排煙設備の設置義務とは?排煙設備の免除規定について解説
2026.02.27
建築・建設
防火ダンパーとは?設置の基準・義務と点検基準について解説
2026.02.25
建築・建設
特定建築物とは?厳しい維持管理義務や換気量の計算方法を解説
2026.02.25
建築・建設
内装デザイン 2025.03.05
カフェの開業やリニューアルにおいて、内装デザインは店舗のアイデンティティを形作る最も重要な要素です。おしゃれな空間は新規客の獲得やSNSでの拡散、リピーターの定着に直結します。しかし、単に見た目が美しいだけでは、日々の営業でスタッフが疲弊し、結果としてサービス品質の低下を招く恐れがあります。
カフェの内装設計で成功するためには、コンセプトに基づいた「感性」とスムーズな運営を支える「機能性」を高度に両立させなければなりません。
この記事では、多くの店舗設計に関わってきた現場の視点から、失敗しないための動線計画、ターゲット別のレイアウト手法、さらには避けては通れない法規制への対応まで、具体的かつ実務に即したポイントを詳しく解説します。
目次

カフェにおける内装設計のゴールはお客様が心地よいと感じる空間を提供しつつ、スタッフがストレスなく効率的に働ける環境を整えることです。この両者のバランスが崩れると、提供スピードの遅延や、清掃が行き届かないといった問題が発生し、店舗全体の評価を下げてしまいます。
おしゃれさを重視するあまり、厨房から客席までの距離が長すぎたり、配膳と下げ膳のルートが交差したりする設計は避けるべきです。スタッフの歩数が増えるほど提供スピードは落ち、少人数での運営が困難になります。現場では、ピーク時の動きをシミュレーションし、レジ・厨房・提供カウンター・返却口の配置を直線、あるいはL字型に集約することが推奨されます。
また、掃除のしやすさも運営効率に直結します。傷つきやすい床材や、汚れが目立ちすぎる白一色のカウンターなどは、日々のメンテナンス負荷を増大させます。耐久性と清掃性の高い素材(防汚加工のタイルやラミネート材など)を選定することが、長期的な美観維持のコツです。

座席の配置は「誰に、どのくらいの時間滞在してほしいか」という営業戦略から逆算します。例えば、ビジネス街で回転率を重視する場合、カウンター席を増やし、一人客が入りやすい構成にします。一方で、住宅街でゆっくり過ごしてほしい場合は、隣席との視線が合わないパーティションや、ゆったりとしたソファ席の配置が有効です。
通路幅についても、ターゲットに合わせて調整が必要です。ベビーカーや車椅子を利用するお客様を想定する場合、最低でも90cmから120cmの通路幅を確保しておくと安心です。表や図の推奨通路幅を参考に、店内の主要動線と客席間のゆとりを設計段階で確定させることが、居心地の良さを生む土台となります。
| 箇所・用途 | 推奨される幅(目安) | 設計上の意図 |
|---|---|---|
| 主要動線(スタッフ・客共用) | 1,200mm 以上 | トレイを持った人と人がスムーズにすれ違える |
| 客席間の通路(一般) | 600mm 〜 900mm | 他人の視線を気にせず移動できる最低限の距離 |
| カウンター後ろ(スタッフ用) | 800mm 〜 1,000mm | 作業効率を落とさず、かつ動きやすい適度な隙間 |
内装は店舗が何を大切にしているかというブランドメッセージを無言で伝えるツールです。北欧風、インダストリアル、和モダンなど、選択したスタイルがメニュー内容や接客スタイルと乖離していると、お客様は違和感を抱きます。家具の脚の素材、照明の温度、壁のテクスチャ一つひとつをコンセプトに沿って統一することで、空間全体に説得力が生まれます。
また、ロゴやショップカラーを壁面の一部やクッションなどの小物にさりげなく取り入れることで、店舗の印象を顧客の記憶に定着させやすくなります。装飾を「盛る」のではなく、ブランドの世界観を「構成する」という視点で要素を絞り込むことが、洗練されたおしゃれな空間づくりの近道です。

