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Q. ダクト工事とは何か?
ダクト工事とは、空気の流れを管理するための配管(ダクト)を建物内に設置・施工する作業を指します。主に空調・換気・排煙などの設備で重要な役割を果たします。
Q. ダクトにはどんな種類があるのか?
使用素材(鉄・アルミ・フレキシブル)や形状(丸形・角形)、用途(空調・排煙・排気)などによりさまざまな種類があり、目的に応じて使い分けられます。
Q. 配管工事とはどう違うのか?
ダクトは空気を通す管で、配管は水やガスなどの液体や気体を通します。施工方法や設計上の考え方も異なり、役割が明確に分かれています。
建物の中で人が快適に過ごすためには、空気の流れをしっかりと管理することが重要です。
その役割を担っているのが「ダクト」と呼ばれる空気の通り道であり、これを建物内に設置・施工する作業が「ダクト工事」です。
家庭用の設備と違って、オフィスビルや店舗、工場などでは複雑なルート設計と専門的な工法が必要になります。
この記事では初めてダクト工事について調べる方にも理解しやすいよう、ダクトの種類や用途、配管工事との違い、施工の流れ、飲食店でのポイント、必要な資格や法律面などを段階的に詳しく解説していきます。
施工を検討しているオーナーや建築関係者の方はもちろん、基礎知識を押さえておきたい方にも役立つ内容をお届けします。
目次
ダクト工事とは、建物内の空気を通すための管(ダクト)を設置・接続・固定する作業を指します。
このダクトは空気を運んだり排気したりするために使われる管状の設備であり、換気・空調・排煙など、あらゆる建築物において欠かせない存在です。
特に大規模施設や飲食店では、室内環境を快適かつ安全に保つために、計画的かつ正確なダクト設置が求められます。
たとえば、商業ビルの地下にある厨房では、調理時に発生する熱気や煙を外へ効率的に排出する必要があります。
この際、ダクトがうまく配置されていなければ、空気が滞留し、従業員の健康や火災リスクにも関わる重大な問題となります。
そのため、設計段階から専門知識を持った施工業者と連携し、現場に応じた適切なダクト工事を行うことが大切です。
また一方で、工場などの産業施設においては、排気だけでなく吸気・循環・浄化といった役割をもつ複雑なダクトネットワークが必要になります。
このような背景から、ダクト工事は単なる管の取り付け作業ではなく、建物機能全体に深く関わるインフラ整備の一部といえるでしょう。
ダクトは使われる素材や形状、そして目的によって多くの種類に分類されます。
ここでは、ダクトを「素材」「形状」「用途」の3つの観点から分け、それぞれの特徴や適した使用場面を紹介します。
ダクトに使われる素材は主に「金属製」と「非金属製(樹脂やフレキシブル素材)」の2種類です。
金属製は主に鉄やステンレス、アルミニウムが用いられ、高温や高圧にも耐えるため、工場や厨房などで多用されます。
一方で、軽量で加工しやすい非金属素材は、柔軟性を活かして狭小スペースや可動域のある設備に向いています。
たとえば、天井裏の狭い配管スペースには、スパイラルダクトやアルミ製のフレキシブルダクトが使われることが多いです。
価格面や施工性、耐久性を比較しながら、設置箇所に最適な素材を選定することが求められます。
ダクトはその断面の形状によって、「角形ダクト」と「丸形ダクト」に大別されます。
角ダクトは四角い断面を持ち、天井裏や壁面などに沿って設置しやすい特徴があります。
空間の有効活用がしやすく、ビルや商業施設で多く採用されています。
一方、丸ダクトは空気抵抗が少なく、風速を一定に保ちやすいという特長があります。
これによりエネルギー効率が良く、空調設備として最適です。
施工性の面では丸ダクトのほうが接続部品がシンプルで済むため、施工時間の短縮にもつながります。
ダクトの用途には、主に「空調用」「排煙用」「排気用」の3つがあります。
空調用ダクトは冷暖房機器と接続され、空気の温度調整を目的とします。
