内装デザイン 2025.07.04

風営法と飲食店開業の関連とは?許可・規制や届出の要否を解説

風営法と飲食店開業の関連とは?許可・規制や届出の要否を解説
川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

 

この記事の主な内容
  • ・風営法の基本概要と目的について
  • ・風営法の対象になる店舗とならない店舗について
  • ・営業許可申請書などの申請方法や提出先について

 

飲食店を開業する際には単に保健所の許可を取ればよいと思われがちですが、実は風営法にも注意が必要です。

特に「居酒屋」「バー」「コンカフェ」などは、深夜営業や接待行為の有無によって風営法の規制対象となる場合があります。

本記事では、飲食店開業と風営法の関係性、必要な許可・届出、法改正の影響、違反リスクなどをわかりやすく解説します。事前に知っておくことでトラブルを回避し、安心して事業をスタートさせましょう。

風営法の概要と目的

風営法の概要と目的

風営法とは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の略称で、社会の善良な風俗と清浄な風俗環境を保持し、公共の安全と秩序を維持することを目的とした法律です。​

この法律は、風俗営業や特定の飲食店営業に対して、営業の許可や届出、営業時間の制限、従業員の管理などを定めており、具体的にはキャバレー、ナイトクラブ、バーなどで接待行為を伴う営業を行う場合、風営法に基づく営業許可が必要となります。

​また、深夜に酒類を提供する居酒屋やバーなどの飲食店も、特定の条件下で届出が求められており、​これらの規制は地域社会の秩序を守る目的で設けられており、法律違反を犯した場合は厳しい罰則が科せられることがあります。​

風営法の適用は飲食店が提供するサービス内容や営業時間によって異なりますので、開業を検討されている方は十分に注意しましょう。

風営法が規制する主な業種

風営法の規制対象となる主な業種は以下の通りです。

風営法の規制対象となる業種
  • ・風俗営業:キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、パチンコ店、マージャン店など。
  • ・特定遊興飲食店営業:深夜に酒類を提供し、かつ音楽やダンスなどの遊興を伴う飲食店。
  • ・接待行為を伴う飲食店:バー、スナック、コンセプトカフェなどで、従業員が客と一緒に飲食したり、談笑するなどの行為を行う店舗。

 

これらの業種は、営業形態や提供するサービス内容によって風営法の適用範囲が異なります。

たとえば、同じバーでも、従業員が客と一緒に飲食する場合は風俗営業の許可が必要ですが、単に酒類を提供するだけであれば、深夜営業の届出のみで済む場合があります。

営業を開始する前に、自店舗の業態が風営法の規制対象となるかをしっかりと確認することが重要です。

川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

飲食店と風営法の関係性

飲食店と風営法の関係性

飲食店の営業形態によっては、風営法の適用を受ける場合があります。

以下では、居酒屋やバーが風営法の対象となるか、喫茶店や一般飲食店が対象外となるかについて詳しく解説します。

居酒屋やバーは風営法の対象になるか

居酒屋やバーが風営法の対象となるかは、提供するサービス内容によって異なります。

以下のような場合、風営法の規制対象となる可能性があります。

風営法の規制対象となるサービス
  • ・接待行為を伴う場合:従業員が客と一緒に飲食したり、談笑するなどの行為を行う場合。
  • ・深夜営業を行う場合:午前0時以降に酒類を提供する場合。

接待の定義と該当する行為

風営法における「接待」とは、従業員が客に対して、飲食を共にしたり、談笑したり、カラオケを一緒に歌うなど、親密な関係を築く行為を指します。

たとえば、コンセプトカフェで従業員が客とゲームをしたり、写真撮影を行う場合も、接待行為と見なされる可能性があります。

深夜営業の基準と申請要件

深夜営業とは、午前0時以降に酒類を提供する営業形態を指します。

この場合、「深夜酒類提供飲食店」として、所轄の警察署を通じて公安委員会への届出が必要です。

届出には、店舗の平面図、営業の概要、従業員名簿などの書類が求められます。届出を行わずに深夜営業を行った場合、50万円以下の罰金が科せられることがあります。

喫茶店や一般飲食店は業態によって対象外

一般的な喫茶店やレストランなどは、通常、風営法の規制対象外です。

ただし、以下のような場合は注意が必要です。

風営法の規制対象となるケース
  • ・深夜営業を行う場合:午前0時以降に営業を行う場合は、届出が必要となる可能性があります。
  • ・接待行為を伴う場合:従業員が客と一緒に飲食したり、談笑するなどの行為を行う場合は、風俗営業の許可が必要となります。

 

たとえば、コンセプトカフェのように従業員が客と一緒にゲームをしたり、写真撮影を行ったり、飲食をともにするサービスを提供する場合、接待行為と見なされる可能性があります。

