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飲食店を開業する際には、保健所の営業許可だけでなく、営業形態によっては風営法にも注意が必要です。
特に「居酒屋」「バー」「コンカフェ」などは、接待行為の有無、店内の照度や客席の構造、深夜における酒類提供、遊興の有無によって、風俗営業の許可や特定遊興飲食店営業の許可、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要となる場合があります。この記事では、飲食店開業と風営法の関係性、必要な許可・届出、近年の法改正のポイント、違反リスクなどをわかりやすく解説します。事前に知っておくことでトラブルを回避し、安心して事業をスタートさせましょう。
目次

風営法とは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の略称で、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止することを目的とした法律です。
この法律は、風俗営業、特定遊興飲食店営業、深夜における酒類提供飲食店営業などについて、許可や届出、営業時間、営業区域、年少者の立入りなどを規制しています。飲食店では、接待行為を伴う営業だけでなく、低照度飲食店や区画席飲食店、深夜に遊興を伴って酒類を提供する営業も対象となる場合があります。
また、2026年現在は2025年改正まで施行済みであり、接待飲食営業に関する遵守事項・禁止行為や罰則も強化されています。風営法の適用は、飲食店が提供するサービス内容、客席の構造、営業時間、提供する酒類や遊興の内容によって異なりますので、開業前に十分な確認が必要です。
風営法のうち、飲食店に関係する主な類型は以下の通りです。
同じバーやコンカフェでも、接客内容や店づくりによって必要な手続きは変わります。営業を開始する前に、自店舗の業態が「許可対象」なのか「届出対象」なのか、それとも風営法の対象外なのかを確認することが重要です。

飲食店の営業形態によっては、風営法の適用を受ける場合があります。以下では、居酒屋やバーが風営法の対象となるか、喫茶店や一般飲食店が対象外となるかについて詳しく解説します。
居酒屋やバーが風営法の対象となるかは、店名や業態名ではなく、実際の営業内容によって判断されます。
以下のような場合、風営法の規制対象となる可能性があります。
風営法における「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいいます。
たとえば、特定少数の客のそばで継続して談笑する、お酌をする、一緒に歌う、ゲーム等を一緒に行うといった行為は、接待と判断される可能性があります。コンセプトカフェでも、接客の態様によっては風俗営業の許可が必要となることがあります。
深夜酒類提供飲食店営業とは、深夜(午前0時から午前6時)に、設備を設けて客に酒類を提供して営む飲食店営業を指します。
ただし、営業の常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものは除かれます。
この場合、営業所の所在地を管轄する警察署を通じて公安委員会へ届出を行います。届出では、営業開始届出書、営業の方法を記載した書類、営業所の平面図、住民票の写し、法人の場合は定款や登記事項証明書などが基本書類となります。都道府県によって運用や追加資料が異なる場合があるため、事前に所轄警察署へ確認しておきましょう。
参考サイト:風俗営業等の規制概要と営業申請(届出)手続/神奈川県警察
一般的な喫茶店やレストランなどは、接待を行わず、深夜に酒類を提供せず、かつ低照度や区画席など風営法上の構造要件にも当てはまらない限り、通常は風営法の直接の規制対象外です。ただし、以下のような場合は注意が必要です。
たとえば、普通のバーであっても、接待を行わず深夜酒類提供の届出だけで足りる場合と、接待行為があるため風俗営業許可が必要になる場合があります。店舗の名称やコンセプトではなく、実際の営業実態で判断される点に注意しましょう。
営業形態によって、「許可」が必要な場合と、「届出」で足りる場合があります。以下に比較表を掲載します。
| 営業形態 | 必要手続き | 管轄 |
|---|---|---|
| 接待行為を伴う飲食店 | 風俗営業許可申請 | 警察署 → 公安委員会 |
| 深夜に遊興をさせ、かつ酒類を提供する飲食店 | 特定遊興飲食店営業許可申請 | 警察署 → 公安委員会 |
| 深夜に酒類を提供するバー・酒場等 | 深夜酒類提供飲食店営業の届出 | 警察署 → 公安委員会 |
| 通常の飲食店(風営法に該当しないもの) | 保健所の営業許可 | 保健所 |
※ 低照度飲食店や区画席飲食店は、接待がなくても風俗営業許可の対象となる場合があります。
許可取得には申請書類のほか、営業所の平面図、用途地域の確認資料、使用承諾書、住民票など複数の書類が必要になる場合があります。都道府県ごとに必要書類や運用が異なるため、申請前に必ず所轄警察署へ確認しましょう。
接待行為がある場合は、風俗営業許可が必要になる可能性があります。一方、接待はなくても、深夜(午前0時〜午前6時)に酒類を提供するバーや酒場等は、深夜酒類提供飲食店営業の届出対象となることがあります。
また、深夜に客に遊興をさせ、かつ酒類を提供する場合は、特定遊興飲食店営業の許可が必要です。さらに、営業可能地域や保全対象施設との距離制限は都道府県条例によって異なるため、物件契約や内装工事の前に、出店予定地を管轄する警察署へ確認しておくことが重要です。
業態のコンセプトに応じて、提供サービス、営業時間、客席構造、立地条件を明確化し、誤った営業区分で開業しないよう注意しましょう。

