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この記事のポイント
オフィスの空気環境が悪いと、従業員の体調や生産性に大きな悪影響を与えます。この記事では、空気環境の悪化要因とその症状、法令の基準から具体的な改善方法までを徹底的に解説します。職場の空気を見直すことで、快適で健康的な働き方を実現しましょう。
現代のオフィスは、快適な空間であると同時に、健康への配慮も求められています。しかし実際には、「空気がこもっていて頭が重い」「なぜか午後になると眠くなる」といった声も多く聞かれます。空気環境の問題は目に見えにくいため見落とされがちですが、実は集中力や生産性、さらには従業員の健康にまで深く関わっています。
ここでは、空気環境が悪化する背景や具体的な症状、そして改善のために個人・企業が取り組むべき対策を段階的に解説します。
オフィスの空気が悪くなる要因にはいくつかの共通点があります。
ここでは特に「換気不足や密閉構造」と「建物構造や設備の問題点」の2つの観点から、その特徴を見ていきましょう。
空気が悪いと感じる原因のひとつは、明らかに「換気不足」にあります。
多くのオフィスでは、エアコンによる冷暖房に依存しており、窓を開けることが難しい構造になっているケースが少なくありません。
そのため、室内の空気が循環せず、二酸化炭素や湿気、さらにはウイルスや細菌が滞留しやすくなります。
たとえば、10人が働いている会議室を想像してみてください。1時間もすればCO₂濃度が基準を超えてしまい、眠気や集中力の低下を招く恐れがあります。
密閉された空間での長時間滞在は、それだけで健康リスクとなり得るのです。
もう一つの要因は、建物自体の設計にあります。特に築年数の古いビルや高層オフィスでは、「窓が開かない」「ダクトが古くて機能していない」といった問題が存在します。
これにより、外気の取り入れや内気の排出がうまく機能せず、室内の空気が澱んでしまいます。
また、空調設備が設置されていても、それが“換気”をしているとは限りません。
空気を冷やす・暖めるだけで、外気との交換を行っていないシステムも多くあります。
したがって、空調設備の仕組みを理解し、実際に換気が行われているかどうかを確認することが重要です。
空気が澱んだオフィスで長時間過ごすことは、身体的・精神的にさまざまな悪影響を引き起こします。
ここでは主に「集中力の低下」「眠気や倦怠感」「頭痛や息苦しさ」といった症状について、その原因と背景を解説します。
空気中の酸素濃度が低下すると、脳への酸素供給が不足し、集中力や思考力が著しく落ちることがあります。
これは短時間であっても体感できるレベルの変化です。
たとえば、会議中に「話が頭に入らない」「ぼーっとしてしまう」と感じた経験はありませんか?
これは、二酸化炭素濃度が高まることで脳のパフォーマンスが低下しているサインかもしれません。
酸素が足りないと脳の神経伝達物質の生成も鈍くなり、仕事の効率だけでなく、アイデアの創出や問題解決力にも影響を及ぼします。
午後になると決まって眠くなる、そんな経験をしている方も多いでしょう。
もちろん食後の血糖変化も一因ですが、それ以上に「室内のCO₂濃度」が大きく関わっているケースがあります。
厚生労働省によれば、室内の二酸化炭素濃度が1,000ppmを超えると、不快感や眠気を訴える人が増えるとされています。
空気がこもった状態では、脳に新鮮な酸素が十分に届かず、身体全体の代謝も低下します。
その結果、だるさや集中困難、さらには長期的な疲労感につながることもあるのです。
換気が不十分なオフィスでは二酸化炭素だけでなく、人体から発生する湿気や微細なホコリ、揮発性有機化合物(VOC)なども蓄積します。
こうした物質が一定量を超えると、頭痛やめまい、息苦しさといった症状を引き起こすことがあります。
たとえば、締め切った会議室で長時間作業したあとに頭が痛くなった経験はないでしょうか。
それは、空気中の有害物質と酸素不足が複合的に作用している可能性があります。
とくにアレルギー体質や喘息持ちの人にとっては、これらの症状が深刻な健康被害につながることもあるため注意が必要です。
オフィスの空気環境を考える上で、二酸化炭素(CO₂)濃度は非常に重要な指標です。
ここでは、二酸化炭素濃度の目安や推奨される基準、そして実際にどのように改善を図るべきかを解説します。
二酸化炭素は人が呼吸することで発生するため、閉め切った空間ではすぐに濃度が上昇します。
特に人が密集するオフィスや会議室では、短時間でも数値が大きく変動します。
厚生労働省の「事務所衛生基準規則」では、オフィス内のCO₂濃度を1,000ppm以下に保つことが推奨されています。
