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保育園の内装設計を進めるうえで、まず押さえておきたいのが関連する法令についてです。
特に重要なのは「児童福祉施設最低基準」「建築基準法」「消防法」の3つで、それぞれが異なる視点で保育園の安全・衛生・機能性を担保しています。
この記事では、それぞれの法律の内容と相互の関係について解説していきます。
児童福祉施設最低基準は、厚生労働省が定めた児童福祉法に基づく基準です。
保育所(保育園)において、子どもが心身ともに健やかに成長できるよう、施設の構造や設備に関する最低限の要件を示しています。
たとえば、保育室の面積は「乳児1.65㎡以上、幼児1.98㎡以上」、採光・換気・照明の確保、トイレの衛生構造などが細かく定められています。
この基準を満たさなければ、保育園として認可されないため、設計の前提条件として必ず確認しておく必要があります。
建築基準法は、すべての建築物に対して安全性や環境保全を確保するための基本的な法律です。
保育園も例外ではなく、用途地域や建ぺい率、耐震基準、避難経路などの項目が適用されます。
特に注意すべきなのが「内装制限」です。
これは、一定規模以上の施設では、火災時に燃え広がらないよう、内装に使える材料が制限されるルールです。これについては次章で詳しく解説します。
一方、消防法では、火災発生時に子どもを安全に避難させるためのスプリンクラー設置、避難誘導灯、非常口の確保といった視点が強調されます。
建築基準法と並行して守る必要があり、設計段階で両者を同時に考慮しなければなりません。
これらの法律は相互に関係しつつも、異なる目的を持っています。
整理すると以下のようになります。
法律名 | 主な目的 | 設計で関係するポイント |
---|---|---|
児童福祉施設最低基準 | 子どもの健全な成長を支える環境 | 面積、衛生、照明、空調などの基準 |
建築基準法 | 建物の安全性・都市環境の保全 | 耐震性、避難経路、用途制限など |
消防法 | 火災発生時の安全確保 | 防火区画、避難導線、スプリンクラー等 |
これらをバラバラに考えるのではなく、「安全で健全な保育環境をつくるための複数の視点」として統合的に設計に反映することが重要です。
保育園の内装設計では、「火災時の安全」と「日常の快適性・衛生面」が両立することが求められます。
特に注目すべきは「内装制限」と「素材の選び方」です。
ここでは、防火や不燃素材の基本的な知識から、色の使い方や仕上げの工夫、安全性と清潔さを両立させるための実践的なポイントまで、わかりやすくご紹介いたします。
内装制限とは、火災時に避難の妨げとなる煙や有害ガスの発生、燃え広がりを防ぐために、一定の施設に課される内装材の使用制限です。
保育園は「不特定多数が利用し、避難に時間がかかる施設」として、建築基準法により内装制限の対象とされています。
具体的には、廊下・階段・避難経路に使われる壁や天井などの仕上げ材に対して「不燃材」「準不燃材」「難燃材」といった分類があり、用途に応じて使用できる材料が定められています。
設計段階では、これらの区分と使用箇所の適合性を確認することが必須です。
建築基準法で定められている不燃性材料は、国土交通大臣の認定を受けたものに限られ、代表的な例としては、ケイ酸カルシウム板、グラスウール入り石膏ボード、金属パネルなどがあります。
また、選定時は「防火性能」だけでなく、「施工性」「仕上がり」「コスト」も考慮する必要があります。見た目が重視される室内では、下地は不燃材、仕上げは難燃性クロスというように複合的な使い方をすることも多いです。
保育園では、単に安全な素材を使うだけでなく、子どもたちが落ち着いて過ごせるような色彩計画が重要です。
たとえば、壁には明るくやさしいトーン(ベージュ、ライトグリーン、パステル系)を使い、刺激を与えすぎない空間を演出すると良いでしょう。
また、塗装や壁紙の仕上げには「艶消し」を選ぶと、照明の反射が抑えられ、空間全体が柔らかい印象になります。
汚れやすい箇所は、拭き取りやすく、抗菌・防汚加工のある壁紙や塗料を選ぶと衛生管理もしやすくなります。
保育園では、子どもが床をハイハイしたり、壁に触れることが日常です。そのため、内装材には「安全性」と「清掃性」の両方が求められます。
たとえば、床材にはクッション性があり滑りにくく、耐薬品性のある長尺ビニール床材が使用されることも多いです。
壁材についても、アルコール拭きや水拭きが可能なものを選ぶと、感染症対策や汚れの除去が容易になります。
さらに、ホルムアルデヒド放散量が少ない「F☆☆☆☆」等級の材料を使うことで、シックハウス対策もできます。
【シックハウス症候群】対策方法と換気不足が招く人体への悪影響とは?
