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建物の評価や減価償却を考えるうえで耐用年数は非常に重要な要素です。
特にRC造(鉄筋コンクリート造)のような構造は耐久性に優れる反面、税務や会計処理では「法定耐用年数」に基づいて取り扱われるため、実際の使用可能年数との違いに戸惑う方も多くいます。
また、住宅用か事業用かといった用途によって耐用年数が異なること、減価償却の計算方法が建物の取得時期や構造によって変わることなど、知っておきたいポイントが多数あります。
この記事ではRC造の耐用年数、用途別の違いや減価償却との関係まで解説していきます。
目次

鉄筋とコンクリートを組み合わせたRC造は耐久性・耐火性に優れることから中高層建築や公共施設、マンションに広く用いられていおり、構造の理解は耐用年数の判断にもつながります。
RC造は「鉄筋(Reinforced)とコンクリート(Concrete)」の頭文字をとった名称で、鉄筋の引張強度とコンクリートの圧縮強度を組み合わせて強度を確保する構造です。
これにより耐震性・耐火性・遮音性に優れ、木造や鉄骨造に比べて建物の寿命が長くなる特徴があります。
他の構造と比べると、木造は安価で軽量ですが耐用年数が短く、鉄骨造は施工が早い一方で火災に弱い傾向があります。
RC造はその中間に位置し、長期使用を前提とした用途に多く採用されます。
RC造はマンションやオフィスビルのような中高層建築に加え、公共施設、商業施設、医療施設などにも多く使われています。
耐久性と安全性が求められる場所での採用が目立ちます。
住宅用の場合、分譲マンションや高級賃貸住宅に多く見られ、戸建住宅での採用はコスト面から比較的少数派です。
非住宅では建物自体が資産と見なされ、長期運用前提の不動産投資物件として重視されます。
RC造は実際の寿命が50年以上に及ぶこともありますが、税務上は国税庁が定めた法定耐用年数に基づいて評価されます。
たとえば、住宅用であれば47年、事務所や店舗用であれば50年などと明確に定められており、これが減価償却の基礎となります。
つまり、実際の使用可能年数とは別に、会計や税務ではこの「法定の年数」を基準に資産計上や費用配分が行われることになります。

法定耐用年数は国が定めた資産の「会計上の寿命」を意味し、減価償却の基準となる。
実際の使用可能年数とは異なるが、税務上の重要なルールとして機能している。
日本では、固定資産を会計処理する際の「耐用年数」を国税庁が定めています。
これは建物や設備などの資産が、どの程度の期間でその価値を失っていくと見なすかを税務上であらかじめ規定しているものです。
たとえばRC造の住宅は47年、非住宅(店舗・事務所)は50年とされており、会計処理や法人税・所得税の計算においてはこの年数を基準に減価償却を行います。
つまり企業や個人事業主が建物を取得した際に、何年かけてその費用を経費化できるかを判断するためのルールです。
この制度は企業会計の公平性を保ちつつ、税務処理を簡素化する目的で設けられています。
多くの建物は、法定耐用年数を超えても問題なく使用できます。
RC造の建物は適切にメンテナンスをすれば60〜80年使用される例もあり、法定年数=物理的寿命ではありません。
法定耐用年数はあくまで「減価償却の基準」であって、建物の安全性や使用可否を示すものではないため、年数を超えたからといって必ず解体が必要になるわけではありません。
ただし売却や貸借、資産再評価の場面では「築年数=評価額」に影響することもあるため、法定年数と実使用年数の違いを理解したうえで活用することが重要です。
減価償却とは、建物の購入金額を複数年にわたって分割して費用計上する会計処理です。
耐用年数はこの費用配分期間を決めるための基準となります。
たとえば、RC造の住宅を4,700万円で購入した場合、法定耐用年数47年で割ると年間の償却費はおおよそ100万円。
これを毎年経費として計上することで、利益を圧縮し課税対象額を減らすことができます。
つまり、耐用年数の設定は節税にも直結する重要な数字です。
特に不動産投資や事業用建物では、耐用年数と償却方法の選定が経営判断に影響します。