1,000ppmを超えると眠気やだるさが出やすく、1,500ppmを超えると多くの人が不快に感じ始めます。
たとえば、8人が同時に作業する6畳程度の会議室では、30〜60分で1,200ppmを超えることもあります。
こうした変化を「目に見える化」するためには、CO₂濃度測定器の導入が効果的です。
理想的な二酸化炭素濃度は、屋外の大気と同じく400〜600ppm程度です。
ただし完全にこの数値を保つのは現実的ではないため、一般的には800〜1,000ppm以下を維持できれば良好とされています。
濃度を下げるためには、まずこまめな換気が第一です。
窓を開けることができる場合は、1時間に1回程度の換気を行うだけでも効果があります。
もし窓の開閉ができない場合は、機械換気設備やサーキュレーター、空気清浄機などを組み合わせて空気を循環させる工夫が求められます。
さらに、CO₂センサーを設置することで、数値を見ながら換気のタイミングを判断することが可能です。
最近では小型で手頃な価格の製品も多く出回っており、個人でも導入しやすくなっています。
オフィスの空気環境を改善するうえで、「法律に基づいた基準があるのか」「企業にどのような責任が課されているのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。
このセクションでは、法的に定められている換気義務と、企業が守るべき基準について解説します。
オフィスの換気に関しては、「労働安全衛生法」およびそれに基づく「事務所衛生基準規則」によって、明確な基準が設けられています。
中でも重要なのが、室内の二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保つことという基準です。
事務所衛生基準規則第5条には、次のように定められています。
事業者は、二酸化炭素の濃度が1,000ppm以下となるよう換気を行うこと。
また、同法第6条では必要な換気設備の設置と点検の義務についても言及されています。
つまり、法律上も「空気の質を保つこと」は単なる努力義務ではなく、明確に義務づけられているのです。
このような基準があることで、従業員は自分の健康を守るために、職場環境の改善を企業に求める正当な根拠を持つことができます。
企業には、従業員が安全かつ快適に働ける環境を提供する責任があります。
これは「安全配慮義務」とも呼ばれ、労働契約法第5条にも明文化されています。
空気環境の改善も、その一環と見なされます。
たとえば、職場の空気が悪く、従業員が頭痛や体調不良を訴えているにもかかわらず、企業側が何の対応も取らなかった場合、労災や損害賠償の対象となる可能性もあります。
一方で、事業者が「定期的な換気」「CO₂濃度の監視」「空調設備のメンテナンス」を適切に行っている場合、法的責任を果たしていると見なされます。
特に2020年以降、感染症対策としても「換気の重要性」が再認識され、監督官庁によるチェックも強化されています。
そのため、経営者や施設管理者は「法令を遵守する」だけでなく、「従業員の声に耳を傾ける」姿勢も大切です。
高層ビルや密閉構造のオフィスでは、窓を開けての自然換気ができないケースが多く見られます。
そのような環境でも空気の質を保つためには、設備や運用面での工夫が必要です。
ここでは「機械換気設備の見直し」と「高機能換気設備の導入」の観点から、有効な方法を紹介します。
まず重要なのは、現在設置されている空調や換気設備が「実際に機能しているかどうか」を確認することです。
特に古いオフィスビルでは、ダクトが汚れていたり、ファンが劣化していたりして、十分な換気が行われていないことがあります。
一例としてビル管理会社に依頼して換気設備の定期点検を行い、風量やダクト内の清掃状況をチェックするだけでも換気能力は大きく改善されます。
また、エアコンの設定温度や風量調整を工夫することで室内の空気の循環が促進され、空気が滞留しにくくなる効果も期待できます。
加えて、トイレや給湯室といった局所排気装置が適切に作動しているかも忘れずに確認しましょう。
これらの設備はオフィス全体の換気バランスに密接に関係しています。
窓が開けられない構造の場合、より積極的な改善策として「全熱交換器」や「CO₂濃度連動型換気システム」の導入も検討に値します。
これらの設備は、外気を取り入れつつ温度や湿度を保つことができるため快適さと効率性を両立できます。
たとえば、ビル内に全熱交換型の換気ユニットを取り付けることで、室内の空気を効率よく入れ替えながら、冷暖房のエネルギー損失も最小限に抑えることが可能です。
さらに、CO₂センサーと連動させることで、自動的に換気量を調整し、常に適切な空気環境を保つことができます。
