業務用エアコン運用ノウハウ 2024.11.02

業務用エアコンの結露対策とは?水滴が垂れたときの対処法と予防方法を解説

業務用エアコンの結露対策とは?水滴が垂れたときの対処法と予防方法を解説
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この記事の要点

Q. 業務用エアコンで結露が発生する原因は?
A. 室内外の温度差や湿度の影響、設置環境などが主な原因です。

Q. 結露による被害にはどのようなものがある?
A. 水滴による床や壁の劣化、カビの発生、電気機器の故障などが挙げられます。

Q. 結露の応急処置や予防方法は?
A. 吹出口のふき取りや吸水テープの活用、除湿運転や換気の徹底などが効果的です。

飲食店やオフィス、店舗などで使用される業務用エアコンは、その性能の高さと長時間稼働によって多くの現場で重宝されています。

しかし一方で、「天井から水が垂れてきた」「壁が濡れてカビが生えた」といった結露トラブルに悩まされるケースも少なくありません。

特に梅雨や冬場は湿度や温度差が激しくなり、結露のリスクが高まります。

この記事では、結露が起きる仕組みから実践的な予防法・対処法を業務用エアコンを扱う方が知っておくべき情報を解説します。

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結露が発生する原因とは

業務用エアコンで結露が発生する背景には、温度と湿度の関係や設置環境、機器特有の特徴などが複雑に絡んでいます。

ここでは、結露が起きる根本的な原因をわかりやすく整理して解説します。

エアコン内部の温度差と湿度の関係

結露が起こる最大の原因は、「温度差」と「空気中の湿度」のバランスにあります。

空気中に含まれる水蒸気は、冷たい面に触れると水滴に変わります。これは冷たい飲み物のグラスに水滴がつく現象と同じです。

業務用エアコンの吹出口や金属製の配管部分などは冷却時に特に温度が下がるため、湿った空気が接触することで水滴が発生しやすくなります。

室内が高湿度なままエアコンを使用すると、結露の発生率はさらに高まります。

空調設計や設置場所による影響

機器の設置環境も大きな要因です。たとえば、断熱が不十分な天井裏に配管が通っている場合、冷媒管が周囲の空気と接触しやすくなり結露が起きやすいのです。

また、天井埋込型のエアコンで十分な換気がされていない場合も、内部に湿気がこもりやすくなります。

設置時に配管の露出部分が多かったり、冷風の出る方向に遮蔽物があったりする場合も、冷気が一点に集中して結露を誘発する可能性があります。

業務用エアコン特有の結露リスク

業務用機器は一般家庭用と比べて稼働時間が長く、出力も高いため、温度差の影響を受けやすい傾向にあります。

また、複数の室内機を同時に稼働させるため、空間全体の空気の流れが複雑になり、場所によって湿度ムラが生まれることも。

さらに、設置場所が厨房や浴室付近である場合、湿気の量が多くなるため結露が常態化する危険性が高まります。

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結露による被害と放置のリスク

エアコンから発生する結露を放置してしまうと、見た目の問題にとどまらず、建物の劣化や健康被害、設備故障にまで発展するおそれがあります。

このセクションでは、業務用エアコンにおける結露の放置がもたらす具体的なリスクについて詳しく見ていきます。

業務用エアコンに起こる結露の深刻さ

業務用エアコンは大容量の冷暖房を担うため、家庭用よりも結露が多く発生しやすい傾向があります。

特に湿度が高くなりがちな梅雨時や冬場に稼働させると、吹出口や配管周辺に水滴が大量に付着します。

たとえば飲食店やオフィスビルでは、天井からの水漏れが来店者や従業員の安全に影響することもあります。

床に落ちた水が滑りやすい環境をつくり、事故やトラブルの引き金となる可能性も否定できません。

水滴による内装・什器の劣化

結露で発生した水滴が長時間にわたって床や壁に垂れると建材の劣化が進行します。

木製の床材が膨張して反り返ったり、壁紙が剥がれて見た目が悪くなったりといったトラブルが頻発します。

