内装デザイン 2026.10.09

テナント内装の用途変更とは?確認申請が必要な200㎡基準を解説

テナント内装の用途変更とは?確認申請が必要な200㎡基準を解説

事務所や物販店だった区画を飲食店に変えるとき、「内装工事だけだから確認申請は要らない」と考えていませんか。実際は、変更後の用途が特殊建築物で、変更する部分が200㎡を超えると、工事の有無にかかわらず用途変更の確認申請が必要です。

さらに、申請が不要な小規模の用途変更でも、建築基準法への適合は求められます。

この記事では用途変更 確認申請 内装について、

  1. (1)確認申請が必要になる条件と200㎡の数え方
  2. (2)申請が不要になる「類似の用途」の組合せと、見落とされやすい例外
  3. (3)確認申請が不要でも適合が求められる規定
  4. (4)着工前に確認する書類と現地調査の項目
  5. (5)申請後の完了手続きの注意点

の5点を実務目線で整理します。物件選びの段階の方も、内装設計・施工の担当者も、そのまま確認作業に使える内容です。

用途変更とは?確認申請が必要になる条件

用途変更とは、建物の一部または全部の使い方を、現在の用途から別の用途へ変えることです。根拠は建築基準法第87条で、確認申請が必要になる条件は次の2つを両方満たす場合です。

  • 変更後の用途:建築基準法別表第1(い)欄に掲げる特殊建築物(飲食店、物品販売店舗、ホテル・旅館、病院・有床診療所、劇場、倉庫など)
  • 変更部分の面積:200㎡を超えること

この200㎡は、令和元年6月25日の法改正で、従来の100㎡超から引き上げられました(東京海上ディーアール)。物件資料や古い解説記事に「100㎡超で申請」と書かれている場合は、改正前の情報なので注意してください。

一方、事務所、美容室、工場(自動車修理工場を除く)、収容施設のない診療所は特殊建築物ではないため、これらへの変更は面積にかかわらず確認申請は不要です(名古屋市のFAQ)。同様に、飲食店を事務所に変更する場合や、物販店の一部を収容施設のない診療所に変更する場合も申請は不要とされています。なお、物品販売店舗は床面積10㎡以内のものが特殊建築物から除かれています(新宿区資料)。

借りる物件が用途変更の対象か知りたい方へ

現在の用途・変更後の用途・面積から、確認申請の要否と内装計画への影響を整理します。契約前の段階でもご相談ください。

※最終的な判断は特定行政庁・確認検査機関の見解によります。

200㎡の数え方:何を足して、何を足さないか

判断の対象は「用途変更する部分」の床面積です。新宿区の資料では、既存の特殊建築物の床面積や、過去に用途変更した部分の面積は合計しないと整理されています。たとえば事務所150㎡を飲食店に変更し、その後、別の事務所150㎡を別工事で飲食店に変更する場合は、それぞれ200㎡以下なので申請不要とされています(名古屋市のFAQ)。

ただし例外が2つあります。第一に、同一の者が200㎡以下の変更を繰り返すなど、意図的に手続きを避けている場合は、実態に応じて判断されるとされています。第二に、用途変更部分と、そこからのみ使う避難経路は面積に算入されます(名古屋市)。同一建物の一部を駐車場にする場合も、用途変更部分の面積に算入されます。区分所有の建物で、異なる区分所有者がそれぞれ変更し、各部分が200㎡以下であれば不要とされています。

類似の用途とは?申請が不要になる組合せと落とし穴

変更前と変更後が「類似の用途」の組合せ(建築基準法施行令第137条の18)であれば、200㎡を超えても確認申請は不要です。福岡市の資料に示された11グループのうち、内装工事に関係するものは次のとおりです。

  • 物販グループ:百貨店、マーケット、その他の物品販売を営む店舗
  • バーグループ:キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
  • 料理店グループ:待合、料理店
  • 宿泊グループ:ホテル、旅館
  • 診療所グループ:診療所(患者の収容施設があるもの)、児童福祉施設等

最大の落とし穴は、一般的な「飲食店」は、類似の用途の一覧に含まれていないことです(新宿区資料)。「物販店と飲食店は同じ店舗だから類似だろう」と考えて物販店→飲食店の変更を申請不要としてしまうと、200㎡超の場合は無申請の用途変更になります。同じグループ内であっても、次の地域では手続きが必要になる例外があります。

