内装デザイン 2025.05.14

飲食店の建築基準法を店舗を開業する方にもわかりやすく解説

飲食店の建築基準法を店舗を開業する方にもわかりやすく解説
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この記事のポイント

Q. 飲食店を開業するには建築基準法の何を確認すべき?
用途地域、建物の用途変更、内装制限、厨房区画など、建築基準法に基づく要件を確認する必要があります。特に火気の取り扱いや防火設備など、開業時に重要な規制が多く存在します。

Q. 建築基準法のどの部分が飲食店に関係するのか?
建築基準法別表第一によって建築物の用途が分類されており、飲食店はその対象です。内装材料、防火区画、厨房の設置など、関連する規定を理解しておく必要があります。

Q. 消防法や厨房設備の法令と建築基準法はどう関係する?
内装制限や防火区画は、建築基準法と同時に消防法の規定にも従う必要があります。たとえば不燃材料の使用や垂れ壁の設置義務など、複数の法令が重なります。

 

飲食店を開業する際に、意外と見落とされがちなのが「建築基準法」に関する確認です。

内装設計・内装施工の自由度に関わる法律であるため、工事が始まる前の段階からしっかりと把握しておくことが求められます。

しかし、条文は専門的な表現が多く、初めての開業者にとっては読み解くのが難しいと感じられるかもしれません。

そこでこの記事では、飲食店をこれから開こうとしている方に向けて、「建築基準法とは何か」「飲食店にどんな規制が関係するのか」「どのように確認を進めればよいか」などを、実務に即して解説していきます。

