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今の日本では「どこでも吸っていい」時代は終わり、健康増進法(改正健康増進法)により喫煙できる場所は厳しく限定されています。
とはいえ、施設の種類によってルールが異なり、店内やオフィスに喫煙所を作れるのか、屋外なら大丈夫なのか、判断に迷う場面は多いはずです。そこでこの記事では、健康増進法の喫煙規制の基本、喫煙可能な場所の条件、喫煙所設置の実務基準、違反時の罰則までを、初心者にも分かるように整理します。

改正健康増進法は望まない受動喫煙をなくす目的で、施設区分ごとに「原則屋内禁煙」を定めた現行法です。施設管理者には禁煙措置や標識掲示などが義務化され、喫煙できる場所は喫煙室など一定の設備に限られます。まず制度の位置づけと区分を押さえることが、実務判断の近道です。
※法令名:健康増進法(平成14年法律第103号)および健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号)/厚生労働省所管(現行法)
受動喫煙防止法という別の法律があるわけではなく、一般にそう呼ばれているのは改正健康増進法による受動喫煙対策の仕組みです。
つまり、店舗や職場での喫煙ルールは基本的に健康増進法の改正内容を見れば整理できます。自治体によっては上乗せ条例があるため、東京都のようにより厳しい運用になる地域もありますが、まずは国の法律がベースです。
喫煙規制は施設を「第一種施設」「第二種施設」「喫煙目的施設」の3つに大きく分け、区分ごとに禁煙範囲と例外が決まります。
| 施設区分 | 主な例 | 喫煙規制の原則 |
|---|---|---|
| 第一種施設 | 学校、病院、行政機関など | 原則「敷地内禁煙」。屋外は特定屋外喫煙場所のみ可。 |
| 第二種施設 | オフィス、店舗、工場、ホテル、飲食店など | 原則「屋内禁煙」。基準を満たす喫煙室等のみ可。 |
| 喫煙目的施設 | シガーバー等、喫煙が主目的の施設 | 例外的に喫煙可。ただし要件・標識が必要。 |
自分の施設がどの区分に該当するかで、可能な対応が大きく変わります。用途が複合する建物ではフロアや区画ごとに扱いが変わるため、計画時点で役所や保健所に確認するのが安全です。
健康増進法は「吸う人」だけでなく「施設を管理する人」にも義務を課しています。
喫煙者側は禁煙場所で喫煙しない、標識に従う、20歳未満立入禁止の喫煙室に未成年を入れない、といったルール順守が求められます。管理者側は、禁煙・分煙の措置、喫煙可能場所の指定、標識掲示、喫煙室の技術基準の保持などが義務です。違反の責任が管理者側にも及ぶ点が重要です。

喫煙できる場所は「例外として認められる条件を満たした場所」に限定されます。屋内は原則禁煙、屋外も無条件に喫煙できるわけではありません。ここでは、喫煙可の条件を場所別に整理します。
第二種施設の屋内は原則禁煙です。ただし、法律が定める「喫煙専用室」「指定たばこ専用喫煙室(主に加熱式たばこ)」「喫煙目的室」など、一定の設備基準を満たす室を設けた場合はその室内に限り喫煙できます。
例外が認められる理由は「たばこ煙が室外へ漏れない構造・設備」になっているなら、非喫煙者を受動喫煙から守れると考えられているためです。逆に言えば、基準に合わない“簡易的な分煙スペース”は喫煙場所として認められません。
基準の判断が難しい場合は改修後に使えないリスクを避けるため、設計・施工前に専門家や自治体へ相談しておくと安心です。
屋外でも受動喫煙が起きない配慮が必要で特に第一種施設は「原則敷地内禁煙」で、特定屋外喫煙場所を設置した場合のみ喫煙可です。
第二種施設の屋外は法律上「屋内規制の対象外」ですが、出入口付近や人の動線上に喫煙場所を作ると受動喫煙の原因になり、指導対象になる可能性があります。実務では利用者が通常立ち入らない場所に区画して設け、煙が流れやすい位置や風向きも含めて計画するのが安全側です。
喫煙可能な場所を設ける場合も設けない場合も「標識の掲示」が義務です。
禁煙の場合は「禁煙」の標識、喫煙室がある場合は「喫煙専用室あり」「20歳未満立入禁止」など定められた標識を掲示します。標識がないと利用者が誤って入室したり、管理者の義務違反に該当する恐れがあるため、実務では最優先で整備すべきポイントです。

喫煙所は「作ればOK」ではなく、種類ごとに技術的基準と運用ルールを満たす必要があります。基準を外すと、喫煙場所として認められず、屋内禁煙違反になる可能性があるため注意しましょう。
第二種施設で設けられる喫煙所は主に次のタイプに分かれ、いずれも「煙が室外に流出しない」ことが条件です。
| 喫煙所の種類 | 使えるたばこ | 主な要件の方向性 |
|---|---|---|
| 喫煙専用室 | 紙巻・加熱式とも可 | 煙の流出防止、出入口の区画、換気等の技術基準適合 |
| 指定たばこ専用喫煙室 | 主に加熱式たばこ | 流出防止+加熱式に合わせた運用基準 |
| 喫煙目的室(喫煙目的施設内) | 施設要件に依存 | 喫煙が主目的であること、標識、20歳未満立入禁止 |
細かな技術基準(風速、換気能力、開口部の条件など)は省令・手引きで定められており、施設の形状で適合の仕方が変わります。
喫煙所の最大の要件は「たばこ煙を室外に漏らさないこと」です。法律は構造・設備が省令で定める技術基準に適合している喫煙室のみを認めています。
具体的には喫煙室と非喫煙エリアを壁や扉で明確に区画し、室内から室外へ煙が漏れないよう、十分な排気・換気を確保する必要があります。加えて、出入口付近の気流や人の動線も漏れの原因になるため、設計・施工・運用を一体で考えることが大切です。

