内装デザイン 2024.10.09

バー開業の前にチェックしたい内装デザインと重要ポイントを解説

バー開業の前にチェックしたい内装デザインと重要ポイントを解説
この記事のポイント

厳格な法規制限と内装・立地要件の事前確認:バーの開業には飲食店営業許可だけでなく、深夜営業(0時以降)の際は10日前までに深夜酒類提供飲食店営業の届出(高さ1メートル以上の間仕切り禁止等)が必要となり、接待を伴う場合は風俗営業1号許可と保全対象施設からの距離制限(30〜50メートル以内出店不可ルール)を物件契約前に精査しなければなりません。

業態や5W2Hのコンセプトに適合するインフラ投資:ダイニングバーにおける給排水・ガス容量や床防水(ウェットキッチン)の強化、ミュージックバーにおける吸音材や遮音シートを駆使した高度な防音・遮音工事など、5W2Hで策定した業態の特性や運営フローに過不足なく適合するインフラ設計を初期図面に落とし込むことが手戻りを防ぐ鍵です。

顧客満足を高めるカウンター寸法と照明演出の最適化:バーの核となるカウンターは高さ1,000〜1,100ミリメートル、椅子との差尺280〜300ミリメートルという人間工学的な適正バランスを確保し、照明は天井全体を照らす直射光を避け、手元やバックバーに美しい陰影を作る調光可能な暖色系(2700K以下)の間接照明を構成するのが鉄則です。

 

独自のこだわりやお酒の魅力を顧客に届けるバーの開業は、多くの飲食オーナーにとって魅力的なビジネスプランです。

しかし、バーの内装デザインやレイアウトは、お店のコンセプトやターゲットとする客層、さらには提供するメニューによって顕著に異なります。目先の意匠だけに囚われて計画を進めると、保健所や警察署の厳しい検査をクリアできず、開業スケジュールが大幅に遅れる致命的な手戻りを招きかねません。

この記事では、失敗しないバー開業のために事前にチェックしておくべき法律上の要件や、居心地の良い空間を創るための設計ポイントを実務目線で分かりやすく解説します。

バーの内装工事事例実績はこちら

バーの開業手続きを進める上で最も重要な関門は、店舗の営業形態や営業時間を事前に正確に査定し、食品衛生法や風俗営業法に定められた厳格な許可・届出の要件を完全にクリアする内装設計を行うことです。

これら法律上の制限を無視して工事を完了させてしまうと、無許可営業として重い罰則を科されるだけでなく、内装の全面解体・やり直しという最悪のシナリオを招くことになります。

飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店営業の届出

お酒や軽食を提供する一般的なバーを開業する場合、まずベースとして保健所から食品衛生法に基づく飲食店営業許可を取得しなければなりません。この許可要件を満たすためには、厨房内に基準に適合した手洗い消毒設備や、蓋付きのゴミ箱、二槽以上のシンク、扉付きの食器棚などのインフラを確実に造作・配置する段取りが必要です。

さらに、バーの標準的な運営スタイルとして、深夜0時から日の出までの時間帯(深夜時間帯)にお酒をメインとして提供する場合は、営業を開始する日の10日前までに、店舗の所在地を管轄する警察署(公安委員会)を経由して深夜酒類提供飲食店営業の届出を提出する義務があります。

この届出が受理されるためには、客席の床面積が「1室あたり9.5平方メートル以上(1室のみの場合は制限なし)」であることや、客席内に見通しを妨げる高さ1メートル以上の衝立や間仕切り、背の高いソファを設置してはならないという、内装レイアウト上の非常に厳格な物理的構造の制限ルールを遵守しなければなりません。