RC造といっても、すべて同じ耐用年数が適用されるわけではない。
住宅用・事務所用・工場用など、建物の用途により法定年数は異なり、実務では用途の分類を正しく行うことが重要となる。
国税庁の減価償却資産の耐用年数等に関する省令によると、RC造の建物は用途ごとに法定耐用年数が異なります。
以下に主な用途別の年数を表で示します。
RC造の用途別法定耐用年数
| 用途区分 | 法定耐用年数(年) |
|---|---|
| 住宅用 | 47年 |
| 店舗・事務所 | 50年 |
| 工場用 | 47年 |
| 倉庫用 | 38年または45年(用途により) |
このように、同じRC造であっても、建物の使用目的によって減価償却の期間は変わってきます。
特に倉庫については内容物や使い方によって「38年」「45年」など異なる分類が存在します。
住宅用RC造と非住宅用RC造で耐用年数に違いがあるのは、建物の使用環境や負荷が異なると見なされているためです。
事務所や店舗は不特定多数の出入りがあるほか、設備の更新頻度が高い傾向にあるため、50年と若干長く設定されています。
一方、居住用の建物は日常的な使用が中心であり、比較的穏やかな環境下にあるとされ、47年という年数が一般的に適用されています。
耐用年数表は、構造(木造、軽量鉄骨、RC造など)と用途(住宅、事務所、工場など)で分類されており、減価償却資産ごとに詳細に記載されています。
検索の際は、以下の順で確認するとスムーズです。
国税庁の公式ページや税理士が提供する耐用年数早見表などを参考にすると、より正確に判断できます。
参考サイト:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

RC造の建物は、法定耐用年数を過ぎても使用できるケースが大半である。
ただし、税務・会計・資産管理の面では、適切な処理や判断が求められる。
RC造の建物は、たとえば法定耐用年数が47年であれば、その期間で減価償却は完了します。
償却終了後は帳簿上の残存価額がゼロになるため、新たに経費として償却費を計上することはできません。
しかし、これは「会計上の価値がゼロ」という意味であり、実際の使用価値がなくなったわけではありません。
多くの場合、建物は引き続き利用されており資産としての価値もある程度残っていると考えられます。
なお、帳簿上は減価償却済みでも、売却や貸与により現金収入を得れば、それは課税対象の収益と見なされます。したがって、償却後の建物でも資産管理は重要です。
参考サイト:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁
法定耐用年数を超えたRC造建物を解体・売却する場合は、帳簿上の残存価額と実際の売却額との差額に応じて、損益を計上する必要があります。
たとえば、帳簿価額がゼロの建物を1,000万円で売却した場合、その全額が「固定資産売却益」として課税対象となります。
逆に、解体する場合は解体費用が「除却損」として費用計上できます。
このように、耐用年数が終了したあとの資産でも、売却・解体時には会計的インパクトが発生するため、事前に税理士や会計担当と確認しておくことが望ましいです。
参考サイト:事業者の事業用固定資産の売却|国税庁
RC造の建物は定期的に補修・点検を行うことで、耐用年数を過ぎても長期間使用できます。
たとえば、外壁のひび割れ補修、防水工事、給排水設備の更新などを行うことで、快適性と安全性を保てます。
継続使用においては、大規模修繕費が突発的に発生することがあるため、予算計画と修繕履歴の管理が重要です。
また、建物評価額が帳簿上ゼロになっている場合でも、保険の付保や資産再評価の観点から、適切な現況評価が求められます。

RC造の建物は減価償却期間が長く、節税の計画を立てやすい反面、取得時期や中古購入によって適用ルールが異なるため実務では慎重な対応が必要となる。
RC造建物の減価償却は定額法が原則とされ、毎年一定額を経費として計上します。法人の場合、取得価額を耐用年数で割って年間償却費を算出する形が基本です。
たとえば、建物取得価額4,700万円、耐用年数47年の場合、年間償却費はおよそ100万円(定額)となります。
一方、定率法(毎年償却残高に一定割合をかける方式)は、特定資産や過年度取得資産に限定されており、新規取得RC造には適用されないことが一般的です。
償却方法は法人税法施行令や会計基準に基づいて選択・届出が必要です。
参考サイト:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)|国税庁
中古のRC造建物を取得した場合、簡便法と呼ばれるルールにより、残存耐用年数を見積もって償却期間を再設定する必要があります。
おもな算出方法は次の2つです。
たとえば、築30年のRC造住宅(法定47年)を購入した場合、
(47 − 30) × 0.2 = 約3.4年 → 切り上げて4年となり、4年間で償却可能です。
このように、短期間で償却が可能となるため、投資用不動産として活用するケースもあります。
参考サイト:簡便法|週刊税務通信 READER’S CLUB
RC造は耐用年数が長いため、新築では償却期間も長く、節税効果が年次で分散されます。
一方、中古物件を購入して短期で償却できる場合、初年度から高額な経費計上が可能となり、所得圧縮に有効です。
ただし、あまりに築古すぎる物件では修繕費用や空室リスクが高くなるため、表面的な償却年数だけで判断するのは危険です。
節税効果と運用リスクのバランスを見極める必要があります。
また、個人事業主が高額なRC造物件を取得する場合は、青色申告特別控除や損益通算などの制度との併用を事前に確認しておくとよいでしょう。

