内装デザイン 2025.06.20

内装制限とは?建築基準法の基本概要から緩和条件までを解説

内装制限とは?建築基準法の基本概要から緩和条件までを解説
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この記事の主な内容
  • ・内装制限について解説
  • ・建築基準法と緩和条件について
  • ・安全で魅力ある空間を設計する方法について

 

フィットネスジム店舗、オフィスを開業・設計する際には、建築基準法に基づく「内装制限」について理解することが必要です。

この記事では、内装制限の基本から条文の構造、適用範囲や緩和措置、さらに消防法との関係性まで、あらゆる角度から徹底的に解説します。

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内装制限の基礎知識と全体像

内装制限の基礎知識と全体像

内装制限とは何か、どのような建物が対象になるのか、また消防法との関係など、まずは全体像を把握していきましょう。

内装制限とは?その意味と目的

内装制限とは、主に火災時の被害拡大を防ぐために、建築物の内装に用いる材料や構造について設けられた規制です。

火災発生時には内装材が延焼の要因になる可能性が高く、特に不特定多数の人が利用する建物では、迅速な避難と被害軽減が重要です。

そのため、建築基準法では「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の使用を義務付け、内装材の燃えやすさを段階的に分類し、用途や場所に応じた適用をしています。

たとえば、商業施設やフィットネスジムでは、天井や壁に使用する材料が不燃材でなければならない場合があります。

この制限があることで、火災時に煙の発生を抑え、避難を円滑に進めることが可能になります。

また、内装制限は単なる規則ではなく、利用者の命を守る安全対策としての役割も担っています。

どんな建物に適用されるのか?

内装制限は、すべての建物に適用されるわけではなく、特定の用途や規模の建物に対して義務付けられています。

たとえば、劇場、映画館、百貨店、学校、病院などの不特定多数の人が利用する建築物では厳しい制限が課されます。これに対して、一般的な戸建て住宅では原則として内装制限の対象外です。

しかし、店舗やフィットネスジムのように不特定多数が出入りする施設は、内装制限の対象となることが多く、特に「主要な避難経路」にあたる場所(廊下、階段、出入口付近など)では、内装材に不燃材料の使用が義務付けられるケースがあります。

具体的には、床面積が一定以上の施設、または特定用途に分類される建物では、建築確認申請の段階で内装制限に関する図面と仕様書の提出が求められます。

これらは自治体の建築審査課や指定確認検査機関によって審査され、基準を満たさない場合は設計の見直しが必要になります。

建築基準法と消防法の関係性とは?

内装制限に関連する法令には、建築基準法だけでなく消防法も含まれます。

建築基準法では主に「内装材の種類と設置場所」に焦点を当て、消防法では「火災発生時の初期対応や設備配置」を重視しています。

たとえば、内装材として準不燃材料が許可されていても、消防法の基準でスプリンクラー設備や煙感知器の設置が求められることがあります。

逆に、適切な消防設備が設置されていることで、建築基準法上の内装制限が一部緩和される場合もあります。

このように、両法令は別個の法律でありながら、実務上は密接に関連しています。

設計段階で両方の法令を同時に確認し、相互に影響する条件を正確に把握することが大切です。

特に消防署との事前協議は、施設の用途変更や改修工事の際にも重要なプロセスとなります。

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建築基準法における内装制限の条文と構造

建築基準法における内装制限の条文と構造

建築基準法で定められた内装制限の根拠となる条文を確認し、その構造や読み解き方、施行令との関係を詳しく解説します。

建築基準法第35条の2とは

建築基準法第35条の2は、内装制限に関する基本的な条文であり、火災時に人命を守ることを目的としています。

この条文では、内装の仕上げ材に不燃材料または準不燃材料を使用すべき建物や部分を定めており、避難経路や多数の人が出入りする部分に特に厳しい制限が設けられています。

この条文の特徴は、建物の「用途」と「規模」によって適用の有無が変わる点です。

たとえば、延べ床面積が300㎡を超えるスポーツ施設やフィットネスジムは、出入口や廊下、階段室の内装について不燃材料の使用が求められます。また、施設の用途変更や増築時には、この条文に基づいて新たに内装制限が発生する場合があります。