風俗営業許可が必要となる境界線と距離制限

深夜酒類提供飲食店営業の届出を出すだけで営業できるのはバーテンダーがカウンター越しにお酒を作り、常識の範囲内で顧客と対話するスタイルに限られます。

もし、スタッフがお客様の隣の席に座って談笑したり、特定の客に付きっきりでお酒を注いだり、カラオケのデュエットを客と一緒に歌ったり、店内の照明を5ルクス以下の暗さにするなど、法律上の接待行為に該当する運営を行う場合は深夜酒類の届出ではなく、風俗営業法に基づく風俗営業1号許可(社交飲食店営業)の取得が必要となります。

この許可を取得した場合、深夜0時以降の営業は法律で原則として固く禁止されます。

また、風俗営業許可は立地制限(用途地域制限)が極めて厳しく、商業地域など営業が認められたエリアでしか開業できません。

さらに、店舗の周辺に学校、図書館、児童福祉施設、一定以上のベッド数を持つ病院などの保全対象施設が存在する場合、その施設からの直線距離が都道府県の条例で定められた基準(例:商業地域であっても30メートル〜50メートル以内など)を1センチメートルでも下回っていれば、どれほど優れた内装を作っても法律上100%開業許可は下りません。

用途地域の確認や保全対象施設との距離の精密な実地計測、及び警察署との事前協議の手続きは非常に専門性が高く分岐も複雑なため、物件の契約書にハンコを捺す前の最も初期の段階から商業店舗の法規整理に強い専門の設計会社へ相談し、足元を固めておくことが確実な安全策となります。

さまざまなバーの業態と種類

バーの出店においてターゲット顧客の期待に応える空間を創るためには、自らが目指すバーの具体的な種類や業態を明確にし、その運営フローやサービス特性に完全に過不足なく適合する厨房・音響インフラのスペックを初期図面に落とし込むことが大切です。

一言にバーと言っても、その形態や顧客の滞在時間、内装デザインに求められる空気感は多種多様です。

オーセンティック・ショットバー・ダイニングバーの基礎

バーの最も伝統的なスタイルが「オーセンティックバー」です。オーセンティックとは「本物の・正統派の」という意味であり、大人の雰囲気が漂う静かな店内で、技術を磨いたバーテンダーが本格的なカクテルやウイスキーを提供する場所を指します。

内装には本物の銘木(マホガニーやオークなど)の一枚板カウンターや、重厚な革製スツール、ボトルが美しくバックバーに並ぶクラシックで上質な意匠設計が求められます。

一方、「ショットバー」はお酒をボトルではなく一杯(1ショット)単位で気軽に注文できる、ややカジュアルで親しみやすいスタイルです。短い滞在時間でサクッと飲む人が多いため、回転率や会計の利便性を意識したレイアウトが好まれます。

また、「ダイニングバー」は本格的な食事メニューとお酒を両立させるお店です。ピザ窯や本格的なフライヤー、グリルなどを厨房内に組み込む必要があるため、他のバーに比べてガス容量や給排水衛生設備、厨房内の床の防水工事(ウェットキッチン仕様)を大幅に強化する段取りが必要となります。

ミュージックバー・コンセプトバーの新潮流

近年のトレンドとして急速に普及しているのが、高音質なオーディオ環境を最大の価値とする「ミュージックバー(レコードバー、DJバー)」です。アナログレコードの温かみのある音や上質なサウンドを肴にお酒を楽しむスタイルであり、店内に大型のスピーカーやターンテーブル、レコードのストック棚を配置する特等席を設計の段階で確保しておく必要があります。

この業態では、近隣への音漏れによる苦情を物理的に防ぐため、壁や天井の内部にグラスウールなどの吸音材や遮音シートを隙間なく敷き詰める高度な防音・遮音工事の積算が必須となります。

また、「スタンディングバー(立ち飲みバー)」は、椅子を配置せずカウンターやハイテーブルのみで構成する気軽さが特徴です。坪数あたりの収容人数(客席密度)を最大化でき、家具の部材費用を大幅にカットできるメリットがあります。形成してオーナーの特定の趣味を前面に押し出す「コンセプトバー(スポーツバーなど)」では、世界観の統一が命となります。

