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たとえば、空き物件をオフィスや店舗として使おうとしたとき、「どこからどこまでを内装工事と呼ぶのか」がよくわからず、戸惑った経験はありませんか?
実は内装工事とひとことで言っても、その中には壁や床の仕上げといった“見える部分”だけでなく、電気や水道、空調など“見えない設備”の工事まで含まれることが多いのです。
しかも、それぞれを担当する職人や工程、資格も異なります。
知らずに依頼してしまうと、「これは別途費用です」「これはうちの施工範囲外です」と後から言われてしまうことも。
この記事では内装工事の基本構造を「内装仕上工事」と「設備工事」に分けてわかりやすく整理しながら、各作業で何を行うのか、どんな資格者が関与するのか、そして費用や工期の目安までを解説します。
これから工事を検討している方はもちろん、見積書や契約書を前にして「これって何の工事だろう?」と不安を感じている方にも役立つ内容になっています。
内装工事とは、建物内部の空間を人が快適に過ごせるように整えるための一連の工事を指します。
具体的には壁・天井・床の仕上げや、建具・家具の設置、さらに電気・給排水・空調といった各種設備の整備まで含まれることがあります。
ただし「内装工事」といっても、業者や文脈によって指す範囲は異なるため、まずはその基本的な分類と役割を明確にすることが大切です。
内装工事は大きく「内装仕上工事」と「設備工事」の2つに分けられます。
前者は空間の“見た目”と“使い勝手”を整える工事であり、後者は空間に“機能”を与える工事といえます。
たとえば、クロスや床材の貼り替え、間仕切りの設置、建具の取付などは内装仕上工事に該当します。
一方で、照明の配線やスイッチ・コンセントの設置、水道の引き込みや換気扇の取り付けなどは、すべて設備工事に含まれます。
この違いを理解しておくと、「どの工事は誰に任せるべきか」「見積の何が高いのか」といった疑問をスムーズに解消できます。
実際の現場では、内装仕上工事と設備工事が“完全に別物”として区切られるわけではありません。
洗面台の設置工事は、設備(配管)と仕上げ(カウンター・壁面仕上げ)が混在しています。
照明器具の取り付けも電気工事とインテリアデザインの両面から考える必要があります。
そのため、発注者側は「これは設備か?仕上げか?」という枠組みにとらわれすぎず、目的と工程の連携を意識することが重要です。
特に複数業者が関与する場合は、工事範囲の調整と工程管理がスムーズに行えるよう、事前に十分な情報共有をしておきましょう。
設計図面や見積書では、工事項目が「内装仕上工事」「電気設備工事」「給排水工事」などに分類され、それぞれ別々に記載されるのが一般的です。
また公共建築や官公庁の案件では「建築工事」「機械設備工事」「電気工事」といった区分に分かれ、それぞれに責任施工者が定められます。
一方、民間の小規模な内装リフォームでは「内装工事一式」や「設備工事一式」としてざっくりまとめられることもあり、内容が不透明になりがちです。
工事内容を正確に把握するためには、一式表記の中身を細かくヒアリングすることが欠かせません。
内装仕上工事は、建物の構造体(スケルトン)に対して、壁・床・天井・建具などの“内側”を仕上げていく工事です。
見た目の美しさはもちろん、居心地や空間の用途に応じた機能性を整えるという重要な役割を持ちます。
ここでは代表的な仕上げ工事を分類し、それぞれの特徴と目的を解説します。
軽鉄(けいてつ)工事とは、天井や壁の骨組みを軽量鉄骨材(LGS:Light Gauge Steel)で組み立てる作業です。
木材に比べて狂いが少なく、耐火性にも優れているため、オフィスや商業施設では定番の工法です。
その後に行うのが「ボード工事」で、石膏ボードやケイカル板といった材料を骨組みに貼り付けていきます。
このボードがクロスや塗装などの“仕上げ層”の下地となります。
この工程は見えない部分ながら内装全体の平滑性や耐久性、遮音性などを左右する非常に重要な土台になります。
施工精度の差が後の仕上がりに直結するため、職人の技量が問われる工程です。