とくに厨房・内装・用途変更といった重要なポイントをわかりやすく紹介しますので、開業準備の一助となれば幸いです。

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建築基準法における飲食店とは

建築基準法における「飲食店」の位置づけや分類について、定義と用途区分という2つの観点から解説します。

法律上で飲食店がどう扱われているかを知ることは、設計条件や申請手続きに直結する重要な知識です。

飲食店の法的な定義とは

建築基準法において、飲食店は「不特定多数が利用する施設」として扱われるケースがあり、一定の条件下では「特殊建築物」に分類されることもあります。

たとえば、延べ面積が200㎡を超えるような大規模な飲食店は、火災時の避難や防火設備に関する厳しい基準が適用されるのです。

一方で、小規模な飲食店でも厨房の火気使用や客席レイアウトに応じて、防火や換気の配慮が求められることがあります。

つまり、「大きさ」や「業態」にかかわらず、法的には一定の配慮が必要だという点がポイントです。

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建築基準法別表による用途分類

建築基準法では、建物の用途を分類した「別表第一」に基づき、各種の制限が定められています。

飲食店は「飲食店、料理店、喫茶店その他これらに類するもの」として記載されており、これに該当する施設は一定の構造・設備条件を満たさなければなりません。

たとえば、3階建て以上や、特定の延べ面積を超える場合には「耐火建築物」であることが求められたり、防火区画を明確に設ける必要があります。

また、用途地域によって建てられる建物の用途が異なるため、「その地域で飲食店が認められているか」という都市計画上のルールとも関係してきます。

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飲食店開業前に確認すべき法的ポイント

飲食店の開業にあたり、建築基準法上で事前に確認すべき主要なポイントを紹介します。

特に用途地域の制限、建築確認申請、そして用途変更に関わる要件を中心に解説していきます。

どれも工事開始前に整理しておくべき重要な内容です。

用途地域と建物の用途制限

土地には「用途地域」と呼ばれる都市計画上の制限が設けられています。

これは、地域ごとに住宅・商業・工業などのバランスを保つために設定されており、その地域で建てられる建物の用途が制限される仕組みです。

たとえば「第一種低層住居専用地域」では、静かな住宅環境を守るため飲食店の建設が認められても一定の条件が付きます。

反対に「商業地域」や「近隣商業地域」では、比較的自由に飲食店を建てられる可能性が高いです。

用途地域は、市区町村の都市計画課やWeb地図サービス(例:都市計画情報閲覧システム)で確認できます。設計前に必ず調べるようにしましょう。

建築確認申請と必要な書類

飲食店の新築や増改築、用途変更を行う際には、「建築確認申請」が必要になります。

これは、計画している建築物が建築基準法をはじめとする関連法令に適合しているかどうかを行政が審査する制度です。

提出する書類には、平面図・立面図・構造図のほか、排煙計算書や防火区画図なども求められることがあります。

特に厨房まわりは防火・換気の観点から規定が厳しいため、図面の整備は慎重に行う必要があります。

設計士や工務店と連携しながら、建築確認のスケジュールと提出物を整理しておくとスムーズです。

審査には1〜3週間程度かかるため、開業時期に合わせた逆算が重要になります。

用途変更が必要なケースとは

もともと住宅や物販店舗だった建物を飲食店へ転用する場合は「用途変更」の手続きが必要になるケースがあります。

これは、建物の使い方が変わることで建築基準法の適用条件が変化するためです。

たとえば、延べ面積200㎡超の住宅を飲食店に変更する際には避難経路の確保や排煙設備、防火仕様への適合が求められます。

また、消防法に基づいた厨房設備や消火器の設置も並行して進める必要があります。

用途変更の可否や必要書類はケースバイケースで異なるため、地域の建築指導課に事前相談をしておくと安心です。

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構造別に見る法的制限の違い

建物の構造によって異なる建築基準法上の制限について解説します。

とくに木造建築で飲食店を開業する場合の注意点や喫茶店と飲食店との間にある法的な違いなど、開業時に見落とされやすいポイントを明らかにしていきます。

木造建築での飲食店開業における注意点

木造の建物で飲食店を開く場合には、防火や耐震の観点からいくつかの制限が生じます。特に注意すべきは「耐火建築物の要件」です。

延べ面積や階数、用途地域によっては、木造ではなく鉄骨造やRC造が求められるケースもあるためです。

たとえば、準防火地域内で地上3階建て以上の飲食店を開業しようとした場合、建物全体を耐火構造としなければならないという要件が発生します。

木造でその条件を満たすには、特別な工法や追加費用がかかることがあるため、計画段階で構造的な制約を考慮することが大切です。

また、防火区画の設置や排煙設備の仕様も、木造であることによって条件が厳しくなることがあります。

必ず建築士と相談のうえ、確認申請前に適法性をチェックしましょう。

喫茶店と飲食店の違いと規制の違い

一見すると同じように見える「喫茶店」と「飲食店」ですが、法的には異なる扱いを受ける場合があります。

保健所の分類上、喫茶店営業は「調理を伴わない軽飲食(主に飲み物・軽食の提供)」に限られ、飲食店営業は「加熱調理を伴う食品の提供」を含む、より広範な業態を指します。

この違いは、建築基準法における設備要件や厨房の構造、排煙設備の有無にも影響します。

たとえば、喫茶店営業であればガスコンロの使用を避けることで防火規制を緩和できる場合もありますが、飲食店営業では本格的な厨房設計とともに防火・耐熱材料の使用が義務付けられることもあります。

店舗の規模やメニュー内容に応じて、どちらの営業許可を取得するのが適切かを早めに見極め、それに合った設計と申請準備を進めることが肝要です。

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厨房まわりの建築基準法の要点

この章では、飲食店の心臓部ともいえる「厨房」について、建築基準法上で求められる区画や設備要件を解説します。

厨房は火気使用・換気・衛生といったさまざまな観点から法的規制を受けるため、設計の初期段階から慎重に検討することが重要です。

厨房区画の必要性とその理由

厨房は火を扱う場所であることから、客席や共用部分としっかり区画されていることが求められます。

これは火災が発生した場合に炎や煙が広がるのを最小限に抑えるためです。

また、油煙や臭気を漏らさずに排出するためにも、物理的な仕切り(壁や天井)を設けることが望ましいとされています。

たとえば、壁で囲まれた専用区画として厨房を設計し、客席との間には引き戸や防煙カーテンなどを用いるのが一般的です。

オープンキッチンの場合でも、換気計画や排煙設備の強化によって、法的な適合性を保つことができます。

防火区画の考え方

防火区画とは建物内で火災の延焼を防ぐために設けられる耐火性のある仕切りのことです。

厨房は火災リスクが高いため、建築基準法上では「異なる防火区画」として他のスペースと分離されるよう定められることがあります。

たとえば、延べ面積が大きい建物や、複数テナントが入る複合ビルの場合、厨房は耐火性の高い壁・天井・扉で囲う必要があり、消防法とも連動してスプリンクラーや自動火災報知設備の設置が求められることもあります。