断熱材を巻くことで、熱損失を防ぎ、エネルギー効率を高める設計が重要です。
排煙用ダクトは火災時に煙を外部へ逃がすためのもので、耐熱性・耐火性が法律上必須となります(例:建築基準法第126条の2に基づく防火区画など)。
排気用ダクトは、厨房やトイレなどでニオイや湿気を排出するために使われるため、グリスフィルターや防臭装置との併用が一般的です。
このように、設置する場所の環境や目的に応じて適切なダクトを選定することが、安全で快適な室内環境づくりの基本となります。
空調や衛生設備の工事を考える際によく混同されるのが「ダクト工事」と「配管工事」です。
両者は見た目が似ていることもありますが、役割や施工内容はまったく異なります。ここではその違いを3つの観点から明確にしていきます。
まず最大の違いは「何を通すか」という点です。ダクトは空気を通すための設備であり、主に換気や空調、排煙に使われます。
一方、配管は水、ガス、蒸気、油といった液体や気体を通すための管であり、用途としては給排水、冷媒配管、ガス配管などが該当します。
たとえば、飲食店の厨房にある排気ダクトはダクト工事に含まれますが、同じ厨房のシンクに接続された給水管や排水管は配管工事の範疇です。
このように、通す物質と目的の違いが明確に存在しています。
施工方法や設計思想も両者で異なります。
ダクト工事では空気の流れ(風量や風速)を重視したルート設計が行われ、熱損失を防ぐための断熱処理や、防火区画への対応が必要になります。
これに対して、配管工事では圧力損失や漏水リスク、凍結防止対策が重要となるため、配管径や勾配の設定、バルブ配置などの設計が求められます。
さらにダクトは比較的軽量なため吊り支持で施工されるケースが多いのに対し、配管は液体を通すため重量があり、強固な支持金具や配管支持構造が必要です。
現場では、ダクト工事と配管工事が密接に関係するケースも多くあります。
たとえば、空調設備ではダクトと冷媒配管がセットで設置されることが一般的です。
また、厨房や工場などでは、空気と水・ガスの流れを両方とも適切に管理する必要があるため、両方の専門業者が協力して施工を行います。
このような場合、施工スケジュールの調整や設計段階での干渉確認など、連携が取れていないとトラブルの原因になります。
したがって、発注者側もダクト工事と配管工事の違いを理解し、工事全体を一元管理する視点が求められます。
ダクト工事を正確に行うには、計画から施工完了までの流れを把握しておくことが欠かせません。
一般的な工事の流れ、各工程で行う作業、そして施工の品質を左右する注意点について解説します。
ダクト工事は、まず現場調査から始まります。
建物の構造や既存設備を確認し、風量や通風経路、排気の方向などを計算したうえで最適なルートとダクト仕様を設計していきます。
これには建築図面や設備図の読み取り能力も求められます。
設計が完了したら、材料の手配と施工スケジュールの調整を経て、いよいよ施工フェーズに入ります。
計画通りの位置に穴あけや支持金具の取り付けを行い、順を追ってダクト本体を組み立てていきます。
現場では、工場などであらかじめ製作された直管やエルボ、チーズなどのダクト部材を搬入し、それらを現場の状況に合わせて加工・接続していきます。
接続部はエア漏れを防ぐため、しっかりとシール材やボルト止めを行い必要に応じて耐熱や防火措置も講じます。
取付後には断熱材を巻いたり、防音対策として吸音材を併用したりするケースもあります。
また、施工中に鉄粉やごみが内部に溜まらないよう、随時清掃しながら作業を進めることも重要です。
ダクト工事で品質を確保するうえでの最大の注意点は、空気漏れや振動・騒音の発生をいかに防ぐかです。
そのためには、接続部の精度を高めることはもちろん、ルート設計の段階で不要な曲がりや過度な長さを避ける工夫が求められます。
たとえば、ダクトを無理に折り曲げると空気抵抗が増し、風量が低下するだけでなく、送風機の負荷も大きくなってしまいます。
その結果、騒音の発生や電力消費の増加などの問題につながる可能性があります。