内装の“表情”を決めるのが、この仕上げ工事群です。
壁紙を貼る作業。ビニールクロスが主流ですが、和紙・布・漆喰クロスなども選択肢に。下地処理の精度で美しさが変わります。
珪藻土・漆喰などを手作業で塗り仕上げる技術。調湿性や質感を重視する空間に適しています。腕の良い職人に依頼する価値があります。
フローリング、タイル、塩ビシート、カーペットなど、用途に応じて選定。耐久性・清掃性・見た目など複数要素のバランスが求められます。
和室空間で必要とされる伝統工法。縁なし畳やカラー畳など、モダンな選択肢も増えています。
この工程は利用者が直接目にする・触れる部分であるため、空間の印象や快適性に直結します。
店舗や施設ではブランディング要素としても非常に重要です。
内装空間を機能的に仕切る、または装飾性を高めるための工事として、以下のような工程があります。
ドア・引き戸・パーテーションなどの可動部材を取り付ける作業。素材や金物選びで印象が大きく変わります。
収納棚・カウンター・作り付け什器などの設置。造作家具は空間になじみやすく、無駄なスペースを減らせます。
木や金属を用いた建具やパネルを空間に合わせて製作・取り付けします。店舗やクリニックでは高級感演出にも活用されます。
細かな造作や下地調整、他工種との取り合いなど、現場の“調整役”を担うことが多く、全体の仕上がりを支える縁の下の力持ち的な存在です。
仕上げるだけでなく「つくる」「収める」「見せる」こともまた、内装仕上工事の役割です。
設備工事とは、建物内に電気・水道・ガス・空調・換気などの「機能」を持たせるための工事です。
仕上工事が“見た目”や“空間構成”を整えるのに対し、設備工事は“暮らす・働くために必要なインフラ”を整えることが目的です。
専門資格が必要な分野も多く、設計・施工ともに高度な専門性が求められます。
まず、電気工事は照明・コンセント・スイッチなどの設置に必要不可欠です。分電盤(ブレーカー)から各設備への電線を通し、壁内や天井裏に配線を行います。
電気容量の計画を怠ると、エアコンや電子機器の同時使用でブレーカーが落ちる、といったトラブルが発生しやすくなります。
次にガス工事は、キッチンや給湯器などでガスを使用する場合に行う配管作業です。
ガス漏れは重大事故につながるため、ガス消費機器設置工事監督者などの有資格者が必須です。都市ガス・プロパンガスによって施工方法も異なります。
どちらも施工後の安全確認(漏電・漏洩テスト)や検査対応までが一連の業務に含まれます。
見た目には表れにくい工事ですが、日常生活や業務の安定性を支える重要な分野です。
水回りに関する工事は、給水と排水の両方をセットで計画する必要があります。
たとえばキッチンやトイレ、洗面所を新設する場合、それぞれに給水管と排水管を適切に配管しなければなりません。
給水には水圧・経路・管径の設計が重要で、排水には「排水勾配(配管に必要な傾斜)」や「臭気対策(トラップ構造)」などの考慮が必要です。
また、ビルやテナント物件では既存の縦配管・床下配管との接続条件に注意が必要です。配管経路に無理があると、水漏れ・逆流・においの逆流などの原因となります。
この分野の工事も「給水装置工事主任技術者」「排水設備工事責任技術者」などの資格保有者による設計・施工が求められます。
空調・換気工事は人が長時間過ごす空間において“快適さ”を左右する非常に重要な工事です。
空調設備としてはエアコン(壁掛け型・天井埋込型)、業務用パッケージエアコン、床置型などがあります。
広さ・天井高・使用人数に応じて適切な能力を選定し、電気容量や排熱の処理方法まで計画に含める必要があります。
換気設備は、室内の空気を入れ替えたり、湿気・臭気を排出する目的で設置されます。
厨房・トイレ・サロン・工場など業種によって換気量の基準やダクトの構成が大きく異なるため、物件や用途に応じた設計が必要です。
これらの工事は単に“快適にする”だけでなく、シックハウス対策・火災予防・省エネ設計などにも関わるため、近年ますます重要性が高まっています。
内装工事は「仕上げ」「設備」を別々に考えがちですが、実際の現場では両者を交互に行う工程が多く、綿密な連携が求められる工種です。