法律の文面は難解に感じられるかもしれませんが、次項で読み解きのポイントとともに具体的な内容を掘り下げていきます。

建築基準法施行令に見る技術的基準

建築基準法の条文だけでは具体的な材料の仕様や基準が不明瞭なため、より詳細な技術基準は「建築基準法施行令」で定められています。

施行令の第128条の2などでは、内装に使う材料の燃焼性や厚み、施工方法などが明記されており、現場での判断基準となります。

たとえば、「不燃材料」とされるには、国土交通大臣の認定を受けた材料であることが条件です。

石膏ボードや金属パネル、特定の不燃クロスなどが該当します。加えて、厚みや取付方法により同じ素材でも不燃材料に該当しないことがあるため、カタログスペックを鵜呑みにせず、常に最新の認定情報を確認することが重要です。

また、施行令には、避難経路に関する内装制限だけでなく、エレベーター周辺や防火区画内の取り扱いなど、より細分化された規定も含まれています。

施工図作成や設計図チェック時には、この施行令と対照しながら材料の選定を進める必要があります。

読み進めていくうえで、まずは「対象となる建物用途」「適用の基準面積」「求められる材料の区分(不燃・準不燃など)」の3点を押さえると、全体の構造がつかみやすくなります。

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用途別に見る内装制限の適用範囲

用途別に見る内装制限の適用範囲

内装制限は、建物の「用途」によって適用の有無や内容が大きく異なります。

ここでは住宅、学校、医療・福祉施設といった代表的な用途ごとに、内装制限のポイントや注意点を詳しく解説していきます。

住宅における内装制限のポイント

一般的な戸建て住宅や集合住宅においては、原則として厳格な内装制限は課されていません。

これは住宅が「特定用途建築物」に該当しないためであり、建築基準法上でも通常は自由な内装設計が可能です。

しかし、例外もあります。たとえば、共同住宅の共用部(廊下やエントランスホールなど)が大規模な場合、避難経路としての機能が重視されるため、準不燃材料や不燃材料の使用が求められることがあります。

また、高齢者向け集合住宅などで福祉施設としての機能を併せ持つ場合は、用途が住宅にとどまらないと判断され、追加の制限が適用されることもあります。

具体的な設計例を挙げると、高層マンションのエントランスホールでは、壁面にタイルや金属パネルなどの不燃材が用いられることがあります。

これは火災時の避難安全性を高めるためであり、意匠性と防火性を両立させた設計とも言えます。

学校施設に求められる内装の安全基準

学校施設では、多数の子どもが日常的に集まる環境であることから、非常に厳格な内装制限が課されています。特に教室、体育館、音楽室、廊下といった共用部分は、不燃または準不燃材料の使用が義務付けられることが一般的です。

文部科学省の定める「学校施設整備指針」においても、内装材に関する指針が明記されており、子どもの安全性を第一に考えた素材選定が推奨されています。

木質系材料を使う場合は、防火処理された木材や、不燃処理された化粧板が使用されるのが一般的です。

また、最近では地震や火災の複合災害に備える観点から、煙の発生が少ない材料や、有毒ガスを発生しにくい素材の使用も推奨されています。

これにより、万が一の際にも子どもたちの安全な避難が確保されるよう設計されています。

医療・福祉施設の内装と内装制限の関係

医療施設や福祉施設では、患者や高齢者など、自力での避難が困難な人が多く滞在するため、内装制限は非常に重要な項目となります。

特に病室、廊下、待合室、処置室などは不燃材料の使用が原則とされます。

さらに、これらの施設では、建築基準法だけでなく医療法や介護保険法、そして消防法の規制も密接に関係してきます。

スプリンクラーの設置義務や、防火区画の設置義務など、構造と設備の両面から安全性が求められるため、内装制限もそれに連動して厳しくなる傾向にあります。

具体例として、介護付き有料老人ホームでは、壁面に不燃クロスや金属パネル、天井には岩綿吸音板などを採用し、防火性と共に吸音性・快適性も兼ね備えた設計が求められることがあります。