また、什器やオフィス機器に水が染み込むと、故障やサビの原因になります。

仮にパソコンやプリンターに水がかかれば、データ損失などの深刻な被害にもつながるため、結露による水分の拡散は絶対に軽視できません。

とくに天井埋込型エアコンからの結露は、見えない場所で起きているため気づきにくく、気がついたときにはすでに内装が痛んでいるケースも珍しくありません。

カビ・ダニ発生による健康被害

水滴が繰り返し落ちる場所では湿気が溜まりやすくなり、カビやダニが繁殖しやすくなります。

特に夏場や冬場の暖房使用時は室内が密閉されがちで、湿気がこもりやすい環境が続くためアレルギーや喘息のリスクが高まるのです。

たとえば、クリニックや小売店舗など人の出入りが多い空間では、空調管理の一環として清潔さが求められます。

そこにカビやダニの温床があれば、衛生面での信頼を大きく損ねかねません。

こうした健康被害のリスクを未然に防ぐためにも、日常的な結露管理は極めて重要といえるでしょう。

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ビル管理・衛生面でのリスク拡大

商業施設やテナントビルの管理者にとって、エアコンの結露は建物全体の評価や賃貸契約にも影響を及ぼします。

共用部での水漏れは他のテナントにも被害を与える可能性があり、クレームや賠償問題に発展するおそれもあるのです。

また、衛生管理の一環として定期清掃や除湿設備の設置が求められますが、それにかかるコストや人的リソースも無視できません。

小さな水滴ひとつが、結果として建物全体の運営効率を下げてしまうケースもあります。

そのため、結露対策は単なる修理・清掃ではなく、施設全体の品質管理と信頼性を守る施策として位置づける必要があります。

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今すぐできる結露の応急処置と対処法

結露による水滴が実際に垂れてきたときは、被害が広がる前に迅速な対処が求められます。

以下では業務用エアコンで発生した結露に対して、今日からでも実践できる応急処置と具体的な対応策をご紹介します。

吹出口や配管からの水滴処理方法

水滴がすでに吹出口や配管の表面に現れている場合、まずは水分を拭き取り、被害の拡大を防ぐことです。

乾いたタオルやペーパーで丁寧に水滴を取り除き、その後に再発を防ぐための仮対策を施しましょう。

たとえば、冷媒配管などには防露材や吸水テープを一時的に巻き付けておく方法が有効です。

防露テープはホームセンターなどで市販されており、配管や継手部分に沿って貼るだけで水分の飛散を抑えることができます。

さらに、天井埋込型などで吹出口から直接垂れている場合は、天井点検口から内部の湿気状態や排水経路を確認し、ドレンパンの詰まりや傾きを調査するのも重要です。

床や壁の二次被害を防ぐ方法

水滴が床や壁に落ちた際に最も避けたいのが、建材の腐食やカビの発生です。

そのためには、まず吸水性の高いマットやバスタオルを一時的に設置し、湿気を極力広げないようにします。

一例として、飲食店のホール天井から水が垂れてきた場合、業務終了後に床をすぐ乾拭きして消毒用アルコールを軽く噴霧するとカビや雑菌の繁殖をある程度抑えられます。

また、壁面に水がついた場合は、乾いた布でしっかりと拭き取り、その後に除湿機を近くに設置して水分を強制的に排出することも効果的です。

壁紙の裏まで湿気が回ると、後から剥がれや変色が起こるため、早期の処置が重要です。

緊急時に使える吸水テープやパッド

現場でよく使われる便利グッズとして、「吸水パッド」や「結露防止テープ」があります。

これらは配管や吹出口の下に貼る・敷くだけで水滴を吸収し、床や機器を守る働きをします。

たとえば、天井からポタポタ落ちる箇所に吸水パッドを設置すれば、店舗営業中でも最低限の安全を確保できます。

見た目も悪くならず、作業員が誤って滑るリスクも軽減できます。

吸水グッズにはさまざまな種類があり、厚み・サイズ・吸水力が異なる製品が揃っています。

緊急対策として常備しておくと安心です。併せて、湿気を根本から改善するための予防策を検討していきましょう。