健康増進法の違反には罰則(過料)が設けられていますが、いきなり罰則が科されるのではなく、行政の指導・勧告・命令を経て改善されない場合に適用される仕組みです。どんな行為が対象になるのかを理解し、日々の運用でリスクを下げましょう。
過料の対象は「禁煙場所での喫煙」「標識未掲示」「喫煙室の基準違反」など、義務に反する行為です。
| 主な違反類型 | 例 | 対象になり得る人 |
|---|---|---|
| 禁煙場所での喫煙 | 屋内禁煙エリアで吸う | 喫煙者 |
| 標識の未掲示・不備 | 禁煙・喫煙可の表示がない | 施設管理者 |
| 喫煙室の基準不適合 | 煙が漏れる、区画が不十分 | 施設管理者 |
罰則金額は違反内容で差があります。一般向け解説では「最大50万円以下の過料があり得る」旨が示されていますが、実際の適用は個別事情で判断されるため、詳細は自治体の運用確認が必要です。
行政対応は「指導 → 勧告 → 命令 → 過料」の順で進みます。
まず保健所等が立入や確認を行い、改善点があれば指導します。それでも従わない場合に勧告・命令へ進み、なお改善が見られないときに限り過料が科される構造です。つまり早い段階で是正すれば罰則リスクは大きく下げられます。
ポイントは「区分の確認」「標識の徹底」「喫煙室の性能維持」の3つです。
具体的には施設区分を誤らない、入口やフロアに標識を常設する、喫煙室の換気設備を定期点検する、従業員がルールを説明できるようにする、といった運用が有効です。

飲食店やオフィスなどの第二種施設は「原則屋内禁煙」ですが、飲食店には一定の経過措置があり、条件を満たす既存店は喫煙可の選択肢が残っています。自施設の条件を表で照合し、必要な対応に落とし込みましょう。
飲食店は「新規か既存か」「資本金と客席面積」などで扱いが分かれます。
| 区分 | 主な要件 | 店内喫煙の扱い |
|---|---|---|
| 原則の飲食店 | 新規開業、または要件外 | 原則屋内禁煙。喫煙専用室等のみ可。 |
| 既存特定飲食提供施設 | 2020/4/1以前から営業、資本金5,000万円以下、客席100㎡以下等 | 経過措置で店内喫煙可(標識等の義務あり)。 |
| 喫煙目的施設 | 喫煙が主目的・未成年入店不可などの要件 | 施設全体で喫煙可(要件厳格)。 |
自店がどこに当たるかで可否が真逆になるため、判断が微妙な場合は自治体に確認するのが確実です。
既存特定飲食提供施設は「小規模な既存飲食店への配慮」として経過措置が設けられています。要件は、施行時点で既に営業していたこと、資本金5,000万円以下、客席面積100㎡以下(大規模会社の支配を受けないこと等の例外条件あり)などです。
この経過措置を使う場合も、喫煙可の標識掲示や20歳未満の立入制限などの義務は残ります。条件を満たさなくなった場合の扱いは自治体運用による部分もあるため、定期的に要件を確認しておくと安心です。
周知は「標識+口頭案内+社内ルール」の3点セットが有効です。
利用者向けには入口・店頭・エレベーターホールなど視認性の高い場所に標識を出します。従業員向けには、どこが喫煙可でどこが禁止か、未成年対応、クレーム時の説明手順までマニュアル化すると、運用ブレを防げます。
屋外でも無条件に喫煙できるわけではありません。理由は、第一種施設は原則敷地内禁煙で、特定屋外喫煙場所のみ許可されるからです。補足として、第二種施設でも出入口付近や人の密集場所は受動喫煙が起きやすいので、区画と位置の配慮が必要です。
喫煙所が省令の技術基準に適合していれば、その室内に限り喫煙可能です。理由は、基準適合室だけが例外として認められる仕組みだからです。補足として、簡易なパーテーションや換気不足のスペースは喫煙所として認められません。
通常はすぐに罰則ではなく、指導・勧告・命令を経たうえで改善されない場合に過料が科されます。理由は法律上その手順が定められているためです。補足として、指導段階で速やかに是正すれば罰則リスクは下げられます。
一定の条件下で「指定たばこ専用喫煙室」など別の喫煙室類型が設けられています。理由は紙巻と加熱式で煙・エアロゾルの性質が異なるためです。補足として、どの室で何が吸えるかは標識で明確に区別する必要があります。
健康増進法(改正健康増進法)では、施設は原則屋内禁煙で、喫煙できる場所は基準を満たす喫煙室や特定屋外喫煙場所などに限られます。飲食店は既存特定飲食提供施設の経過措置など例外もありますが、要件の照合と標識掲示が必須です。
まずは自施設の区分を確認し、「屋内は完全禁煙にするのか」「喫煙室を設けるのか」「屋外喫煙場所をどう区画するか」を整理してください。条件や自治体運用で結論が変わる部分もあるため、迷う場合は早い段階で保健所や専門家に相談すると、手戻りや違反リスクを抑えながら最適な運用を決めやすくなります。必要なら電話や問い合わせで状況を共有いただければ、施設条件に合わせた整理を一緒に進められます。

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