に冷媒配管を使用する方式で、冷暖房を行うエアコンと同様の方式です。

全水方式同様に外気取入れの為の設備が必要となります。

電化製品であるため、高機能化や省エネ化が特に進んでいる方式になります。

空調を行う対象範囲が広くないため温度や湿度の調整がしやすい点ではメリットがありますが、他の方式と比べると耐久性低く、寿命が短いため、長期的な修繕、更新コストは高くなる傾向にあります。

まとめ

ひとくちに空調と言っても、必ずしもエアコンを指すわけではありません。

空調設備はさまざまな設備を組み合わせることで成り立ち、人や物に対して快適な空気環境にするシステムを作っています。

ReAirでは、空調・換気を含めた視点でトータルサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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