  • バー等グループ:準住居地域・近隣商業地域にある場合は手続きが必要
  • 診療所・児童福祉施設等、博物館等グループ:第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域では手続きが必要(博物館等は低層住居専用地域等の条件、診療所等も同様の整理)

パターン別:確認申請が必要かどうかの早見表

変更パターン(例) 確認申請 理由・注意点
事務所300㎡ → 飲食店 必要 飲食店は特殊建築物で200㎡超
事務所150㎡ → 飲食店 原則不要 200㎡以下。ただし法適合は必要で、分割による回避は実態判断
物販店250㎡ → 飲食店 必要 飲食店は類似用途の一覧に含まれないため
物販店300㎡ → 別の物販店 不要 同一の類似用途グループ内
飲食店300㎡ → 事務所 不要 事務所は特殊建築物ではない
物販店300㎡ → 倉庫 必要 倉庫は特殊建築物で、類似用途ではない
物販店の一部 → 収容施設のない診療所 不要 無床診療所は特殊建築物ではない

用途変更を含む内装工事の進め方に不安がある方へ

確認申請の要否判断から、設計・工事・完了後の手続きまで、段取りを整理してご案内します。

※手続きの要否は物件・地域により異なります。

確認申請が不要でも、法への適合は求められる

最も誤解されやすい点が、「確認申請が不要=規制を受けない」ではない、ということです。福岡市の資料では、用途変更の確認申請が不要な場合も、法の規制は適用されると明記されています(法第87条第2項)。用途変更によって新たに適用される規定(容積率、採光、耐火建築物の要件、階段など)には適合させる必要があり、既存不適格の扱いは使えないとされています。

また原則として、用途変更部分以外も、防火区画の状況に応じて現行規定への適合が必要になる場合があります(法第87条第3項・第4項)。ただし、類似用途間の変更で主要構造部の修繕・模様替えをしない場合などは、既存不適格部分への遡及適用がないとされています(令第137条の19第1項)。

違反した場合、横浜市の資料では、是正命令を受けて公表されることがあり、罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)とされています。

用途変更と内装制限・避難規定の関係

用途変更に伴い、内装工事の仕様に直接影響する規定は次のとおりです(横浜市の資料)。

項目 内容 内装工事での注意
内装制限・排煙 建物の規模や用途により、壁・天井に使える材料が制限される 壁・天井の仕上げを燃えやすい材料に変えない
非常用の照明装置 スケルトンから内装工事をする場合、火災・停電時に足元を照らす照明が必要。出口が近い場合は緩和されることがある 照明計画の初期段階で配置を確認
防火区画 階段の鉄製扉は防火戸の場合がある 木製扉への変更や、開け放しの運用を避ける
増築 小規模な増築でも構造に合わせた仕様が必要 建築可能な面積の上限も確認

着工前の確認方法とチェックリスト

用途変更では、設計に入る前に「現況が適法か」を確認することが欠かせません。東京海上ディーアールのコラムでは、既存建築物が既存不適格か違法建築かを事前に把握することが重要とされ、違法建築物の場合は確認申請の受付を断られる可能性があると指摘されています。

確認項目 確認方法 判断のポイント
①現在の用途と変更後の用途 確認済証・図面・賃貸借契約の用途欄 変更後が別表第1(い)欄の特殊建築物か。類似用途グループの内か外か
②用途変更部分の面積 床面積求積図、現地実測 専用部に加え、そこからのみ使う避難経路も算入。200㎡を超えるか
③検査済証の有無 ビルオーナー・管理会社へ確認 ない場合は是正協議が必要になることがあり、確認検査機関がガイドラインに基づいて申請を受ける場合もある
④既存不適格の状況 既存不適格調書、建築士による遵法性調査 用途変更で新たに適用される規定に適合するか
⑤用途地域 都市計画図、自治体の窓口 バー等は準住居地域・近隣商業地域で類似用途の例外になる
⑥内装制限・非常用照明・防火区画 現地調査、既存図面 既存の仕上げ材、照明、防火戸が変更後の用途に適合するか

弊社(ReAir)では、居抜き物件や用途が変わる物件のご相談では、契約前に、現在の用途・床面積・検査済証の有無を確認したうえで、確認申請が必要な可能性を整理しています。検査済証がない物件や面積が200㎡前後の物件は、設計着手前に所轄の特定行政庁または確認検査機関へ事前相談するよう、案内しています。