特に施工順序を誤ると、やり直しや工期の遅延、仕上がりの不具合につながることもあるため、全体の流れを把握しておくことが重要です。
内装工事の基本的な流れは以下のようになります。
このように、設備工事(特に配線・配管を含む管工事)は「見えなくなる前」に仕込んでおく必要があるため、工程の前半で行われます。
その後に仕上げ工事を重ね、最後に機器を接続・動作確認して完了です。
仕上工事と設備工事は、実はぶつかりやすい“接点”が非常に多いのが現実です。
たとえば、
こうした問題を防ぐには、工事前に設備・仕上げの双方の図面をすり合わせること(施工図・納まり図)が何より重要です。
専門業者が別々でも、発注者側が全体像を理解していれば、調整がスムーズに進みます。
現場では「設計する人(設計者)」「現場を管理する人(現場監督)」「実際に手を動かす人(職人)」の3者が関わります。
中小規模の工事では、これらを1人または1社が兼任することもありますが、役割を分けて考えることが重要です。
この3者が連携することで、設備と仕上げのバランスが取れた美しく、かつ機能的な空間が完成します。
反対に設計の不備や現場での確認漏れがあると、完成後に「スイッチが扉の裏にある」「コンセントの高さが不便」など、見た目ではわからない使いづらさが残ってしまいます。
内装工事を検討するうえで気になるのが「どれくらいの費用がかかるのか」「どの程度の期間で終わるのか」という点です。
しかし実際は、面積・用途・仕上げレベル・設備条件によって大きく変動するため、相場感と判断基準を知っておくことが非常に重要です。
ここでは仕上工事・設備工事それぞれの費用感と、工期の目安を用途別に解説します。
まずは一般的な坪単価(1坪=約3.3㎡)の相場感を整理した表を紹介します。
工事区分 | 単価の目安(税別) | 内容の例 |
---|---|---|
内装仕上工事 | 4万円〜10万円/坪 | 壁・天井・床仕上げ、建具、家具、塗装など |
電気設備工事 | 1万円〜3万円/坪 | 照明・配線・コンセント・スイッチ等 |
空調・換気設備工事 | 2万円〜5万円/坪 | エアコン・換気扇・ダクトなど |
給排水工事 | 2万円〜6万円/坪 | シンク・トイレ・給湯・排水など |
トータル工事費 | 8万円〜20万円/坪前後 | 一式見積・用途やデザインによって大きく変動 |
※金額はあくまで参考値です。地域差・工事規模・仕様によって上下します。
※特殊な意匠や素材を使用する場合、単価はさらに上がります。
工事期間は、設計完了後から実施工・引き渡しまでの目安を以下にまとめました。
用途・施設タイプ | 面積の目安 | 主な工内容例 | 工期の目安(参考) |
---|---|---|---|
小規模オフィス | 20坪程度 | 間仕切り・照明・床・電気配線 | 2週間〜1ヶ月 |
中規模オフィス | 20〜50坪程度 | 各種仕上げ+設備(空調・LAN配線等) | 1ヶ月〜1.5ヶ月 |
美容室・サロン | 15〜30坪程度 | 床・壁・造作家具・給排水・空調 | 2ヶ月〜2.5ヶ月 |
テイクアウト専門店 | 10〜20坪程度 | 厨房設備・換気・カウンター造作など | 1ヶ月〜1.5ヶ月 |
飲食店(厨房・客席あり) | 20〜40坪程度 | 給排水・ガス・空調・仕上げ全般 | 1.5ヶ月〜2.5ヶ月 |
医療・クリニック | 20〜50坪程度 | 間仕切・配管・検査設備・衛生設備等 | 2ヶ月〜3ヶ月 |
中〜大規模テナント | 50坪以上 | 全工種一式+特注工事や検査対応 | 2ヶ月〜 以上(規模次第) |
特に飲食店や医療施設など、水回りや機械設備が多い施設は設計・申請・検査に時間がかかりやすいため、余裕を持ったスケジュール設定が大切です。
見積書を見ると「内装工事 一式:200万円」などの書き方に出会うことがあります。
この「一式見積」は金額が明確に見えて便利な一方で、内容の詳細が見えづらく、トラブルのもとになりやすいという側面もあります。
たとえば、後から「クロス張替えは含まれていません」「家具は別途です」と言われると、想定外の出費になることも。
一式表記であっても、項目ごとの内訳を出してもらい、対応範囲を明記しておくことで安心して依頼ができます。
