業務用エアコン導入ノウハウ 2025.09.07

業務用エアコンタイプ別の取り付け工事の流れ

業務用エアコンタイプ別の取り付け工事の流れ

オフィスや店舗を快適に保つために欠かせないのが業務用エアコンです。

家庭用エアコンとは違い、広い空間を効率的に冷暖房するために設計されています。

しかし、その分だけ工事が大掛かりで、形状によって施工方法や費用、注意点が大きく変わります。

知識がないまま工事を依頼すると、余計なコストや使い勝手の悪さにつながることも珍しくありません。

この記事では、業務用エアコンの代表的な形状の特徴や設置工事の流れ、事前に確認すべきポイントをまとめました。

業務用エアコンの種類と特徴

業務用エアコンには複数のタイプがあり、空間の広さや利用シーンに応じて選ぶ必要があります。

以下では、4つの代表的な形状について特徴と工事の注意点を整理します。

天井カセット形

天井に埋め込んで設置するタイプで4方向に風を送れるものが多く、広いスペースを均一に冷暖房できます。

カフェや会議室、美容院など「デザインを損なわず広範囲を快適にしたい」場所でよく採用されます。

ただし導入には天井に穴を開け、内部に吊り金具を設置するなど大掛かりな工事が必要です。

天井裏の梁や配線に干渉することもあり現場調査が不可欠です。工期は数日かかるケースもあり費用も高くなりがちです。

ビルトイン形

本体は天井内に設置し、吹出口を自由に分散できるタイプです。

店舗デザインと調和させやすく、美容サロンや高級飲食店、ショールームなどで好まれます。

しかし、本体と吹出口をつなぐダクト工事が必要で、施工難易度は高めです。そのため、材料費や工事費が割高になり、工期も長くなることがあります。

見た目を重視するか、コストとのバランスを取るかが判断のポイントです。

参考サイト:ビルトインエアコンとは?埋め込み型エアコンの利点や設置方法を解説

壁掛形

外観は家庭用に似ていますが業務用としての馬力があり、塾や小規模オフィス、飲食店の個室などで活用されます。

工事方法は比較的シンプルで、壁に金具を設置して配管を通すだけで済むケースも多いです。

ただし、基本的には外壁に面した場所にしか設置できないため、レイアウトに制約があります。

費用を抑えたい場合には現実的な選択肢ですが、設置可能な場所が限られる点を理解しておく必要があります。

床置形

床に設置するタイプで、床付近から冷暖気を送り出します。

特に暖房時には効率がよく、広い倉庫や工場、天井の高い空間に適しています。

一方で、床スペースを取ってしまうため通路や家具の配置に影響します。

またエアコン前に物を置くと風が遮られるので、設置後の運用も考えてレイアウトを決めることが大切です。

形状別に異なる工事のポイント

業務用エアコンは種類ごとに工事の着眼点が異なります。

形状で異なる工事のポイント
  • ・天井カセット形:天井内部の補強、梁や既存設備との干渉確認
  • ・ビルトイン形:吹出口の配置とダクト経路の設計、天井内スペースの確保
  • ・壁掛形:壁の強度確認と外壁貫通工事
  • ・床置形:床荷重やメンテナンス用スペースの確保

これらを事前に考慮しておかないと、工事中に想定外の追加費用が発生することもあります。

工事の基本的な流れ

業務用エアコンの工事は大きく「新規設置」と「入れ替え」に分かれます。

基本工程は共通していますが、入れ替えでは追加作業が必要です。

新規設置の場合

  1. 1. 現場調査(天井高・壁厚・電源容量などを確認)
  2. 2. 搬入経路と作業スペースの確保
  3. 3. 養生で壁や床を保護
  4. 4. 室内機・室外機を設置
  5. 5. 配管や配線を接続
  6. 6. 真空引きで内部の湿気を除去
  7. 7. 気密試験で施工品質を確認
  8. 8. 試運転で動作チェック
  9. 9. 清掃・引き渡し

特に「真空引き」は省略できない工程です。

これを怠ると内部に湿気が残り、冷暖房効率が落ちたり数年で故障する原因になります。

参考サイト:不調は突然に!業務用エアコンが効かなくなる原因と理由を解説!

入れ替え工事の場合

新規設置の工程に加え、既存エアコンの冷媒ガス回収と撤去作業が必要です。

冷媒ガスはフロン排出抑制法に基づき、資格を持つ業者が回収しなければなりません。

既設の配管を再利用できる場合もありますが、劣化などの不備が見られると新設が必要になり、工期と費用が増加する可能性があります。

ReAirでは現地調査からエアコンの設置設計、入替工事まで全てワンストップで対応いたします。

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工事前に確認しておきたいポイント

設置を成功させるには、工事前の確認が欠かせません。

設置場所の検討

室内機は風の流れや人の動線に配慮して配置します。

風が直接人に当たりすぎると不快感につながり、逆に届かない場所があると空調ムラが生じます。

室外機も放熱のために前後に十分なスペースを確保し、搬入経路や重量負荷を考えて配置することが大切です。

電源容量とブレーカー

業務用エアコンは家庭用と違い、単相200Vや三相200Vといった電源が必要です。

契約電力によっては電気工事を伴うため、事前に電力会社や業者に確認しておく必要があります。

工期と業務への影響

小規模な入れ替えなら半日で完了しますが、天井開口を伴う工事では数日かかることもあります。

営業を続けながら工事するのは難しい場合が多いため、閑散期に計画するなどスケジュール調整が重要です。

アフターメンテナンス

設置後の保証内容や定期点検の有無も必ず確認しましょう。フィルター清掃や部品交換の頻度、メンテナンス費用を事前に把握しておくと、長期的に安心です。

よくあるトラブルと防止策

  • ・風が届かないエリアがある:設置前に風の流れをシミュレーションしてもらう。
  • ・真空引きの省略で故障:業者に必ず作業工程を確認する。
  • ・繁忙期に工事が重なり営業できない:オフシーズンに工事を依頼する。
  • ・設置後のメンテナンス費用が高い:契約前にアフターサービスの範囲を確認する。

こうしたトラブルは事前確認と業者選びで防ぐことができます。

まとめ

業務用エアコンは形状ごとに特徴や工事内容が大きく異なります。

新規と入れ替えでは工程も変わるため、現場調査・設置場所・電源容量を事前に確認しておくことが不可欠です。

また、保証やメンテナンスの体制も選定のポイントとなります。

業者との打ち合わせで疑問点を解消し、安心して導入を進めましょう。

参考文献

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