大画面の液晶モニターをどの席からも死角なく見渡せるように配置する視線の計算や、内装の装飾物が消防法上の防炎物品基準をクリアしているかなど、専門的な安全確認の段取りが不可欠です。

バー開業で絶対に失敗しないコンセプト設計の5W2H

バーを開業する前に決めておきたいこと

バーの開業を単なる憧れで終わらせず、持続可能な黒字経営へと軌道に乗せるためには、物件探しやデザイナーへの発注をスタートさせる前に、店舗のコンセプトを5W2Hのフレームワークに当てはめてロジカルに明文化し、内装の予算配分とデザインの方向性に一切のブレがないように軸を固定することが不可欠です。

バー業界は参入障壁が比較的低い分、競合が非常に多いため、誰の、どのようなニーズを満たす店なのかが不透明な店舗は、オープン直後から深刻な集客難に陥るリスクが高くなります。

5W2Hの要素 バー開業における具体的な自問自答 内装デザインやレイアウトへの実務的反映
Why(なぜ) なぜこの街で、どのような体験や価値をお客様に届けたいのか。 癒やしなら温かみのあるアースカラー、刺激ならエッジの効いたモダン意匠。
What(何を) クラフトジン、ウイスキー、または本格的なフードメニューか。 バックバーの棚の高さ、冷凍冷蔵庫の容量、厨房の排気風量の設計に直結。
Who(誰に) 仕事帰りの単独会社員、若い女性グループ、またはインバウンド層か. 客席同士の間隔(ピッチ)、椅子の座り心地、トイレの化粧直しの広さの選定基準。
When(いつ) 平日の深夜がメインか、または昼はカフェ営業の2毛作スタイルか。 昼光を遮光する遮光カーテンの有無、または昼夜の雰囲気を変える調光調色LEDの導入。
Where(どこで) 駅前の路面店、隠れ家的な雑居ビルの上階、または閑静な住宅街か。 外観ファサード(看板)の目立たせ方、または周辺地域に合わせた防音対策の遮音レベル。
How(どうやって) ワンオペレーションか、複数のスタッフでローテーションを回すか。 ワンオペなら厨房からすべての客席と出入り口が見渡せる「死角なし動線」の構築。
How much(いくら) 客単価1,500円のカジュアル店か、8,000円以上の高級オーセンティックか。 高級店なら仕上げ材に本革や天然石を使用、カジュアル店ならメラミン化粧板等でコスト抑制。

狙いたいターゲット層によって、雰囲気や価格、物件の立地などが異なるため、まずはコンセプトを明確にすることが大切です。

また、土地にはそれぞれ特色があり、住んでいる人も似通ってきます。若者の多い街、ビジネスパーソンの多い街、家族の多い街、高齢者の多い街など、さまざまです。地域のニーズも取り込んで内装デザインを構築していましょう。

バーの内装デザインで最も重視すべき物理的要素

バーの内装で重視すべきポイント

バーの顧客体験のクオリティを決定づけるのは、表面上の派手なデコレーションではなく、お客様が最も長い時間を過ごす「カウンターまわりの人間工学的な寸法設計」と、店内のムードを劇的にコントロールする「照明器具の配置(ひかりの演出)」の2点です。

この2つの物理的要素が店舗のアイデンティティとなり、目に見えない居心地の良さを生み出す強固な土台となります。

カウンターと椅子の人間工学的な高さバランス

カウンターはバーの顔であり、お客様のバーに対する印象を左右する場所でもあります。バーにおけるカウンターの高さは、一般的なレストランよりもかなり高く、約1,000ミリメートル〜1,100ミリメートル(1メートル〜1.1メートル)の「ハイカウンター仕様」で設計されるのが実務上のセオリーです。