さらに、建築基準法や消防法に準拠しているかの確認も忘れてはなりません。
とくに防火区画を貫通する場合や、排煙用ダクトを扱う場合は、施工基準に基づいた正しい部材と工法が必要になります。
飲食店では、調理によって大量の熱気・煙・油分が発生します。
そのため、一般的な住宅やオフィスよりも高度な排気性能が求められます。
飲食店におけるダクト工事の基礎、ニオイ対策や法令対応、そして実際のトラブル事例とその改善策を紹介します。
飲食店の厨房では、コンロやフライヤー、焼き台などから出る熱気や煙を素早く排出する必要があります。
これを怠ると、店内に煙が充満してしまったり、設備の劣化が早まったりする原因になります。
そのため、厨房上部には強力な排気フードと接続された専用のダクトが不可欠です。設計においては、排気量と吸気量のバランスが非常に重要です。
排気だけが強すぎると店内の空気が不足しドアが開かなくなるなどの支障が出るため給気設備とセットで計画する必要があります。
調理中に発生するニオイや煙、油脂(グリス)は、そのまま排出すると近隣への迷惑となるばかりか、法的な指導対象となることもあります。
特に都市部では条例での規制が厳しく、排気フィルターや脱臭装置、グリスフィルターなどを組み合わせたダクト設計が必須です。
また消防法の規定により、グリスの付着による火災リスクを避けるため定期的な清掃と点検が義務付けられている場合もあります。
厨房ダクトの耐熱性や防火ダンパーの設置義務など、施設の規模や業態に応じた対応が求められます。
実際に起こりがちなトラブルとしては、「店内に煙がこもる」「異臭が外部に漏れる」「ダクト内部の油で火災が起きた」などがあります。
たとえば、排気フードの能力が不足していたことで煙が客席まで流れ、営業に支障をきたしたケースもあります。
こうした問題は、初期設計の段階で排気・給気のバランスを正しく見積もることで防ぐことができます。
またダクトの清掃を怠ると、油が蓄積して火災の原因になるため、専門業者による定期点検と清掃契約の導入が推奨されます。
飲食店では日々の営業に直結する空調・排気環境を軽視できません。快適で安全な店舗運営のためにも、信頼できる施工業者による適切なダクト工事が欠かせないのです。
ダクト工事は単独で完結するものではなく、空調設備との連携が密接に関係しています。
空調機器との接続方法や装置ごとの違い、省エネ設計への影響について詳しく見ていきます。
ダクトは空調機器とつながり、室内へ空気を供給・排出する経路を担います。
たとえば、天井埋込型のエアコンでは、吹き出し口と吸い込み口の双方がダクトで接続され室内の空気を循環させます。
また、換気扇や全熱交換器といった換気装置にもダクトは不可欠です。
接続時には、空気の流れを妨げないような曲げ角度や、断熱材の処理、防音対策などを施す必要があります。
適切な接続ができていない場合、冷暖房効果の低下や結露の発生、騒音の原因になるおそれがあります。
一般的なエアコンは、室内機と室外機を冷媒配管で接続し、冷気や温風を直接室内に送ります。
一方、ダクト式エアコンでは、1台の空調機から複数の部屋にダクトを介して空気を送る方式です。そのため、風量の調整や風向の管理が重要になります。
また、全熱交換器は室内の空気と外気を入れ替える際に、熱と湿度だけを交換してエネルギー効率を保つ装置です。
ダクトはこの装置の入口・出口に接続され、換気しながら冷暖房の効果を維持する仕組みを支えています。
これらの機器とダクトの連携設計には、空気力学と省エネの知識が必要となるため、専門業者による設計が望まれます。
ダクトと空調設備の連携がうまくいけば、室内の快適性と省エネ性能を高いレベルで両立できます。
たとえば、冷暖房の効率がよいルートで空気を送れば、少ない電力で必要な温度調整が可能になります。
逆に設計が不適切で空気の流れが偏ってしまうと、冷暖房が効きにくい部屋ができてしまったりサーキュレーターを追加で設置しなければならないケースも出てきます。