建物の構造によって、耐用年数・コスト・耐震性・維持費などが大きく変わります。
RC造・SRC造・鉄骨造は用途や目的に応じて最適な選択が必要です。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造で、47年(非住宅用)の法定耐用年数を持ち、耐震性・耐火性に優れます。
一方、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は鉄骨を芯にし、その周囲を鉄筋コンクリートで囲む構造。RC造より強度が高く、超高層ビルなどに多く使われ、耐用年数も47年と同等ですが、実際の耐久性はより高いとされています。
鉄骨造(S造)は鋼材を主材料とする構造で、軽量で施工が早いのが特徴。法定耐用年数は34年(非住宅用)で建設費用も抑えられる傾向がありますが、耐火性・耐久性ではRCやSRCより劣る場面もあります。
以下の表は、RC造・SRC造・鉄骨造の基本的な比較です。
構造別の基本性能比較
| 構造種別 | 主な材料構成 | 法定耐用年数(非住宅) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| RC造 | 鉄筋+コンクリート | 47年 | 高い耐火性・遮音性・耐震性 |
| SRC造 | 鉄骨+鉄筋コンクリート | 47年 | 超高層対応、RCより強度高い |
| 鉄骨造 | 鋼材(鉄骨) | 34年 | 軽量、施工早い、コスト抑制しやすい |
このように、構造ごとに一長一短があるため、用途や予算に応じた判断が求められます。
建設費用では、一般的に鉄骨造が最も安く、次いでRC造、SRC造が最も高額になります。
たとえば、小規模なテナントビルでは鉄骨造が採用されやすく、大規模な公共施設や高層マンションではSRC造が主流です。
ただし、初期コストだけでなく、定期的なメンテナンス費用や建物の寿命(ライフサイクルコスト)も含めて評価すべきです。
RC造やSRC造は外壁の劣化が遅く、修繕頻度も少ないため、長期的には安定した資産管理が可能です。
耐震性の点では、SRC造が最も優れており、大地震時の安全性確保や保険料の割引にも寄与します。
RC造も高い耐震性能を持っていますが、鉄骨造は軽量ゆえに揺れやすいという特性があります。
不動産投資や法人が所有する事業用不動産では、構造選定が税務や収益性に直結します。
たとえば、鉄骨造は法定耐用年数が短いため減価償却期間も短く、初期の節税効果が得られます。
一方で、RC造・SRC造は長期保有に向いており、保有資産の価値安定性や融資審査での評価も高くなる傾向があります。
また、収益物件として賃貸に出す場合、RC造やSRC造の方が入居者からの信頼が高く、家賃単価も高めに設定しやすいというメリットもあります。
法定耐用年数を過ぎても、建物が構造的に問題なければ引き続き使用可能です。
耐用年数は税務上の減価償却期間を示すもので、実際の使用年数とは異なります。
定期的な点検や補修により、60年~70年使われるケースも少なくありません。建物の状態を正しく把握し、適切に維持管理することが重要です。
はい、可能です。中古物件を購入した場合、法定耐用年数が経過しているかどうかで減価償却期間の算出方法が異なります。
法定耐用年数内であれば残存年数を使い、超えている場合は「簡便法」で償却年数を再計算します。
具体的には、法定耐用年数の20%が新たな償却年数となります(例:RC造47年 × 20%=9年)。
参考サイト:週刊税務通信 READER’S CLUB
原則として、税務上の耐用年数は法令で定められており、延長はできません。
ただし、用途変更や大規模リフォームなどで建物の性質が変わった場合、税務署に申請のうえ再評価されるケースがあります。
これには専門的な知見が求められるため、税理士など専門家への相談が望ましいです。
SRC造はRC造よりも構造強度や耐震性に優れており、超高層ビルなどに適しています。
しかし、建設コストが高くなるため、コストパフォーマンスではRC造が選ばれることも多いです。
中規模建築やコスト重視の物件ではRC造、大規模・耐震性重視ならSRC造が一般的な選択とされています。
耐用年数自体は、法人・個人を問わず同じ「耐用年数表」に基づいて定められます。ただし、適用の仕方や減価償却方法には差があります。
たとえば法人では定額法・定率法の選択肢があり、個人事業主では簡便的に定額法が採用されることが多いです。課税所得や経営方針に応じた選択が必要です。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、耐震性・耐火性・遮音性に優れ、長期使用を前提とした構造として多くの建物に採用されています。
その一方で、税務上の法定耐用年数は使用可能期間とは異なるため、正確な理解が欠かせません。
この記事では、RC造の基本的な構造と特徴、用途別の法定耐用年数、そして減価償却との関係を丁寧に解説してきました。
中古物件の取り扱いや節税活用、さらにはSRC造や鉄骨造との違いまで触れることで、実務に役立つ視点も整理できたはずです。
今後、RC造建物の取得・保有・売却を検討する際には、以下のステップを意識するとよいでしょう。
これらを踏まえることで、RC造に関する判断がしやすくなります。
不動産投資や資産管理の場面でも、今回の知識を武器として活用していただければ幸いです。

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