カフェの内装スタイルは多岐にわたりますが、現在のトレンドとして定着しているスタイルには、それぞれ特有の構成要素と心理的効果があります。自店のターゲット層の感性に合うスタイルを正確に選び、マテリアル(素材)を組み合わせていくことが重要です。
老若男女問わず好感度が高いのが、木材の温もりと観葉植物の緑を基調としたナチュラルテイストです。無垢材のテーブルや、ベージュや白をベースとした明るい壁紙を組み合わせることで、リラックス効果の高い空間を演出できます。
このスタイルでは「光の取り込み方」がポイントになります。大きな窓から入る自然光を活かしつつ、夜間は柔らかな電球色のペンダントライトで陰影を作ることで、一日を通して居心地の良い変化を提供できます。
住宅街や書籍併設型のカフェなど、長居を前提とする店舗に非常に適したデザインです。
ビジネス街や大人向けの高級感を狙うなら、直線的なラインと無機質な素材を活かしたモダンスタイルが有効です。コンクリート打ち放しの壁、アイアン(鉄)の脚を持つテーブル、モノトーンの配色などを採用することで、クールで洗練された印象を与えます。
モダンな空間では「質感のコントラスト」を意識します。冷たい石材や金属の質感の中に、一部だけベルベット素材の椅子やアートを配置することで、都会的な鋭さの中にも、飲食店としての温かみや個性を同居させることができます。
昭和の喫茶店やヨーロッパの古民家を思わせるレトロ・アンティーク調は、そのノスタルジックな雰囲気が独特の「味」となり、SNSでの拡散性が高いのが特徴です。使い込まれたような質感の古材、タイル張りのカウンター、真鍮(しんちゅう)の取っ手など、時間の経過を感じさせるディテールが価値を生みます。
このスタイルは、写真映えするフォトスポットを店内に作りやすいという利点があります。個性的な柄のタイルや、一点もののアンティークランプを配置することで、来店者が自発的に撮影したくなる仕掛けを組み込みます。

カフェの内装は単に「好きなデザインを作る」だけでは不十分です。飲食店として営業するためには、利用者の安全を守るための法的基準をクリアしなければなりません。完成間際になって「許可が下りない」というトラブルを避けるため、設計の初期段階から専門知識が必要です。
特に注意すべきは消防法です。店舗の面積や入居するビルの構造によって、消火器の設置義務だけでなく、自動火災報知設備や誘導灯、場合によってはスプリンクラーの設置が求められます。また内装材についても、火災時の延焼を防ぐために「不燃材料」や「準不燃材料」の使用が厳格に定められています(内装制限)。
さらに、避難経路の確保も重要です。客席のレイアウトに夢中になるあまり、避難口までの通路が極端に狭くなったり、荷物で塞がれたりする設計は認められません。地域の消防署による事前相談や、保健所への図面確認を怠らないことが、手戻りや余計な改修コストを防ぐ唯一の方法です。
建物の構造や自治体の条例によって、必要な設備や申請書類は大きく変わります。判断に迷う箇所やグレーゾーンがある場合は、初期段階で設計の専門家へ相談し、法的適合性を精査してもらうことで、円滑なオープンを実現できます。
参考サイト:e-GOV|消防法