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効果的な結露予防方法

結露は発生してから対処するよりも、事前に予防することがはるかに効果的です。

ここでは、業務用エアコンにおける結露の再発を防ぐために、換気・温度調整・運転方法といった日常の工夫でできる予防策を紹介します。

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換気と除湿のバランスを取る

結露を防ぐ基本は「空間内の湿気をため込まない」ことにあります。

そのために最も効果的なのが定期的な換気と除湿運転の併用です。

たとえば、営業時間前後に窓や扉を数分開けるだけでも湿気の滞留を防ぐ効果があります。

加えて、除湿機能がある空調機であれば、冷房ではなく「ドライ運転」モードに切り替えることで、湿度を抑えながら冷却することができます。

また、トイレや厨房といった湿気の多いエリアが隣接している場合は局所的に換気扇を強化したり、調湿建材の導入を検討することで、空間全体の湿度バランスをコントロールできます。

室内温度と設定温度の調整法

設定温度と室内の実際の気温との差が大きすぎると、空気中の水蒸気が一気に冷やされ、結露が発生しやすくなります。

そこで、冷房や暖房の設定温度を「極端に低く・高く」しないことが重要です。

たとえば、真夏に屋外が35℃近くある日でも設定温度を22℃以下にすると、吹出口付近の温度が急激に下がり、冷気と湿気が反応して水滴が生じやすくなります。

冷房時は25~28℃、暖房時は20~23℃の範囲を目安に、緩やかな温度差を保つようにしましょう。

あわせて、温湿度計などを設置して現場の状態を「見える化」することで、管理者やスタッフの意識も高まります。

つけっぱなし運転の結露防止効果

意外に思われるかもしれませんが、エアコンをこまめにON・OFFするよりも、一定時間つけっぱなしにした方が結露を防げるケースもあります。

理由はエアコンの起動直後は内部が急冷されやすく、その際に湿気が結露として現れやすいからです。

たとえば、飲食店でランチ・ディナーの営業のたびに電源を入れ直すよりも、設定温度を控えめにして連続運転した方が、湿度や温度の変動が抑えられ、結露リスクが低下します。

もちろん、電気代との兼ね合いもあるため、営業時間帯は連続運転、それ以外はサーキュレーターや除湿器で補助するといった工夫でバランスを取ることが推奨されます。

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結露防止に役立つおすすめグッズ

業務用エアコンの結露対策として、市販の防止グッズを活用することで手軽に水滴の飛散や二次被害を防ぐことができます。

以下からは代表的な製品の特徴や設置のしやすさ、導入コストなどをわかりやすくご紹介します。

結露防止テープや断熱カバーの種類と選び方

結露防止テープは、冷媒配管やドレンホースに直接巻きつけるタイプが主流で、水滴の垂れ落ちを物理的に防ぐことが可能です。

素材はスポンジ状の断熱材が使われており、手軽に施工できる点が魅力です。一方で、配管全体を覆いたい場合は断熱カバーがおすすめです。

こちらは施工の手間がややかかるものの、保温・断熱性に優れており、高湿度な環境下でも効果を長く維持しやすいのが特長です。

選ぶ際のポイントは以下の3点です。

選ぶ際のポイント
  • 設置対象(配管/吹出口/床など)
  • 使用環境(厨房のような高湿地/空調設備室など)
  • 設置作業の難易度(誰が施工するか)

現場に応じたグッズを選ぶことで、結露リスクを的確に軽減できます。

市販品の特徴と設置のポイント

以下に、代表的な結露対策グッズを比較した表を掲載します。

導入前の検討材料としてご活用ください。

結露防止グッズ比較表

商品名・タイプ コスト目安 効果 導入難易度
結露防止テープ(汎用品) 約500〜1,000円 水滴の垂れ防止 低(貼るだけ)
断熱カバー(業務用配管向け) 約3,000〜10,000円 結露の発生を抑える 中(設置には知識が必要)
吸水パッド(床・壁設置用) 約1,000〜2,500円 水漏れによる二次被害を軽減 低(置くだけまたは貼り付け)