営業を開始する前に、自店舗のサービス内容が風営法の規制対象となるかを確認し、必要な手続きを行うことが重要です。

許可が必要なケースと届出だけでよいケース

営業形態によっては、「許可」が必要な場合と、「届出」だけで済む場合があります。

風俗営業として許可が必要なのは、接待行為を含む飲食業です。

一方、深夜0時以降にアルコールを提供する「深夜酒類提供飲食店」は、公安委員会への「届出」で営業可能です。以下に比較表を掲載します。

営業形態 必要手続き 管轄
接待行為を含む飲食店 風俗営業許可申請 警察署 → 公安委員会
深夜に酒類を提供する飲食店 届出(第33条) 警察署 → 公安委員会
通常の飲食店(深夜営業なし) 保健所の許可 保健所

 

許可取得には申請書類のほか、営業所の平面図、用途地域の証明、使用承諾書、住民票など複数の書類が必要です。

手間はかかりますが、違反すると営業停止や罰則の対象となるため、必ず事前準備を行いましょう。

深夜営業・接待行為に関する規制を整理

深夜営業とは、午前0時以降に酒類を提供する営業形態を指します。

この場合、「深夜酒類提供飲食店」として警察署への届出が必要です。一方、接待行為には、スタッフが客の隣に座る、談笑する、カラオケを一緒に歌うなどの行為が該当し、風俗営業の許可が必要になります。

接待行為とされるか否かは、内容や態様により判断されます。たとえば、「スタッフがお客様にボードゲームの遊び方を教える」といった行為も、状況によっては接待と見なされる可能性があります。

業態のコンセプトに応じて、提供サービスを明確化し、誤解を招かないよう注意が必要です。

川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

開業時に必要な手続きと準備

開業時に必要な手続きと準備

飲食店を開業する際には、風営法に基づく許可や届出だけでなく、さまざまな手続きや準備が必要です。以下では、許可申請に必要な書類一覧や、各種手続きの申請先と流れについて詳しく解説します。

許可申請に必要な書類一覧

飲食店営業許可を取得するためには、以下の書類を準備する必要があります。

飲食店営許可申請に必要な書類
  • ・営業許可申請書:店舗の基本情報を記載。
  • ・施設の構造および設備を示す図面:厨房や客席の配置図。
  • ・食品衛生責任者の資格証明書:調理師免許など。
  • ・水質検査成績書:井戸水を使用する場合。
  • ・登記事項証明書:法人の場合に必要。

 

これらの書類は、所轄の保健所に提出し、審査を受ける必要があります。

書類の不備や記載ミスがあると、許可取得が遅れる原因となるため、慎重に準備しましょう。

各種手続きの申請先と流れ

飲食店を開業する際の手続きの流れは以下の通りです。

各種手続きの流れ
  • 1.保健所への事前相談:店舗の設計や設備について相談。
  • 2. 必要書類の準備:前述の書類を揃える。
  • 3. 営業許可申請:保健所に申請書類を提出。
  • 4. 施設検査:保健所職員による現地検査。
  • 5. 営業許可証の交付:検査合格後に交付される。
  • 6. 消防署への届け出:防火管理者の選任など。

 

これらの手続きは、地域や店舗の規模によって異なる場合があります。

事前に各関係機関に確認し、スムーズな開業を目指しましょう。

川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

店舗業態別の対応方法

飲食店の業態によって、風営法の適用範囲や必要な手続きが異なります。

バー・コンカフェの事例と注意点

バーやコンカフェ(コンセプトカフェ)は、風営法の適用を受ける可能性が高い業態です。

特に、接待行為や深夜営業を行う場合は、風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店の届出が必要となります。

バーとコンカフェの注意点

バーとコンカフェでは、以下のような行為が接待と見なされる可能性があります。

バーの注意点
  • ・従業員が客と一緒に飲食する
  • ・客の隣に座って談笑する
  • ・カラオケで一緒に歌う

 

コンカフェの注意点
  • ・従業員が客とゲームをする
  • ・写真撮影やチェキサービスを提供する
  • ・特定の衣装で接客する

 

これらのサービスを提供する場合、風俗営業の許可が必要となる可能性があります。

営業形態や提供するサービス内容によって、必要な手続きが異なるため、事前に所轄の警察署に相談することが重要です。

ゲームセンター・パチンコの関連性

ゲームセンターやパチンコ店も、風営法の規制対象となります。

これらの業態では、以下のような点に注意が必要です。

ゲームセンター
  • ・景品の提供方法:過度な景品提供は風営法違反となる可能性があります。
  • ・営業時間:深夜営業を行う場合は、届出が必要です。
  • ・設備の配置:遊技機の配置や照明の明るさなど、基準を満たす必要があります。

 

パチンコ店
  • ・設備の基準:遊技機の設置数や配置、照明の明るさなど、基準を満たす必要があります。
  • ・営業時間:深夜営業を行う場合は、届出が必要です。
  • ・景品の提供:景品の種類や提供方法に制限があります。

 