カウンターを高くすることで、バーテンダーが立った状態で最も美しく無理のない姿勢でシェイカーを振ったり、ボトルを注いだりする作業動線が確保できます。

この時、お客様が座るバースツール(椅子)の座面高は、カウンターの天板の高さから「差尺(さじゃく)」と呼ばれる適切な隙間(約280ミリメートル〜300ミリメートル)を逆算して選定しなければなりません。椅子の高さが合わず、腕が上がって肩が凝ったり、足がぶらついて踏ん張りが効かないようなアンバランスな設計では、どれほどお酒が美味しくてもお客様は短い時間で不快感を覚え、すぐに退店してしまいます。

また、天板の奥行きはグラスを並べても余裕のある450ミリメートル〜600ミリメートルを確保し、下部にはお客様の膝が当たらないよう十分な引き込みスペースと、足置き(フットレスト)を配置する段取りが、長時間の快適性を保つための鉄則です。

ムードを支配する照明設計と調光コントロール

バーの特有の隠れ家感やムードある静けさを演出するためには、店内の明るさを最小限に抑える「一灯集中型」の照明設計が効果的です。天井全体を均一に明るく照らす蛍光灯のような直射光は、バーの空間においては完全に厳禁となります。

ベースライトを極限まで絞り、お客様の手元のグラスや、バックバーに並ぶきらびやかなボトル、バーテンダーの作業エリアだけにスポットライトの光を落とすことで、光と影の美しいコントラスト(陰影)が生まれます。

実務においては、時間帯や外の明るさに合わせて店内の光量をシームレスに変更できる「位相制御調光器付きのLED」をインフラとして組み込んでおくことが非常に重要です。また、光源がお客様の目に直接入って眩しさを与えないよう、ルーバー付きの器具を選んだり、壁面を照らす間接照明を活用して、反射した柔らかい光で店内を満たす設計が推奨されます。

暖色系(電球色:2700K以下)の低い色温度の光は、お酒の琥珀色を最も美しく引き立て、人間の精神を深くリラックスさせて客単価の向上を促す科学的な効果があります。

まとめ

理想のバーを開業し軌道に乗せるためには、感覚的な意匠デザインだけに依存せず、保健所や警察署の法的な検査基準(間仕切りの高さ、保全施設との距離要件等)を完璧にクリアする図面設計とインフラの事前確認を徹底することが成功の絶対条件です。

物件の引き渡し状態(スケルトンか居抜きか)、既存の受電容量(三相200V動力の残り枠)、水回りの配管勾配の限界、そして「必ず工事発注や契約書の調印を行う前に申請・交付決定を受けなければならない」という公的な省エネ設備更新補助金の鉄のルールにいたるまで、投資コストを最小限に抑えつつ最大の快適性を得るための最適解は、1案件ごとに完全に異なる形で複雑に分岐します。

一度不動産契約書に捺印をして発注を確定させてしまった後からのインフラ変更や、管理会社側への減額交渉、役所の窓口への後出しの環境補助金申請は法律上100%不可能となるため、予期せぬ予算オーバーを防ぎ、オープン日までのタイムラインを最速かつ安全に駆け抜けるためには、物件の最終契約を結ぶ前の最も早い段階から、商業店舗の実務経験と行政協議に精通した信頼できるプロのパートナーをチームに迎え入れ、現地調査(現調)と図面のチェックを進めていくことが、経営者として最大の利益と事業の安全を守るための、最もスマートな進め方の鉄則です。

ReAirでは、オーセンティックバーやミュージックバー、昼夜2毛作カフェ&バーの洗練された空間デザインのご提案はもちろん、開業者さまや出店担当者さまが最も不安や専門知識の壁を感じやすい「新物件の電気動力容量・排気風量・風営法距離制限の事前現地調査・インフラ査定」から、「ビル管理会社との工事区分の明確な切り分け・価格交渉サポート」「指定業者の見積書の妥当性精査・論理的な減額査定」「各種省エネ更新補助金・地方自治体の環境助成金に合わせた工期・スケジュールの最適化」まで、ワンストップで一貫してオーナーさまの立場に立ってサポートしております。

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参考文献

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