飲食店を開業する際には風営法に基づく許可や届出だけでなく、さまざまな手続きや準備が必要です。以下では許可申請に必要な書類一覧や、各種手続きの申請先と流れについて詳しく解説します。
飲食店営業許可を取得するためには、以下の書類を準備する必要があります。
これらの書類は、所轄の保健所に提出し、審査を受ける必要があります。
書類の不備や記載ミスがあると、許可取得が遅れる原因となるため、慎重に準備しましょう。
飲食店を開業する際の手続きの流れは以下の通りです。
これらの手続きは、地域や店舗の規模によって異なる場合があります。事前に各関係機関に確認し、スムーズな開業を目指しましょう。
飲食店の業態によって、風営法の適用範囲や必要な手続きが異なります。
バーやコンカフェ(コンセプトカフェ)は、営業内容によって風営法の適用を受ける可能性が高い業態です。特に、接待行為を行う場合は風俗営業許可、深夜に遊興をさせて酒類を提供する場合は特定遊興飲食店営業許可、深夜に酒類を提供する場合は深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要となる場合があります。
バーとコンカフェでは、以下のような行為が接待と見なされる可能性があります。
写真撮影やチェキ、衣装コンセプトだけで直ちに接待と判断されるわけではありませんが、接客全体の態様によっては接待と判断される可能性があります。営業内容に迷う場合は、開業前に所轄警察署へ相談することが重要です。

風営法は時代の変化に合わせて改正されており、飲食店経営者にとって重要な影響を及ぼします。以下では、改正前の規制内容、改正後のポイント、そして飲食店経営者への影響について詳しく解説します。
従来の風営法では、接待行為を伴う飲食店に加え、深夜にダンスや遊興を伴って営業する飲食店についても、営業地域や営業時間に厳しい規制が課されていました。深夜営業を行いたい店舗にとっては、制度の理解が難しく、営業形態の選択を誤ると違法営業となるおそれがありました。
2016年改正では、深夜に客に遊興をさせ、かつ酒類を提供する営業について「特定遊興飲食店営業」という類型が設けられ、一定の要件のもとで許可を受ければ営業できる制度が整備されました。
また、深夜に営業を営む風俗営業者および特定遊興飲食店営業者に対しては、営業所周辺の迷惑行為防止に関する新たな義務も設けられています。
2025年改正では、接待飲食営業に関して、料金に関する虚偽説明、客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求、客が注文していない飲食等の提供が遵守事項として明記されました。
さらに、客に料金の支払等をさせる目的で威迫する行為や、料金支払のために売春・性風俗店勤務・AV出演等を要求する行為が禁止行為として規定され、罰則も強化されています。ホストクラブだけでなく、接待を伴う飲食店全般で、料金説明や接客マニュアルの見直しが重要になっています。
法改正により、深夜営業の制度は整理された一方で、接待飲食営業に対する規制はより明確かつ厳格になりました。バーやコンカフェなどでは、接客方法だけでなく、料金表示、注文方法、スタッフ教育、近隣への配慮まで含めた運営体制の整備が求められます。

風営法に違反した場合、営業停止や罰金などの厳しい罰則が科される可能性があります。以下では無許可営業や届出違反に伴うリスク、営業開始後も必要となる継続的な法令遵守について詳しく解説します。
風営法違反の罰則は、営業形態や違反内容によって異なります。特に、風俗営業の無許可営業等に対する罰則は2025年改正で強化され、5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、法人に対しては3億円以下の罰金となりました。
また、深夜酒類提供飲食店営業の無届営業や変更届出義務違反なども、行政処分や罰則の対象となります。違反は店舗の信用失墜だけでなく、営業停止や許可取消しにつながる可能性があるため、開業前に営業区分を正確に確認しておくことが重要です。
風俗営業や特定遊興飲食店営業に該当する場合は、許可や届出で終わりではありません。管理者の選任、変更届出、営業所の構造設備の維持、深夜営業時の周辺迷惑防止措置など、営業開始後も継続して守るべき義務があります。
したがって、開業時だけでなく、営業開始後も最新の法令や所轄警察署の案内を確認し、運営体制を整備しておくことが重要です。
飲食店の開業において、風営法の理解と適切な手続きは、店舗運営の成功に直結します。以下では、開業前に確認すべきチェックリストと、法改正や動向を定期的に確認する重要性について解説します。
飲食店を開業する際には、以下のポイントをチェックリストとして確認しましょう。
これらの手続きを漏れなく行うことで、開業後のトラブルを未然に防ぐことができます。
風営法や関連する条例・運用は、改正や通達、地域ごとの運用差によって変わることがあります。
最新の法改正や業界の動向を定期的に確認し、店舗運営に反映させることが重要です。以下の方法で情報収集を行いましょう。
なお、飲食店営業許可の必要書類や申請実務は自治体によって差があるため、保健所関係の最新情報は所轄保健所にも確認しておきましょう。
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