必要書類と、申請後の完了手続き

福岡市の資料によると、確認申請が必要な場合の主な図書は、確認申請書(正・副)、設計図書(付近見取図、配置図、各階平面図、床面積求積図、立面図・断面図など)、建築計画概要書、委任状、既存不適格建築物報告書の写し、建築時の法令適合を示す図書(確認済証・検査済証など)です。建築時より荷重増加が疑われる場合は、構造的検討書も求められます。用途変更部分以外は、既存図書のコピーで足りるとされています。

申請後の流れは、確認済証の受領、工事着工、工事完了届の提出です。ここで注意したいのが、用途変更では完了検査を受けられない点です(東京海上ディーアール)。確認申請がある場合に限り特定行政庁へ工事完了届を提出する仕組みのため、施工が図面どおりかを発注者自身が確認する必要があると指摘されています。完了時には、施工写真、検査記録、使用した材料の認定書類などを、設計者・施工者・発注者で共有しておくと、後日の確認に役立ちます。

費用の考え方:申請費用だけで判断しない

用途変更にかかる費用は、設計者への報酬、確認申請手数料、既存図面や検査済証の調査費、必要な是正工事の費用で構成されます。金額は物件の規模、図面の有無、既存不適格の有無によって大きく変わるため、個別の見積りで確認することになります。

「申請が不要だから費用が安い」とも限りません。申請が不要でも適合が必要なため、非常用照明の追加、内装材の変更、防火区画の補修などの是正工事が発生する可能性があります。契約前に是正工事の有無を確認しておくと、開業スケジュールと予算のずれを防げます。

契約前に、法適合の見通しを確認したい方へ

検査済証の有無、既存不適格の可能性、必要になりそうな是正工事を、計画段階で整理します。

※費用は物件条件により異なります。

よくある勘違い・FAQ

Q. 内装工事だけで壁や設備を動かさないなら、用途変更の確認申請は不要?

工事の有無ではなく、用途の変更そのものが対象です。変更後が特殊建築物で、変更部分が200㎡を超えれば、工事を伴わない場合でも確認申請が必要です。

Q. 物販店から飲食店への変更は、同じ店舗だから申請不要?

不要とは限りません。飲食店は類似用途の一覧に含まれておらず、物販店→飲食店の変更は、200㎡を超えると確認申請が必要になります。

Q. 200㎡以下なら、何も手続きしなくてよい?

確認申請は原則不要ですが、建築基準法への適合は求められます。内装制限、非常用照明、防火区画、換気、採光などの規定は、変更後の用途で判断されます。

Q. 事務所から飲食店への変更を、150㎡ずつ2回に分ければ申請を避けられる?

別々の工事として、それぞれ200㎡以下であれば申請不要とされる例もあります。ただし、同一の者が分割を繰り返すなど意図的に手続きを避けている場合は、実態に応じて判断されるため、計画的な分割は避けるべきです。

Q. 工事が終わったら完了検査を受けて検査済証をもらえる?

用途変更では完了検査を受けられません。確認申請をした場合に、特定行政庁へ工事完了届を提出する流れになります。検査済証が出ない分、施工が図面どおりかを自分たちで確認する必要があります。

まとめ

テナント内装の用途変更で確認すべき要点は次のとおりです。(1)変更後が飲食店・物販店などの特殊建築物で、変更部分が200㎡を超える場合は確認申請が必要。(2)200㎡は令和元年6月25日の改正で100㎡から引き上げられた数値で、避難経路を含めた変更部分で数える。(3)類似の用途は申請不要だが、飲食店は一覧に含まれず、物販店→飲食店は申請が必要になりうる。(4)申請が不要でも、新たに適用される規定への適合は必須。(5)完了検査は受けられないため、施工内容の確認と書類の共有が欠かせない。契約前に、現在の用途、変更部分の面積、検査済証の有無、既存不適格の状況の4点を確認しておくことが、開業後の是正や工期遅延を防ぐ最も確実な方法です。

用途変更を伴う内装計画はReAirにご相談ください

物件の事前確認から設計・施工、完了後の書類整理まで、内装工事の計画段階から一貫してサポートします。

※最終的な判断は特定行政庁・確認検査機関の見解によります。

参考文献

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