このように見積書は「交渉資料」ではなく「契約内容」として扱われることを意識し、疑問点は必ず着工前に確認しましょう。
内装工事を安全かつ確実に進めるには、工事の種類ごとに必要な国家資格や技術基準があります。
特に電気・水道・ガスなどインフラに関わる工事は、有資格者でなければ施工できないものも多く、業者選びの重要な判断材料になります。
ここからは工事に必要な代表的な資格と信頼できる施工業者を選ぶ際のポイントを紹介します。
まずは、内装工事において法律上資格が必要となる主な作業と資格者の対応一覧を以下の表にまとめます。
工事区分 | 主な資格名 | 担当できる工事の内容 |
---|---|---|
電気工事 | 第1種・第2種電気工事士 | 配線、照明、スイッチ、コンセントの設置 |
給排水設備工事 | 給水装置工事主任技術者、排水設備責任技術者 | 給水・排水配管、トイレ・キッチンの接続 |
ガス工事 | ガス消費機器設置工事監督者 | ガスコンロ・給湯器などの接続、配管施工 |
空調設備工事 | 冷媒回収技術者(フロン排出抑制法対応) | エアコン取付、ダクト施工、冷媒ガスの取り扱いなど |
建築工事全般 | 建築士、建築施工管理技士 | 設計・監理・現場管理(中規模以上の内装全体工事) |
これらの資格を持っていない業者が該当工事を行った場合、違法となるだけでなく、事故や火災の原因になることもあります。
そのため、見積依頼の段階で「資格保有者が施工に関与しているか」を確認しておくことが重要です。
内装工事業者には、「仕上げ工事が得意な業者」と「設備工事を主軸とする業者」が存在します。
以下のような観点から自分の案件に合った業者かどうかを見極めましょう。
どちらか一方に偏ると、設計と施工のすり合わせに苦労することもあります。
設計から施工までを一貫して行える会社、あるいは信頼できる協力業者との連携体制がある会社であれば、工程の重複や連絡ミスも防げて安心です。
工事トラブルの多くは、「契約内容が曖昧だった」「図面と実際の仕上がりが違った」といった初期の確認不足から発生します。
そこで、業者を選定する前には、次のようなポイントをチェックしておきましょう。
また、疑問点がある場合は遠慮せずに質問し、「質問への返答が明確であるかどうか」も判断材料にするとよいでしょう。
工事は一度始まると後戻りしづらいため、工事開始前のすり合わせが何よりも大切と言えます。
はい、どちらも内装仕上工事に含まれます。クロス(壁紙)や床材の施工は、空間の内装仕上げとして基本的な作業項目です。
ただし、下地の補修が必要な場合や、古い素材の撤去費用は別途かかることがあります。見積時に「どこまで含まれるか」を必ず確認しましょう。
一部は可能ですが、限界があります。壁紙貼りやペンキ塗りなどはDIY可能ですが、電気や水道などのインフラ系工事は法律上、資格者でなければ施工できません。
「クロスは自分で貼るけど、電気は業者に」といった“ハーフビルド方式”も増えています。安全面を第一に考えて判断しましょう。
不安に感じたら、項目別の内訳を出してもらうべきです。
「一式」と記載されていると、具体的に何が含まれているかが不明確なため、後から「これは別料金」と言われるリスクがあります。
良心的な業者であれば、内訳の開示にも丁寧に対応してくれます。「仕上げ材の品番」「施工範囲」「単価」なども確認しておきましょう。
内装工事とは、見た目を整える「内装仕上工事」と、機能を支える「設備工事」に大きく分かれ、それぞれに役割・工程・必要な資格が異なります。
クロス・床・建具といった身近な部分から、電気・水道・空調など目に見えない設備まで含めて、内装とは“快適に使える空間をつくる”ための総合工事であると捉えることが重要です。
スムーズな工事を実現するためには、各工程の意味を理解し、工事範囲・費用・担当者を明確にしておくことが第一歩になります。
設計・見積・契約前の段階でしっかりと情報を整理し、信頼できる業者と納得のいく打ち合わせを重ねていきましょう。
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