保育園の設計では、法令に従うことはもちろん重要ですが、それだけでは温かみや安心感に欠けた「無機質な空間」になってしまうこともあります。
ここでは、法律を順守しつつも、魅力的で使いやすい空間を実現するためのデザイン的工夫について具体的に解説します。
手段の一つとして、たとえば、消防法によりスプリンクラーや避難誘導灯を設置する必要があるとしても、それをあえてアクセントカラーでデザインに組み込むなど、義務設備を空間の一部として活かす発想が効果的です。
また、防火区画で設置しなければならない耐火扉なども、素材や色を工夫すれば、施設全体のトーンと統一感を持たせることが可能です。
制限を単なる制約と捉えるのではなく、「新たな工夫のきっかけ」として前向きに捉えることが、個性的で心地よい空間づくりの第一歩となります。
たとえば天井には、吸音素材を使って声の反響を抑えると同時に、木目調のクロスで温かみを演出することができます。
消防法により不燃材が求められる場合でも、表面仕上げで色味や質感を変えることで柔らかい印象に仕上げることも可能です。
壁面では、低い位置に掲示物スペースを設けることで子どもが自分で見られる「自分の居場所感」を演出できます。
床材には、耐久性と清掃性を保ちながら、ゾーンごとに色を変えて動線を自然に示すといった手法が有効です。
これにより、法的に必要な安全基準を満たしつつ、視覚的にも心地よい空間が実現できます。
保育園に訪れるのは子どもだけでなく、保護者や地域の人々も含まれます。
そのため、空間デザインは「第一印象」の役割も担っています。特に、玄関や受付まわりは“園の顔”とも言える存在です。
たとえば、温かみのある間接照明や自然素材のインテリアを取り入れることで、安心感や信頼感を生むことができます。
また、色彩計画においても、明るすぎず、暗すぎず、優しいトーンを基調とすることで「落ち着ける空間」として認識されやすくなります。
保育園は子どもたちにとって1日の多くを過ごす「生活の場」です。
単なる安全性だけでなく、感情的な安定や自主性の育成にも配慮した空間設計が求められます。
ここからは、子ども目線で考える快適な環境の条件や年齢別の配慮点、ストレスを軽減するための動線ついて解説していきます。
大人が「良い」と感じる空間と、子どもが安心できる空間は必ずしも一致しません。
たとえば、開放的すぎる空間は、子どもにとって「居場所がない」「落ち着かない」と感じられることがあります。
適度に囲まれた場所や、視線の届く範囲に安心できる大人がいる配置が、安心感を与えやすくなります。
空間内の「動きやすさ」も、子どもの快適性に直結します。
たとえば、同じ教室内でも、遊ぶ・食べる・寝るエリアを明確にゾーン分けしておくと、行動の切り替えがスムーズになり、混乱やストレスを軽減できます。
視界の設計も重要です。大人の視点からでは見通しがよくても、子どもにとっては「先生が見える」「安心できる物がある」といった視覚的要素も必要です。
低めの仕切りや透明素材を活用し、視線がつながる空間構成を工夫しましょう。
保育園の空間は、単なる「施設」ではなく、その園の教育方針や保育理念を体現する場でもあります。
たとえば、「自然とのふれあい」を大切にしている園なら、木や植物をテーマにした装飾や素材を取り入れると一貫性が生まれます。
また、子どもが自分で選べる遊びコーナーや、自分の作品を飾れるスペースをつくることで、「自主性を育む」という理念を空間に落とし込むことができます。
ロゴやキャラクター、園歌の一部を壁に描くなども、個性を印象づける手法の一つです。
外観は、通園する保護者や地域の人々、そして子どもたちにとって、園の外観は“最初に出会う印象”を決定づける場面です。
ここからは、第一印象を左右する外観の重要性、地域との調和、内装との統一感を出す方法について解説します。
たとえば、手入れの行き届いた植栽や、明るく開放的なエントランスは、清潔感や安心感を演出します。
一方で、外壁が色あせていたり、雑然とした印象のある園は、いくら中身が良くても評価されにくくなってしまいます。
見た目は中身の一部と考え、「来訪者の視点でどう見えるか」を意識することが大切です。
保育園は、地域コミュニティの一員でもあります。そのため、周囲の住宅や建物と調和する色使いや素材選びが好印象につながります。
たとえば、住宅地では落ち着いたナチュラルカラー、商業エリアでは明るくポップな外観がなじみやすいでしょう。
さらに、地域の行事や自然環境をデザインに取り込むことで、街の景観との一体感が生まれます。
壁面に地域の風景を描いたり、地元の木材を取り入れるなど、地域とのつながりを感じさせる工夫もおすすめです。