たとえば、飲食店の天井から水が垂れて床が濡れてしまう場合は吸水パッドの仮設で営業中の被害を最小限に抑えつつ、後日しっかりと断熱材の施工を検討するなど、段階的な導入が現実的です。

また、吹出口周辺に貼る断熱シートは見た目に配慮したデザイン性のあるタイプも登場しており、客商売の空間でも違和感なく設置できます。

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窓・壁・吹出口など場所別の対策

結露はエアコン本体だけでなく、吹出口周辺、窓、配管、壁面などさまざまな場所に発生します。

それぞれに合った適切な対策を行うことで、トータルでの結露リスクを大きく軽減することが可能です。

以下からは部位ごとの対策方法をわかりやすくご紹介します。

吹出口からの結露対策

エアコンの吹出口から水滴が垂れてくるケースは非常に多く、特に天井埋込型の業務用エアコンでは、排水機構(ドレンパン)の詰まりや傾きが原因になることがあります。

このような場合、まずはドレンホースが詰まっていないか、傾斜が十分にあるかを点検することが基本です。

また、定期的な内部清掃と、除湿時の排水状況の確認も欠かせません。

応急的には、吹出口周辺に吸水パッドや撥水性のテープを貼って水滴の落下を抑えることができますが、根本的には内部の結露排水経路の見直しや冷媒配管の断熱強化が必要です。

ガラス窓にできる水滴の防止方法

エアコンの冷気が直接ガラス窓に当たることで、窓面が冷やされて結露が生じることがあります。

このような現象は大きな窓がある店舗やオフィスで特に起こりやすいです。

対策としては、以下の方法が有効です。

水滴の防止方法
  • ・断熱フィルムの貼付:窓ガラスの表面温度を下げにくくし、結露の発生を抑える
  • ・ウインドウガードの設置:エアコンの風が直接当たらないように風向を調整する
  • ・カーテンやブラインドの活用:空気の流れを緩やかにして温度差をやわらげる

また、窓際にサーキュレーターを設置して空気の流れを調整することで、冷気が局所的にたまらないよう工夫するのも有効です。

配管や壁面の断熱・防滴処理

冷媒配管やその周囲の壁面で結露が発生する場合、多くは断熱材が劣化しているか、そもそも施工されていないことが原因です。

このようなケースでは配管専用の断熱チューブを巻く/補修するのが基本です。

施工時の隙間やジョイント部に断熱材がしっかりと密着していないと、そこから冷気が伝わって結露を誘発してしまいます。

また、壁面に直接結露が付着している場合は、断熱パネルや吸放湿パネルの取り付けによって表面温度を上げ、湿気を吸収・拡散することで改善できます。

建築構造そのものの断熱性が低い場合は局所的な改修や空間全体の換気強化も検討する必要があります。

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業務用エアコンならではの注意点

業務用エアコンはその特性上、出力や設置環境が家庭用と大きく異なります。

そのため、結露へのアプローチも家庭とは違った視点が必要になります。

以下からは業務用エアコンならではの特徴を踏まえた注意点と対策方法をお伝えします。

一般家庭用と何が違うのか

まず前提として、業務用エアコンは冷暖房能力が高く、複数の室内機を集中管理するシステムになっているケースが多いです。

その分、使用環境が広範囲にわたるため、局所的な温度差や湿度のムラが生じやすいという特徴があります。

また、長時間連続稼働することが前提で設計されているため、排水(ドレン)量が多く、排水経路やメンテナンス体制がより重要になります。

家庭用と同じ感覚で扱うと、排水の詰まりや排気不足により、結露が激しくなってしまうのです。

さらに、業務用エアコンは天井埋込型・ビルトイン型などの特殊な設置方式も多く、配管や吹出口が壁の内側や天井裏に隠れているため、問題が目に見えにくく発見が遅れがちです。