垂れ壁の設置義務と仕様

厨房の出入口やカウンター部分では、天井から下がる「垂れ壁」の設置が必要になるケースがあります。

これは、火災時に煙がフロア全体に広がるのを防ぐ役割を果たします。

垂れ壁は、建築基準法施行令第112条で「高さ80cm以上、連続して設ける」などの基準が示されています。

特に、天井が連続する構造では煙が他室へ流出しやすいため、この垂れ壁による区画が実務上とても重要です。

設置位置や素材については、行政窓口と相談しながら進めましょう。

建築基準法における厨房設備の取り扱い

厨房内の設備も、建築基準法および消防法に基づいて適切に設置する必要があります。

とくにガス設備やダクト類は火災原因になりやすいため、以下のような要件が定められています。

厨房内の要件
  • ・換気設備は、機械排気によって十分に煙や熱を排出できること
  • ・グリースフィルターや防火ダンパーなど、防火機能を有する部材を設置すること
  • ・ダクトは耐熱・不燃材を用い、他室と貫通する部分には防火区画処理を施すこと

たとえば、フード付きの排気装置を設け、フィルターを通してから屋外へ排出する設計が一般的です。

業種によっては、保健所から「厨房2槽シンク」「手洗い器」「換気フード」などの追加条件が課される場合もあるため、あわせて確認が必要です。

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内装制限と防火対策の基礎知識

飲食店の内装に関わる制限と防火対策について解説します。

内装材の燃えやすさに関する規定や、消防法との関係、火気設備・避難経路の確保など、飲食店を安全に運営するために押さえておくべき法的ポイントを整理していきます。

建築基準法における内装制限

建築基準法では不特定多数が出入りする用途の建物、たとえば飲食店や劇場、百貨店などにおいて、内装材に燃えにくい材料を使用することが義務付けられています。

これを「内装制限」と呼びます。

飲食店では厨房と客席の間を含め、壁や天井に使う仕上げ材が「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」に該当しているかどうかがチェックされます。

たとえば、ビニールクロスや合板は使用制限があり、認定品の耐火パネルや石膏ボードなどが用いられることが一般的です。

この制限は、店舗の規模・用途・構造によって異なり、消防署や建築主事による審査の対象になります。

安全を守ると同時に、建築確認をスムーズに通過させるためにも、設計時に必ず確認しておきましょう。

消防法との重複規制と整理方法

建築基準法に加えて、消防法でも火災対策の規定が設けられており、特に厨房や内装に関しては両者のルールが重複する場面があります。

ここでは、法令間の整理の仕方や、実務上よく問われる点について解説します。

難燃・不燃材料の使用基準

消防法においても、延焼防止のために不燃または準不燃の材料を使用するよう指導される場合があります。

たとえば、厨房の天井や壁、排気ダクトのまわりには、火気の使用を前提に「不燃材」の使用が推奨・指導されます。

仮に誤って燃えやすい材料で仕上げてしまうと、是正指導や営業許可の遅れに繋がるおそれもあります。

設計者が建築基準法上はOKと判断していても、消防署の立入検査でNGとなるケースもあるため、双方の観点でダブルチェックすることが重要です。

火気設備と避難経路の整備

厨房設備や火気器具の配置については出火防止だけでなく、火災時の避難を妨げないようにする配慮も必要です。

消防法では、次のような条件を満たす必要があります。

消防法の満たすべき条件
  • ・火気設備の周囲は可燃物から十分に離して設置する
  • ・避難通路を塞がない配置で設計する
  • ・非常口の明示と照明設備の設置
  • ・消火器の配置基準(10㎡ごとに1台など)

たとえば、厨房の出入口に可燃ごみのストックを置いていた場合、それだけで違反指摘を受けることもあります。

建築設計の段階で「消防法による運用上の実効性」もあわせて検討することが、安全で安心な店舗運営のカギになります。

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設計段階で相談すべき窓口と進め方

飲食店の開業準備において「誰に・いつ・何を相談すればいいか」という観点から、行政機関や専門家との連携方法を具体的にご紹介します。

法的なトラブルや計画変更を避けるためにも、早期の相談と適切なパートナー選びが重要です。

行政(建築指導課など)への相談

建築基準法に関する審査や相談は、原則として「市区町村の建築指導課」や「指定確認検査機関」が窓口になります。

ここでは、以下のような内容を相談・確認することが可能です。

行政への相談
  • ・その土地の用途地域と建築可能な用途の確認
  • ・現在の建物の用途と、変更時に必要な手続き
  • ・厨房・内装・排煙設備に関する法的要件
  • ・建築確認申請の要否と必要書類の案内