中小規模のオフィスであっても、壁掛け型の小型ユニットなどが登場しており、導入コストも徐々に下がってきています。
省エネ効果や従業員の健康維持を考えれば、十分な投資価値があるといえるでしょう。
オフィスの空気環境を整えることは、単なる快適性の向上にとどまりません。
従業員の心身の健康維持や業務パフォーマンス、さらには人材の定着や企業イメージの向上にもつながります。
ここでは、「健康と生産性の向上」「離職率や満足度への好影響」という2つの視点から、そのメリットを解説します。
清潔で新鮮な空気が保たれているオフィスでは、従業員がより快適に働くことができます。
酸素が十分に供給されることで脳の活動が活発になり、集中力や判断力が持続しやすくなるためミスの減少や作業効率の向上が期待できます。
たとえば、CO₂濃度を常に1,000ppm以下に保つ環境と2,000ppmを超える環境とでは、タスクの処理速度に10~15%程度の差が出たという研究結果もあります。
つまり、空気を改善することがそのまま「会社の生産性を底上げする投資」になるのです。
また、換気が適切に行われていることで、風邪やインフルエンザなどの感染症リスクを下げる効果も見込まれます。
特に冬場や換気のしづらい時期こそ、その恩恵は大きくなります。
空気環境を改善すると、従業員満足度が高まり、職場への愛着やロイヤルティにも好影響を与えます。
オフィスに入った瞬間から「なんだか空気が重い」「息苦しい」と感じてしまう職場では、心身のストレスが蓄積し結果的にモチベーションの低下や離職につながるケースも少なくありません。
一方で、「空気がきれいで働きやすい」と感じる職場は、それだけで居心地のよさを演出できます。
特に若年層や女性社員、リモートワーク後に出社する社員にとって、空間の質は職場選びの大きな判断基準となっています。
また、空気質の改善に取り組んでいる企業は「社員の健康を大切にしている会社」として社内外からの評価も高まります。
これは、採用広報や企業ブランディングにもつながる、見逃せないメリットです。
ここでは、オフィスの空気環境について読者からよく寄せられる質問をピックアップし、分かりやすく回答していきます。具体的な対策や判断材料を整理する際の参考にしてください。
はい、可能な限り早めに相談することをおすすめします。
空気の悪さは体調不良の原因になるだけでなく、業務効率やストレスにも影響を与えます。
まずは上司や総務担当に「会議室が息苦しい」「夕方になると眠くなる」など、具体的な状況を伝えてみましょう。
CO₂測定器などを使ってデータを示すと、より説得力が増します。
厚生労働省の基準では、1,000ppm以下が望ましいとされています。
1,500ppmを超えると多くの人が不快感を覚え、2,000ppmを超えると眠気や頭痛、めまいなどの症状が出ることもあります。
2,500ppmを超えると、明確にパフォーマンスが落ち始めるため、換気や空調の見直しが必要です。
窓の有無自体は法律違反ではありません。
ただし、換気が適切に行われているかどうかが法令上のポイントになります。
「労働安全衛生法」と「事務所衛生基準規則」により1,000ppm以下のCO₂濃度を維持することが求められており、それを満たす換気設備や運用がなされていれば合法です。
個人でもできる対策には限界がありますが、まったく効果がないわけではありません。
たとえば卓上のサーキュレーターで空気の流れを作ったり、小型のCO₂モニターで状況を把握したりすることで快適さをある程度維持することが可能です。
長時間の会議前に自発的に換気を促す行動も有効です。
選ぶ際のポイントはCADR(クリーンエア供給率)値の高さやHEPAフィルターの有無、そして「換気機能付き」かどうかです。
空気清浄機は基本的に“室内の空気をろ過する”機能であり、CO₂濃度を下げる効果はありません。
二酸化炭素の排出や空気の入れ替えには、別途換気機能のある製品やサーキュレーターとの併用が必要です。
オフィスの空気環境は従業員の集中力や健康、職場の生産性に深く関わっています。
特に換気不足や密閉構造、古い空調設備は二酸化炭素濃度の上昇や空気の滞留を招き、不調の原因となることがあります。
法令ではCO₂濃度1,000ppm以下が推奨されており、企業には換気や空調管理の責任が求められます。
たとえ窓が開かないオフィスであっても、機械換気設備の見直しや高機能機器の導入によって快適な環境は実現可能です。
空気環境を整えることは、従業員の満足度向上や離職防止、企業価値の向上にもつながります。
まずはできることから始め、継続的に空気の質を見直す習慣を取り入れていきましょう。
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