大型空調設備での結露の管理ポイント

たとえば、大規模オフィスや商業施設では複数の空調ゾーンを制御する中央制御システムが導入されていることもあります。

その場合、湿度や温度をきめ細かく制御できていないと、一部のエリアだけで結露が集中発生する可能性があるため注意が必要です。

このような現場では、以下のような管理ポイントが有効です。

結露を管理するポイント
  • 各エリアの温湿度をモニタリングするセンサー類の設置
  • ドレン経路の定期点検と排水ポンプの動作確認
  • 空調機本体だけでなく、室内の換気・送風計画の見直し

また、定期点検の頻度も家庭用より高めに設定し、月次・季節単位で清掃・点検をルーティン化することで結露の未然防止が期待できます。

天井埋込型・ビルトイン型での工夫

天井埋込型やビルトイン型のエアコンでは、結露による天井材のシミ・変色や、内部でのカビ繁殖が発生しやすい傾向があります。

これらの対策として重要なのが、内部結露を排出するルートの管理断熱処理の徹底です。

具体的には以下のような工夫が有効です。

内部結露を防ぐ工夫
  • ・冷媒配管・ドレンホースに厚手の断熱材を巻く
  • ・室内ユニット周辺に撥水シートや結露防止テープを貼る
  • ・点検口の設置場所を見直し、清掃しやすくする

また、定期的に点検口から内部の状態を目視確認することで、結露が溜まっていないか、ドレン水が正常に流れているかを確認できます。

ビルトイン型の場合は、吹出口が家具や壁面に隠れてしまうことも多いため、風の通り道の確保も忘れずに行いましょう。

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メーカーごとの結露防止機能

近年、主要エアコンメーカーは業務用機器における結露対策の重要性を踏まえ、独自の機能や運転モードを提供しています。

代表的なメーカーの結露防止機能の仕組みと導入の可否、運用時の注意点について紹介します。

ダイキンの結露防止運転の仕組み

ダイキンでは、業務用エアコンに「結露防止運転モード」が搭載されている機種があります。

このモードは室内機の吹出口温度と湿度を自動的に調整し、空気が飽和する前に制御をかける仕組みとなっています。

具体的には、空気の露点温度(結露が発生しやすい温度)に近づくと、冷房の出力を一時的に抑えたり、送風に切り替えるなどの自動制御が働きます。

これにより、吹出口や天井周辺に水滴が発生するリスクを低減できます。この機能は、厨房併設の店舗や湿気の多い業務空間において特に効果的です。

初期設定ではオフになっていることもあるため、導入時は取扱説明書や施工業者に確認し、運転モードの切り替えを行っておくとよいでしょう。

他メーカーの同等機能と比較

ダイキン以外でも、三菱電機、日立、東芝、パナソニックなどの主要メーカーでは湿度制御や結露抑制を意識した独自の機能を展開しています。

メーカー名 主な機能名称 概要
ダイキン 結露防止運転 吹出口温度制御による自動運転切替
三菱電機 スマート除湿モード 湿度に応じて冷房/除湿を自動切替
日立 カラッと除湿 湿度を管理しながら室内環境に合わせて自動で除湿
パナソニック エコナビ湿度制御 人の在不在や湿度状況に応じた節電除湿モード

これらの機能は基本的にオプション設定や上位機種に搭載されていることが多いため、機器選定時に結露対策を重視してモデルを選ぶのがポイントです。

また、現場の環境(厨房、地下、倉庫など)によっては、外部湿度センサーとの組み合わせによる精密制御が必要になるケースもあるため設計段階での相談をおすすめします。

導入の有無と運用時の注意点

結露防止機能が備わっていても、「機能を正しく使わないと効果が発揮されない」という点には注意が必要です。

たとえば、施工時にドレン管の勾配が不十分だったり、断熱材が雑に取り付けられていたりすると結露機能があっても水滴が発生してしまいます。

また、結露防止機能は湿度の急変に完全には対応できないこともあるため、機械任せではなく、人的な日常点検や空調計画との併用が重要です。

もし既設のエアコンに結露防止機能がない場合でもファームウェア更新や外付けセンサーの追加で一部機能を代替できる可能性もあるため、メーカーに問い合わせてみると良いでしょう。

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よくある質問

読者の皆さまから寄せられることが多い疑問を、わかりやすくQ&A形式でまとめました。

すでに本文で解説している内容を補足する形で実際の現場で役立つ視点を加えて回答します。

エアコンをつけっぱなしにしておけば結露しないの?