相談は原則無料で、予約不要で受け付けている自治体も多くあります。

店舗設計のラフ案ができた段階で、一度役所に持ち込んで意見をもらうことで後戻りの少ない計画が立てやすくなります。

加えて、消防法の確認については、所轄の消防署・予防課への事前相談が必要です。

設計図面を持参すると、その場で指導を受けられることもあり、内装制限や厨房配置などの改善点を早めに把握できます。

設計士・施工業者との連携方法

建築基準法や消防法に関する規制は専門性が高く、施主が一人で正確に理解・判断するのは困難です。

そのため、飲食店の設計・施工経験が豊富な設計士や内装業者との連携が不可欠です。

良い業者であれば、以下のような支援を期待できます。

  • ・用途地域や既存建物の適法性調
  • ・建築確認申請の代行・書類作成サポート
  • ・消防署への図面提出や立ち会い
  • ・法令に基づいた厨房・内装設計の提案

たとえば、木造建築で飲食店を計画していたが、設計士のアドバイスによりRC造へ切り替えた結果、確認申請がスムーズに通ったという事例もあります。

設計と施工が別業者の場合でも初期段階から三者(施主・設計士・施工業者)で打ち合わせを行い、イメージの共有と役割分担を明確にしておくことがトラブルを防ぐためのポイントです。

よくある質問

飲食店開業前に確認する法律は何がありますか?

飲食店の開業には、主に「建築基準法」「消防法」「食品衛生法」「都市計画法」の4つが関わります。

建物の用途や構造に関する制限は建築基準法が、火災予防や避難に関する規制は消防法がそれぞれ担当しています。

さらに、厨房設備や提供メニューに関しては、保健所が所管する食品衛生法にも適合しなければなりません。

建築確認申請はすべての飲食店で必要ですか?

新築はもちろん、既存の建物を飲食店に用途変更する場合でも、一定規模を超えると建築確認申請が必要になります。

特に、延べ面積200㎡以上や防火地域内の工事などでは、申請が義務づけられています。詳細は地域の建築指導課に確認しましょう。

改装でも用途変更が必要になる?

はい、あります。たとえば住宅や物販店をカフェやレストランに改装する場合、建築基準法上の「用途」が変わることで用途変更の対象になります。

これに伴い、避難経路や耐火性能など、新たな基準を満たす必要が出てくるため、注意が必要です。

厨房の設計は誰に相談すればよい?

建築士や店舗設計に精通した内装業者が適任です。

特に飲食店の厨房は、防火・換気・衛生の3つを高いレベルでバランスさせる必要があるため、専門知識が不可欠です。

また、保健所や消防署との調整も含めて任せられる業者を選ぶと安心です。

消防署との調整はいつどのように行う?

設計段階で厨房や排煙設備の案がまとまったタイミングで、所轄の消防署(予防課など)に図面を持参して事前相談するのがベストです。

消防法に適合しているか、必要な設備が整っているかの指導を受けられるため、建築確認申請前のタイミングで相談するのが理想的です。

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まとめ

飲食店の開業には、コンセプトづくりや資金計画だけでなく、建築基準法をはじめとする法的要件の理解が欠かせません。

とくに、用途地域の確認、建築確認申請、厨房の防火対策、内装制限などは、設計段階から確実に整理しておくべきポイントです。

また、建築基準法と消防法は互いに関連しあっており、単に法律に沿うだけでなく、現場の安全性や運営のしやすさにも配慮した設計が求められます。

そのためには、行政機関への早めの相談や、実務経験のある設計士・業者との協力体制が非常に重要です。

法令対応を怠ってしまうと、開業後の是正指導や営業許可の遅れにつながる可能性があります。

だからこそ、初期段階から適切な確認と準備を行うことで、安心して理想の飲食店を実現することができるのです。

これから飲食店を開業される方へ、もし「何から手を付ければいいかわからない」「法規制に合った店舗づくりが不安」とお感じであれば、ぜひ一度、建築・設備のプロにご相談ください。

無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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