理想のカフェを実現できるかどうかは、依頼する施工業者との相性と実力にかかっています。おしゃれなデザインを提案してくれるデザイナーと、それを正確に形にする工務店の役割を正しく理解し、自店に最適なパートナーを選ぶ基準を明確にしましょう。
最も確実な判断基準は、その業者が「過去にカフェや飲食店の施工実績がどれだけあるか」です。一般住宅と店舗では、給排水の容量計算や厨房の防水工事、さらには客席の耐久性に関するノウハウが全く異なります。ホームページの施工事例を確認し、自店が目指すテイストに近い店舗を手がけているかを確認しましょう。
また、見積書の提出時の対応も重要な指標です。単に金額の安さだけで選ぶのではなく、こちらの要望に対して「なぜこの費用がかかるのか」「この素材を使うメリットは何か」を論理的に説明してくれる業者は信頼に値します。
見積書で「内装工事一式」といった大まかな記載しかない場合は注意が必要です。後から「この棚の設置は別料金です」「電気工事は含まれていません」といった追加費用のトラブルに発展するリスクが高いからです。
優れた見積書は、床・壁・天井の仕上げ材、建具、電気・水道・ガスの設備工事、什器の製作費などが項目ごとに細かく記載されています。また、どこまでが業者の担当で、どこからが施主支給なのかという「工事区分」が明確になっているかを確認しましょう。この透明性こそが、プロジェクトを予算内で完遂させるための実務的な安心材料となります。

デザインのイメージを言葉だけで伝えるのは非常に困難です。「明るい雰囲気」という言葉一つとっても、人によって想像する明るさは異なります。業者との認識のズレをなくし、完成後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないための共有術を実践しましょう。
まずはPinterestやInstagram、あるいは既存のカフェから、自分の理想に近い写真を5〜10枚程度集めます。次に、それぞれの写真の「どこが好きなのか」を言語化し、1枚のスライドやスクラップブックにまとめます。
このように視覚情報を整理したものを「ムードボード」や「コンセプトボード」と呼びます。これを業者に提示することで、デザイナーや職人は共通のゴールを視覚的に共有でき、提案の精度が劇的に上がります。抽象的な表現を避け、物理的なサンプルや画像に頼ることが、コミュニケーションの質を向上させる最も確実な手段です。
画像と併せて、店舗の「コンセプトシート」を作成し共有することも有効です。そこにはターゲット層、営業時間、主なメニュー、そしてお客様にどう感じてほしいかを記載します。
デザイナーは、この「背景」を理解することで、単なる装飾ではない意味のあるデザインを提案できるようになります。このように、意図を深く共有することが、内装のおしゃれさと実用性を両立させるために非常に重要です。
スケルトン物件からの場合、坪単価30万円〜60万円程度が目安ですが、空調や厨房設備の工事範囲によって大きく変動します。居抜き物件を活かす場合は、坪単価10万円〜30万円程度に抑えることも可能です。
設計に1〜2ヶ月、実際の工事に1ヶ月程度かかるため、合計で2〜3ヶ月は見ておく必要があります。特注の家具などを導入する場合は、さらに納期がかかることもあるため早めの準備が重要です。
一般的に、内装デザインは壁紙や装飾などの視覚面を指し、空間デザインは動線や居心地を含む体験全体の設計を指します。飲食店においては、見た目だけでなく働きやすさまで考慮した空間設計の視点が不可欠です。
カフェのおしゃれな内装を成功させるためには、コンセプトに基づく一貫したデザインと、スムーズな店舗運営を可能にする機能的な設計を両立させることが不可欠です。動線計画の失敗や法規制の確認漏れは、オープン後の大きな負担となります。ターゲット層を明確にし、座席配置や通路幅を戦略的に決めることで、顧客満足度の高い空間が実現します。
また、理想の空間を形にするためには、画像やコンセプトシートを駆使して施工業者と密なコミュニケーションを取り、認識のズレを最小限に抑えることが重要です。信頼できる業者の選定は、実績と見積内容の透明性から見極めましょう。
店舗の立地条件や建物の構造によって、最適な設計や必要な法的手続きは一件ごとに大きく異なります。プランニングの初期段階で専門家へ相談し、プロの視点を取り入れることで、想定外の手戻りやコスト増を防ぎ、理想のカフェを確実に形にすることができます。まずはご自身の想いを可視化することから始めてみてください。
▼こちらの記事も読まれています
2026.02.27
建築・建設
2026.02.25
建築・建設
2026.02.25
建築・建設