一概には言えませんが、一定の条件下ではつけっぱなしの方が結露を抑えやすいケースがあります。

こまめなON・OFFを繰り返すと、エアコン内部が急激に冷やされたり、湿度が安定せず、かえって結露を引き起こす要因になることがあります。

とくに営業時間内で人の出入りが多い業務環境では、温湿度の変動を避けるために、弱運転での連続稼働を検討するのが賢明です。

ただし、電気代や騒音への配慮も必要なため、換気や補助的な除湿機と併用してバランスを取るのが理想的です。

結露がひどいとエアコンは故障する?

はい、内部結露を長期間放置すると、エアコンの故障リスクは高まります

たとえば、ドレンパンの水があふれると漏電の危険性があり、基板やモーターなどの電装部品が水に触れれば動作不良を引き起こす可能性もあります。

また、結露によって発生したカビが送風経路に入り込むと、風量低下や異臭の原因にもなり、使用環境の品質が著しく損なわれます

定期的なメンテナンスと清掃を怠らないようにしましょう。

冬場に結露が増えるのはなぜ?

冬場は外気温が低く、室内との温度差が大きくなるため、暖房運転中でも結露は起きやすくなります

特に加湿器を使用していたり、閉め切った室内で湿度が高まっていると、冷たい窓や壁に空気中の水蒸気が触れて水滴になります。

また、天井裏などの温度が下がりやすい場所に冷媒配管が通っていると、暖房中でも結露が内部に発生し、それが外部へ漏れる場合もあるので注意が必要です。

結露対策グッズは併用しても大丈夫?

はい、複数のグッズを併用することでより効果的な結露対策が可能です。

たとえば冷媒配管には断熱テープを巻き、吹出口の下には吸水パッドを敷き、窓には断熱フィルムを貼るといった具合に各部位に適したグッズを使い分けることで、全体としての結露リスクを抑えることができます。

ただし、空気の流れを妨げるような設置や、排水経路を塞ぐような使い方は逆効果となるため、設置方法には十分注意してください。

業務用エアコンでもDIYで対策できる?

簡易的な応急処置やグッズの設置はDIYでも可能です。

たとえば、防露テープの巻き付けや吸水パッドの設置、除湿器の設置などは特別な工具を使わずに実施できます

ただし、配管の断熱材補修やドレン配管の詰まり除去、内部の水漏れ修理などは専門知識を要するため、専門業者に依頼するのが安全です。

自分で対応するか判断に迷う場合は、まずは点検や見積もりだけでもプロに相談することをおすすめします。

まとめ

業務用エアコンにおける結露は単なる「不快な現象」ではなく、建物の劣化や衛生リスク、設備トラブルなど多方面に影響を及ぼす重大な課題です。

この記事では結露の発生メカニズムから実践的な応急処置、予防方法、便利な対策グッズ、そして業務用特有の注意点やメーカー機能まで、幅広く解説してきました。

特に重要なのは次の3点です。

結露対策のポイント
  • ・湿度管理と温度差のコントロール:換気・除湿・適切な運転温度の維持が基本です。
  • ・対処と予防の両立:吸水パッドや断熱テープでの即時対処と、設備面の見直しを並行して行う。
  • ・専門的な視点の活用:DIYでは限界のある部分は、定期点検や業者の診断を取り入れること。

結露が繰り返し発生している場合、経年劣化や設計上の問題が影響している可能性も。

最新の業務用エアコンなら、省エネ性能だけでなく結露防止機能や湿度制御も大幅に進化しています。

修理を繰り返すより、根本から快適環境を見直すチャンスかもしれません。「そろそろ入れ替えを検討したい」「最適な機種を相談したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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