そのため、ダクトルートは可能な限り直線的かつ均等な配分になるよう計画されるべきです。
またセンサー付きの温度制御システムや風量調整ダンパーの導入も、省エネと快適性の向上につながります。
ダクト工事は建物の安全や衛生に関わるため、一定の資格や法的な基準に則って行う必要があります。
工事に関わる資格の種類と役割、資格が必要となるケース、さらに関連する法律について詳しく解説します。
管工事施工管理技士は、ダクトを含む管工事全般において現場管理・工程管理・安全管理などを行う専門職です。
国家資格であり、1級と2級があり、規模の大きな案件では1級の有資格者が求められます。
公共工事では、一定以上の請負額に対しこの資格を持つ技術者の配置が義務づけられているケースもあります。
建築設備士は、建築士と連携して建築物の設備設計に携わる国家資格です。
空調や換気、排煙などの設備における計画・設計・監理を担います。ダクト工事の設計段階で重要な役割を果たし、エネルギー効率や安全性の確保に寄与します。
他にも、職長・安全衛生責任者教育を修了していることや、労働安全衛生法で定められた作業主任者(足場、高所作業など)の資格が必要となる現場もあります。
一般的な民間施設の小規模な工事であれば、必ずしも上記資格が求められるわけではありません。
しかし、下記のような場合は有資格者の配置や責任監督が義務づけられます。
これらの条件に該当する場合は、建設業許可(管工事業)を取得している業者に依頼するのが基本となります。
ダクト工事に関係する代表的な法令には以下のものがあります。
これらの法令は、施工業者だけでなく発注者や設計担当者も理解しておくべき重要な知識です。
特に火災リスクや防災対策に関わる工事では、法令遵守が欠かせません。
費用は工事の規模や使用する素材、施工環境によって大きく異なります。
小規模な飲食店の厨房ダクトであれば、30万円〜80万円程度が一般的な目安です。
一方、ビル全体や工場などの大規模施設では100万円を超えるケースも少なくありません。
見積り時には、現地調査とともに設備条件や排気量、ダクトルートの長さなどが判断材料となります。
厨房排気用のダクト設置は必須であり、これに加えて給気システム、脱臭・防臭装置、防火ダンパーの設置が求められる場合があります。
都市部では周辺環境への配慮も重要で条例によってはフィルターの種類や排気位置にも制限があるため、事前に自治体への相談をおすすめします。
DIYでの施工も物理的には可能ですが、法的制約や安全性の観点からおすすめできません。
特に排煙設備や厨房排気などは消防法・建築基準法に基づく設計・施工が必要であり、無資格施工は違法となる可能性もあります。
トラブルを避けるためにも、専門業者への依頼が安全です。
違反を避けるためには、設計段階から法律に詳しい施工会社と連携することが肝心です。
たとえば防火区画の貫通処理やグリスフィルターの選定など、細部の仕様まで確認する必要があります。
また、竣工後の消防検査や定期点検も義務化されている場合があるため、工事完了後のフォロー体制も確認しましょう。
ダクトの使用環境によりますが、飲食店の厨房排気ダクトは半年〜1年ごとの清掃が推奨されています。
特に油煙を扱う場合は、放置すると火災リスクが高まるため、専門業者による定期清掃契約を検討すると安心です。
空調用ダクトについても、数年に一度は点検を行い、異常があれば早期に対処することが望ましいです。
ダクト工事は、空調・換気・排煙といった建物の快適性と安全性を支える重要なインフラです。
ダクトの種類や用途、配管工事との違い、施工方法、さらには飲食店における具体的な設計・トラブル対応、必要な資格や法律の知識まで、正しく理解することで失敗のない設備計画が可能になります。
特に飲食店や空調設備が関係する施設では、設計段階から専門業者との連携が欠かせません。
建物の規模や用途に応じた適切なダクト選定と工事対応を行うことが、長期的な安心と省エネにもつながります。
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