こうした選定には、単なる内装材の知識だけでなく、利用者の生活動線や緊急時の対応も考慮する必要があります。

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内装制限の緩和条件とその適用実例

内装制限の緩和条件とその適用実例

内装制限には厳格な基準が設けられていますが、特定の条件を満たす場合には、緩和措置が適用されることがあります。

ここでは、内装制限を緩和するための具体的な条件や手続き、そして実際に緩和が適用された例について解説します。

内装制限は緩和できるのか?

内装制限は条件次第で緩和される可能性があります。

建築基準法に基づく内装制限は、安全性を確保するためのものですが、すべての条件が一律に適用されるわけではありません。建物の用途や規模、設計の工夫により、一定の緩和措置が認められるケースがあります。

例えば、店舗やオフィスビルにおいて、通常の内装制限に従うとコストがかさむ場合やデザインの自由度が制限される場合には、設計者が特殊な防火対策を講じることで、内装制限の緩和が適用されることがあります。

これには防火性能の高い材料の選定や、建物全体の消防設備の強化などが求められることがあります。

緩和が適用される具体的な条件

内装制限が緩和される条件は、法律で明確に規定されているわけではありませんが、実際には以下のような条件を満たす場合に、緩和されることがあります。

1. 防火対策の強化

防火性能が高い建材を使用することや、防火区画を設けることによって、内装制限が緩和されることがあります。

たとえば、難燃性のクロスやパネル、耐火性のある床材を使うことによって、緩和される場合があります。

2. 建物全体の防火設計

建物全体が防火設計に基づいている場合、個別の内装制限が緩和されることがあります。

たとえば、スプリンクラーの設置や、避難経路の広さを確保することが前提となります。

これにより、内装に使う材料に対する制限が緩和されることがあります。

3. 用途変更や増改築に伴う緩和

既存の建物に新たな用途を加える場合、用途に応じた特別な緩和措置が適用されることがあります。

たとえば、既存の建物にフィットネスジムを併設する場合、内装制限の一部が緩和されることがあり、これには消防法や建築基準法の特例が適用されます。

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過去の内装制限と現在の制度の変遷

過去の内装制限と現在の制度の変遷

内装制限は法律や規制が時代とともに変化するため、最新の法改正に対応することが非常に重要です。

特に、火災や地震、その他の災害リスクに対応するための規制は厳格になっており、それにより内装制限も日々進化しています。

ここでは、最新の法改正内容や過去の制度との違い、そしてそれが設計や施工に与える影響について解説します。

最新の法改正内容をチェック

近年の法改正では、特に「防火性能」に関する規定が強化されています。

例えば、2020年に施行された「建築基準法改正」により、新たに「不燃材料」の基準がより厳格化され、消防法と連携した規制が強化されました。これにより、特定用途建築物や高層建築物、集合住宅などでは、内装材の選定基準が一層厳しくなりました。

また、環境に配慮した建築資材の選定が重要視され、難燃性や防火性を兼ね備えた素材が推奨されています。

具体的には、環境負荷が少ない素材や再利用可能な素材を使用することが、内装設計においても推奨されるようになりました。

たとえば、天然素材の中でも難燃加工を施した木材や、火災時に有害物質を発生しにくいプラスチック製品が取り入れられるようになりつつあります。

さらに、災害時の避難や避難経路の確保にも新たな基準が追加されました。

火災時の避難経路の幅や高さ、避難にかかる時間を短縮するための設備などが明確に規定され、これに伴って内装にもその影響が反映されています。

過去との違いと設計・施工への影響

過去の制度では、主に「不燃材」「準不燃材」の基準に従った内装材の選定が重要視されていましたが、近年ではその基準がより詳細かつ厳格になり、例えば内装材が燃え広がる速度や煙の発生量、温度の上昇など、より複合的な要素が考慮されるようになっています。