外観と内装があまりに異なる雰囲気だと、来園者に「違和感」を与えてしまう可能性があります。
たとえば、外観が無機質なのに内装が温かみ重視だと、子どもや保護者にとって心理的なギャップが生じてしまう可能性もあります。
そこで重要なのが、「テーマ性」を持たせた設計です。たとえば、木の温もりをテーマにするなら、外壁に木調サイディングを使い、内装にも無垢材や木目調の家具を配置すると一体感が出ます。
また、ファサードサイン(看板)や入口のドアデザインなども、園のキャラクターやロゴカラーと連動させることで、園全体が統一された世界観として印象づけられます。
保育園の空間では、子どもたちの感性や想像力を刺激する「遊び心」も欠かせません。
イラストや壁画、装飾などを活用することで、楽しく親しみやすい空間を演出できます。
ここからは、子どもが楽しめるアイデア、イラストの効果と注意点、保育士との連携による装飾づくりについて解説します。
たとえば、動物や果物、季節の草花などをモチーフにした壁面装飾や、トンネル型の入口、隠れ家のような読み聞かせコーナーなどは、子どもたちの興味関心を惹きつけます。
壁一面をチョークボードやマグネットウォールにすれば、日替わりで装飾や掲示内容を変えることもでき、飽きのこない工夫になります。
また、子どもたちの描いた絵や工作を飾るだけでも、その空間が「自分たちの場所」であるという認識につながります。
自分の作品が展示される喜びが、空間への愛着や自己肯定感の向上にもつながるのです。
イラストや壁画は、空間にストーリー性や世界観をもたらす有効な手段ですが、装飾が過剰になると視覚的なノイズとなり、落ち着かない空間になってしまうリスクもあります。
特に乳児室などでは、過度な色数や派手なデザインは避け、柔らかいトーンを基本に構成しましょう。
また、壁画などを描く場合は、耐久性や衛生面も考慮して塗料を選ぶことが大切です。汚れが拭き取れるか、日焼けしにくいかといった点にも注目しましょう。
保育園の空間づくりには、実は商業施設や店舗デザインの手法が数多く応用できます。
特に「動線設計」「ゾーニング」「ライティング」「配色計画」などは、来園者・職員・子どもそれぞれの満足度向上につながる重要な要素です。
ここからは、商業施設で使われているデザイン技法を保育園で活かす方法を紹介します。
店舗では顧客の視線や移動パターンが綿密に計算されています。
保育園でも同様に、子ども・職員・保護者それぞれにとって無理のない導線が求められます。
たとえば、保護者が朝の送り迎えをスムーズにできるよう、玄関から保育室までを「直線的で遮りのない動線」にすると、混雑やストレスを軽減できます。
また、子どもが遊ぶ・学ぶ・休むを切り替えやすいよう、活動内容ごとにゾーニングされた空間配置が重要です。
ゾーニングは「動」と「静」のエリアを意識して分けることで、集中とリラックスのバランスが取りやすくなります。
保育園の内装や空間設計を進めるにあたって、事前に準備しておくべきポイントがいくつかあります。
希望やこだわりを設計担当者にうまく伝えるには、抽象的な言葉ではなく「目的」や「背景」を明確にした説明が有効です。
たとえば、「おしゃれな内装にしたい」という要望は、「保護者に安心感と信頼感を持ってもらえる空間にしたい」と言い換えることで、設計側も具体的な方向性を描きやすくなります。
また、要望をカテゴリごとに整理しておくのもポイントです。
このように整理された要望は、設計者との認識齟齬を減らす大きな助けになります。
設計図面を見るのが初めてという場合でも、押さえておきたいチェックポイントがあります。
たとえば、「動線のつながり」「トイレや水場の位置」「収納の有無」などです。
平面図だけでなく、立体的に空間を想像する意識が大切です。
可能であれば、パース図などを使って空間の雰囲気を確認することで、「完成してみたらイメージと違った」というギャップも防げます。
設計前には、自治体の条例確認や現地の採光・風通しの確認、防災設備の条件など、細かい法的・環境的調査が必要になります。
とくに保育園は多くの法規制が絡むため、「確認申請」「保健所・消防との調整」などにも時間的余裕を持たせておきましょう。
また、関係者(園長・主任保育士・保護者代表など)と初期段階で方向性を共有しておくと、設計途中での大きな修正やトラブルを回避できます。
ReAirでは内装の設計から施工までを一貫で対応いたします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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