これらの業態では、風営法に基づく厳格な基準が設けられており、違反した場合には営業停止や罰則が科される可能性があります。

営業を開始する前に、必要な手続きや基準を確認し、適切な対応を行うことが重要です。

川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

風営法改正案の内容と影響

風営法改正案の内容と影響

風営法は時代の変化に合わせて改正されており、飲食店経営者にとって重要な影響を及ぼします。

以下では、改正前の規制内容、改正後のポイント、そして飲食店経営者への影響について詳しく解説します。

改正前の規制内容

かつての風営法では、深夜におけるダンス営業や接待行為を伴う飲食店に対して厳しい規制が課されていました。

たとえば、午前0時以降にダンスを提供するクラブや、接待行為を行うバーなどは、風俗営業としての許可が必要であり、営業地域や営業時間に制限がありました。

これにより、多くの店舗が営業の自由度を制限され、経営に影響を受けていました。

風営法改正後のポイント

2016年の風営法改正により、一定の条件を満たす場合には、深夜におけるダンス営業が可能となりました。

具体的には、照度が一定以上であることや、客席が固定されていることなどの要件を満たすことで、特定遊興飲食店営業としての届出を行えば、深夜営業が認められるようになりました。

この改正により、クラブやライブハウスなどの業態が合法的に深夜営業を行う道が開かれました。

改正による飲食店経営者への影響

風営法の改正は、飲食店経営者にとって新たなビジネスチャンスをもたらしました。

たとえば、深夜に音楽イベントを開催するカフェや、ダンスフロアを設けたバーなど、多様な業態が可能となりました。

ただし、改正後も一定の基準や届出が必要であり、違反した場合には罰則が科される可能性があります。したがって、改正内容を正確に理解し、適切な手続きを行うことが重要です。

川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

風営法違反のリスクと罰則

風営法違反のリスクと罰則

風営法に違反した場合、営業停止や罰金などの厳しい罰則が科される可能性があります。以下では、初犯でも重い罰則が科される可能性や、従業員名簿などの管理義務について詳しく解説します。

初犯でも重い罰則が科される可能性

風営法に違反した場合、初犯であっても以下のような罰則が科されることがあります。

  • ・無許可営業:6か月以下の懲役または100万円以下の罰金。
  • ・届出義務違反:50万円以下の罰金。
  • ・営業停止命令違反:1年以下の懲役または100万円以下の罰金。

 

たとえば、深夜に無許可で酒類を提供した場合や、接待行為を行った場合には、上記の罰則が適用される可能性があります。

これらの罰則は、店舗の信用を失うだけでなく、営業継続にも大きな影響を及ぼします。

従業員名簿などの管理義務

風営法では、従業員名簿の作成・管理が義務付けられています。具体的には、以下の情報を記載した名簿を作成し、常時店舗に備え付けておく必要があります。

  • ・氏名:従業員のフルネーム。
  • ・生年月日:年齢確認のため。
  • ・住所:連絡先の確認のため。
  • ・雇用開始日:勤務開始日を明記。

 

これらの情報は、警察による立入検査の際に確認されることがあります。

適切に管理されていない場合、指導や罰則の対象となる可能性があります。

したがって、従業員名簿は最新の情報を正確に記載し、常に整備しておくことが重要です。

まとめと今後の対策ポイント

飲食店の開業において、風営法の理解と適切な手続きは、店舗運営の成功に直結します。

以下では、開業前に確認すべきチェックリストと、法改正や動向を定期的に確認する重要性について解説します。

開業前に確認すべきチェックリスト

飲食店を開業する際には、以下のポイントをチェックリストとして確認しましょう。

  • ・営業許可の取得:保健所での営業許可申請と施設検査を受ける。
  • ・食品衛生責任者の設置:資格取得や講習会の受講を行う。
  • ・防火管理者の選任:消防署への届出と講習会の受講を行う。
  • ・労働基準法に基づく手続き:雇用契約書の作成や労災保険の加入を行う。
  • ・風営法に関する手続き:必要に応じて風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店の届出を行う。

 

これらの手続きを漏れなく行うことで、開業後のトラブルを未然に防ぐことができます。

法改正や動向を定期的に確認する

風営法や関連法令は、社会の変化に合わせて改正されることがあります。

最新の法改正や業界の動向を定期的に確認し、店舗運営に反映させることが重要です。以下の方法で情報収集を行いましょう。

  • ・行政機関の情報発信:警察庁や厚生労働省の公式サイトを定期的に確認する。
  • ・業界団体のセミナーや研修:飲食業界の団体が主催するセミナーや研修に参加する。
  • ・専門家への相談:行政書士や社会保険労務士などの専門家に相談する。

 

これらの情報収集を通じて、法令遵守を徹底し、安心・安全な店舗運営を目指しましょう。

川崎市の内装デザイン設計と内装工事 川崎市の内装デザイン設計と内装工事

▼こちらの記事も読まれています

▼参考サイト

飲食店開業!オープンまでの流れを時系列で解説!

飲食店開業に必要な準備は?流れとやることリストを解説

店舗の開店準備チェックリスト|やるべきことをカテゴリ別に紹介

飲食店 開業前チェックリスト|飲食店営業許可申請の流れと必要書類を確認しよう

related ブログ

index