また、過去の制度においては「消防法」と「建築基準法」の規定が若干異なっていたため、設計者や施工業者にとって混乱を招くこともありました。

しかし現在では、両者の規定が調整され、より一貫したルールが適用されるようになっています。

これにより、設計者は以前よりも明確な指針をもとに、安全性を確保しつつ美しいデザインを実現しやすくなった一方で、内装材や設備に関する選択肢は制限されることとなり、施工業者にとっても高い技術力と知識が求められるようになっています。

具体的には、設計段階での細かな調整が必要になり、建材や設備の選定、施工時の品質管理に対する要求が厳格化されています。

たとえば、内装材を選ぶ際には、耐火試験をクリアしたものを使用する必要があり、その選定基準を満たさないと施工後の検査で不合格となるリスクが高まります。

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内装制限を理解することで得られるメリット

内装制限を理解することで得られるメリット

内装制限を正しく理解することは、単に法的な遵守を確保するだけではなく、設計や施工の効率化、安全性の向上、美しい空間の創造にもつながります。

法令違反のリスクを回避できる

まず最も重要なメリットは、法令違反を防ぐことができる点です。建築基準法や消防法における内装制限は、あくまで建物の利用者の安全を守るために設けられた規定であり、これに違反することは大きなリスクを伴います。

違反が発覚すると、最悪の場合、建物の使用停止命令や高額な罰金が科せられることもあります。

たとえば、内装に不適切な材料を使用してしまうと、火災時に発火や煙の発生が早まり、避難が難しくなります。

これにより、利用者の命を危険にさらすだけでなく、企業の信用を失う可能性もあります。したがって、内装制限を理解し、適切な素材や設備を選ぶことは、事前に法的トラブルを避けるために非常に重要です。

さらに、内装制限を守ることは、建築物が安全基準に適合していることを証明するためにも重要です。

建物を所有している場合、賃貸借契約を結ぶ際に、物件が安全基準を満たしているかどうかを確認されることがあります。そのため、内装制限を遵守していることを証明できることで、信頼性が向上します。

安全で美しい空間づくりに活用できる

内装制限を正しく理解することで、設計者や施工者は安全を確保しながら、美しい空間を作り上げることが可能になります。

制限があると自由度が制限されると思われがちですが、実は内装制限をうまく活用することで、デザイン性と機能性を両立させることができます。

例えば、防火性能を確保するために使用する難燃材や不燃材には、デザイン性の高い製品も数多く存在します。

これらの素材は見た目にも優れ、現代的で洗練されたデザインを作り出すために利用されていることが多いです。

また、内装制限に従いながらも、色彩や配置、照明の工夫によって、非常に魅力的で快適な空間を作り出すことができます。

例えば、防火扉のデザインを美しく仕上げたり、スプリンクラー設備のデザインを隠す方法を採ることで、機能性を損なうことなく、見た目にも優れた空間を作り上げることが可能です。

効率的な施工スケジュールを確保できる

内装制限を理解し、事前に計画に組み込むことで、施工の効率化にもつながります。

制限に適合する素材や設備を最初から選定しておけば、工事中に突然の変更が必要になったり、再施工が発生するリスクを減らすことができます。

また、内装制限に従わずに後から修正が必要となった場合、施工のやり直しや追加工事が発生することがあり、その分時間やコストがかかります。

事前に内装制限を確認し、適切な素材や設備を選ぶことは、スムーズで予算内に収めるための重要なポイントとなります。

さらに、施工業者や設計者との事前の確認を徹底することで、工事の進行がスムーズになり、クライアントや関係者に対してもスケジュール通りに作業が進んでいることを示すことができます。

このように、内装制限を理解して遵守することは、施工の品質を高めるだけでなく、スケジュール通りに完成させるための鍵となります。

まとめ

内装制限を理解することは、建物の設計・施工において欠かせない要素です。

ReAirでは店舗・オフィス・商業施設・クリニックなどさまざまな業種の工事に対応しています。

「おしゃれな空間を作りたい」という方は、ぜひ一度、ReAirにご相談ください。

機能性とデザイン性を両立した提案をさせていただきます。

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